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今日はひとりで寝るんだよ

「そうそう、そういえば兄さんにひとつ伝え忘れていたっす。この大会ではひとつ特殊なルールがありまして。大会中にケガをした場合、申請すれば本戦の途中でも選手の交代が可能なんですよ」


「それは珍しいルールだね」


 普通そういうのはダメだと思うんだけど。


「武闘大会ですからケガはつきものっす。それにこの大会は二人組での大会ですから、どちらかがケガをするだけでも戦力差が大きく開いちまうんですよ。たいていのケガならすぐ治せるよう大会側も治療師を用意してますが、やっぱり限界があるんでね。どうしても棄権する参加者は出てきます。

 そしてこれだけ大きな大会ですから、当然スポンサーもいます。不戦勝となる試合が増えるとそのぶん大会も盛り下がってしまいますからね。そういった事情などもありまして、参加者の途中変更が認められるようになったんですよ。

 とはいえ何度も変更可能となるとそれはそれで問題があるため、参加者の変更は一度だけとなっていますが」


 なるほど。

 色々な理由があるんだなあ。


「なので、エルの姐さんも、もしかしたら参加することがあるかもしれませんので、できれば連絡の取れる近くにいられた方がいいかと思います」


「カインさんをお守りするのはわたしの役目ですから、ドラゴンの出番なんてありませんよ!」


 ライムはそういってくれたけど、まあなにがあるかわからないからね。

 エルには、ニアとかシルヴィアとか、なるべく知ってる人のところにいてもらうようにしようか。

 よく考えたら僕じゃなくてエルとライムが一緒に出ればいいような気もしたけど、まあエルもどこかに出かけるみたいだったし、しょうがないかな。

 それにライムも、エルとは一緒に出たがらない気もするし。




 そういうわけで、宿の部屋は僕とライムで使うことになった。


 フィアに大会へ出場できることになったと話したり、アルフォードさんに宿へ移動することを伝えたりしたあと、宿屋の一階に作られた食堂でライムと一緒に食事をとる。

 それらが終わって部屋に戻るころには、すっかり夜になっていた。


 なんだかんだでやることが多かったから、ちょっと疲れちゃったね。


 ベッドは二つあるため、そのうちのひとつに僕が入ると、ライムもニコニコとしながら当然のように一緒になって入ってきた。


「えへへ、カインさんと一緒に寝るの楽しみです」


「ライム、ベッドで寝るのは一人だっていつもいってるでしょ」


 せっかく二つあるのに、わざわざ二人でひとつを使うのも変な感じだし。

 なんだけど、ライムは不満そうに頬を膨らませた。


「でも家ではいつもカインさんと一緒に寝てるじゃないですか」


「家にはひとつしかないからね。それに本当は別々に寝ないといけないのに、ライムが勝手に入り込んでくるからだし」


「それは……確かにそうですけど……」


「二つある時はそれぞれ別に寝るものなんだよって前に教えたでしょ」


「……はい」


「わかった?」


「……はい」


 落ち込んだようにしゅんとうなだる姿を見て僕の心も痛む。

 でも、ライムの将来のためにも、ちゃんとした人間の常識を教えないといけないからね。

 だから僕は心を鬼にしていった。


「それじゃあライムはあっちのベッドで寝るんだよ」


 ライムは無言でうなずくと、満面の笑みを浮かべた。


「いやでーす♪」


 そういってますますひっついてきた。

 うう……。

 いつもは僕のいうことを素直に聞いてくれるのに、こういうときはなぜかいつもいうことを聞いてくれないんだよね……。


 その後どんなに説得してもライムはあきらめてくれなかったため、結局僕らは二人で寝ることになってしまった。


 うーん、やっぱり僕はライムに甘いのかなあ……。

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