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武闘大会本戦開始

 宿屋で一夜を開かしたあと、僕とライムは闘技場へとやってきた。


 今日から本戦開始ということで、闘技場周辺は朝早くから昨日以上の混雑ぶりを見せている。

 入り口には多くの観客が長い列を作っていた。

 あれだと中に入るだけでもかなりの時間がかかりそうだ。


「こんなにたくさん人があつまるものなんだね」


「これだと中に入るのも大変そうです」


 ライムが長蛇の列を心配そうに見つめていた。


「大丈夫だよ。選手用の入り口は別にあるみたいだから。さすがに選手まであの行列に巻き込まれたら試合がはじまらないからね」


 それに、参加する選手の中にはすごい人気のある人もいるらしくて、そういう人が現れると大騒ぎになってしまう。

 そういう理由もあって観客と参加者の入り口はわけているみたいなんだ。


 選手用の入り口はそこから少し離れた裏手側にあった。

 さすがに通常の入り口ほど混んではいなかったけど、選手と思われる人が並んでいる。

 警備員の人に参加証を見せると、すんなりと中に入れてくれた。


 闘技場の選手控え室は広間のようになっていた。

 かなり大人数の人が入っている。

 控え室というか、ここまで広いとこれはこれでなにかの会場みたいだ。

 選手の待機所といった方がいいかもしれないね。


「これがその大会? に出る人たちですか?」


 ライムが周囲をきょろきょろと見渡しながらつぶやく。


「そうっすよ」


 声をかけてきたのはエッジだった。


「おはようございますカインの兄さん、ライムの姐さん」


「ああ、うん。おはよう。なんかまだその呼ばれ方は慣れないけど……」


「おはよー!」


 ライムは元気よく挨拶している。

 特に気にしてないみたいだ。


「えっと、ライムの姐さん、ですよね? なんか昨日と雰囲気が違う気がしますが……」


「ああ、念のため変装しているんだ」


 普段は腰まである長い金髪を今は肩くらいまでに短くしてある。

 さらにフードもかぶっているから、ぱっと見ではライムとはわからないはず。


「なるほど、そうだったんすか。オレの相棒はボスのところにいってるので、今日はオレ一人で案内させてもらいます。申し訳ありません」


「いやそんな、謝ることじゃないよ。なにしろ初参加だから、こうして案内してくれるだけでもありがたいし」


「そういってもらえるとこっちも助かります」


「それにしても、かなりの人数が参加するんだね」


 待機所には見渡すだけでもたくさんの人がいる。

 エッジみたいな選手ではない関係者がいると考えても、やっぱりかなりの人数になりそうだった。


「かなり大規模な大会っすからね。本戦出場者だけでも100組以上はいますよ」


「ふーん、じゃあここにいる奴を全員倒せばいいの?」


 ライムが平然とそんなことをいった。


 参加者を侮っているわけじゃなくて、単に疑問を口にしただけなんだろうけど、周囲は少しだけざわめいた。

 大きな声ではなかったから聞こえたのは周りにいた人だけみたいだけど、それでも鋭い視線が僕らへと向けられていた。


 その空気に気づいているのかいないのか、エッジは変わらない様子で答える。


「さすがにライムの姐さんでも全員はきついっすよ。それにこの大会はトーナメント形式なので……姐さんはトーナメントって知ってますか?」


「とーなめんとけいしき? 初めて聞いたよ」


「簡単にいうと、一組ずつ順番に戦っていって、負けた組は敗退し、勝った者同士でまた戦い、最後の一組になるまで続けるんです」


「???」


 エッジの説明を聞いてもまだ首を傾げていた。

 まあ口で説明されても難しいよね。


「よくわかりませんけど、つまりここにいる人間は全員敵ってことですよね? ならやっぱり全員倒しちゃいますか?」


 にっこりと笑顔で恐ろしいことをいう。

 室内で風もないはずなのに、金色の髪がかすかに揺れていた。

 今は短くしてるから仮に風があってもそう簡単には揺れないはずなんだけど、いったいなんだろう。


 さっきとちがって今度は大声で宣言したため、結構な数の人にまで聞こえてしまったみたいだ。

 殺意のこもった視線が僕らに集まってくる。

 なんか始まる前から波乱の予感がするなあ。

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