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選手用の部屋

 一度ライムの姿を元に戻してから受付に戻り、登録をすませた。


「それじゃあボスに報告しないといけないんでオレたちは戻りますけど、カインの兄さんたちはどうしますか?」


「どうって?」


「大会の出場者には、近くの宿屋に専用の部屋が用意されてるんです」


「えっ、そんな宿があるの?」


 それは初耳だった。


「出場者の中にはかなり遠くから来てる奴もいますからね。この時期は宿なんてほとんど取れないですし、出場者の泊まる宿がないと問題になるでしょう。だから運営側で用意してるんですよ」


「それはよかった。ちょうど宿がなくて困ってたんだよね」


 これまではずっとアルフォードさんの家にお邪魔させてもらってたんだけど、さすがにいつまでもそのままってわけにはいかないからね。

 どうしようかなと思ってたんだ。


「よければその部屋を使わせてもらってもいいかな」


「もちろんっす。出場するのは兄さんたちなんですから、気にせず利用してください」


 そういうわけなので、エッジとヒングスに案内してもらうことになった。

 やってきたのは会場近くにある宿屋だった。


「ここは他の参加者も使ってるので、客のほとんどは参加者か、敗退したけどそのまま観戦することにした奴なんすよ」


「ここがオレたちの部屋です」


 案内された宿屋は狭くはないけど広くもない普通の部屋だった。

 もちろん贅沢をいうつもりなんてない。

 部屋があるだけでありがたいんだから。


 ちなみにベッドもちゃんと二つあった。

 よかったダブルベッドとかじゃなくて。

 男性二人だからきっと大丈夫だろうとは思ってたけど。


「二人用の部屋なんだね」


 エルが部屋の中を見回してつぶやく。

 選手は二人一組なんだから当然部屋もそうなるよね。


「ええっと、それじゃあエルとライムがそのベッドを使ってくれるかな。僕はソファで寝るから」


 そういったら、ライムがじーっと僕の方を見つめてきた。

 ううっ、言いたいことはなんなのか聞かなくてもわかる……。


 それに、エルも小さく笑みを浮かべて首を振った。


「この部屋は二人で使ってよ。ボクもそろそろまた探検したいと思ってたし」


「ええっ、でも、宿がないと困るんじゃ……」


「また誰かに頼むから大丈夫だよ。それに、あの銀髪の人間とか、小柄な人間の家とかも見てみたいし」


 シルヴィアとニアのことかな?

 確かにエルは二人の家には行ったことがなかったかもしれないね。


「つまりカインさんと私に部屋をゆずるということですね。ドラゴンもたまにはいいこと言いますね!」


 ライムが喜色満面の笑みを浮かべる。

 エッジとヒングスが不思議そうな顔になった。


「……あの、前にもいってた気がするんすけど、そのドラゴンというのはいったいどういう意味なんですか?」


「ドラゴンはドラゴンだからドラゴンなんですよ」


 ライムが当然のようにいう。

 その説明は正しいけど、さすがに伝わらないんじゃないかなあ……。

 エルもうなずいた。


「ボクは実は人間じゃなくてドラゴンなんだよ」


「はあ……。そうなんですか……」


 二人は信じられないといった顔のままだった。

 まあいきなりそんなこと言われたって信じられるわけないよね。

 僕はエルがドラゴンから人間になるところを見てるからいいけど、そうじゃない人からしたら驚くのも無理ないと思う。

 そういえば、アルフォードさんも最初は冗談だと思って信じていなかったっけ。


「つまり、それだけ強いってことか……?」


「やはりカインの兄さんの側近ともなると、ドラゴンに匹敵するほどの強さということっすね……」


 やっぱりなんだか勘違いされてるみたいだった。

 まあ、エルの正体をわざわざ広めることもないから、それはそれでいいんだけど。

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