第一試合
選手の待機場から対戦会場へと向かう。
室内から外に出たことで、急に明るくなって目がくらんだ。
同時に熱狂的な歓声が押し寄せてくる。
明るさに慣れて目を開くと、そこは周囲を観客席に囲まれた円形の闘技場だった。
数え切れないほどの観客たちに囲まれていて、すさまじいほどの熱気と歓声が押し寄せてきていた。
ライムも驚いたように周囲をきょろきょろと見渡している。
「中もいっぱい人間がいましたけど、外にはもっといっぱいいたんですね」
「本当だね。こんなに大きかったんだ」
観客席に囲まれた対戦会場はかなり広かったけど、今はそこが、真ん中に十字線を引くように四つに区分けされていた。
そして、それぞれの場所で対戦が行われているみたいだった。
そういえばエッジもこの大会には100組以上が参加してるって言ってたしね。
一組ずつおこなってたら時間がかかっちゃうから、こうやって4組ずつやっているのかもしれない。
四つにわけられた会場のひとつ、僕たちが呼ばれた第三会場でもまだ戦いは行われていた。
剣を持った二人組の男性に対し、相手は盾を構えた騎士と、その後ろで杖を構える魔法使いのコンビだった。
二人がかりの猛攻を盾の人が一人で防ぎきり、後ろから魔法で攻撃している。
かなり一方的な試合運びで、そのまま盾と魔法使いのコンビが勝利していた。
なるほど。個人戦と違い、二人組だとこういう戦い方になるんだ。
周囲から歓声が上がる。
勝った二人も手を挙げて観客に応えていた。
そのあいだに戦いの終わった会場が係の人たちによって素早く清掃される。
やがて僕たちの番になった。
「エントリー番号16番! カイン、オリーブペア!」
審判が僕らの名前を告げる。
ライムが不思議そうな顔になった。
「オリーブって誰ですか?」
「ライムのことだよ。一応名前も変えておいたんだ」
念のための処置だったけど、ライムはどことなく不満そうだった。
「せっかくカインさんからもらった名前があるのに……。あ、でも、カインさんからもらった名前がふたつになるのだから、2倍うれしいかも……」
最初はちょっと不満そうだったけど、すぐに表情をデレデレに溶かしはじめた。
よくわからないけど喜んでくれているみたいだ。
僕らが待っているあいだに、相手のペアが呼ばれる番になった。
「エントリー番号52番! ティムとタイガー!」
現れたのは鞭を持った小柄な男の人だった。
そしてそのとなりに現れたのは……。
「ぐるるるる……」
低いうなり声が僕らのところにまで聞こえてくる。
現れたのは、四つ足の獣。
巨大な二つの牙を持ったサーベルタイガーだった。
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