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代わりに出てくれるとうれしいっす

「えっ、でも二人も出場するんでしょ?」


「辞退するので大丈夫です。代わりに兄さんたちが出てください」


「代わりにって、そんなことできるの?」


 そういうのって普通は出来なさそうだけど。

 僕は驚いたけど、エッジたちは問題ないといってうなずいた。


「さすがに一度出場すると参加者の変更は出来ませんが、参加する前ならまだ変更できます。そして、実はオレたちはシード枠なので、予選はなくいきなり本戦からなんです。だからまだ参加してないため、変更は可能なんですよ」


「ちょっと裏技っぽいっすけど、まあそういうのは得意なんで、任せてください」


「でも、この大会ってなかなか出場できないんでしょ。僕らが出ちゃって大丈夫なのかな。シード権ってのもよっぽどじゃないと手に入らないだろうし」


「オレたちよりカインの兄さんの方が全然強いんで大丈夫っす!」


「むしろオレたちもシードにしてもらったものの、今回は予想以上にレベルが高くて正直一回戦も勝てるかどうかだったんっすよ。負けたらボスに怒られるんで、カイン兄さんたちに出てもらった方が助かります」


「いや、僕はなにもできないけど……」


 本気でそう言ったんだけど、二人は冗談と思って笑うだけだった。


「またまた謙遜しちゃって。ライムの姐さんの他にも何人か凄腕の仲間がいるんでしょう」


 いるといえば確かにいるけど……。


「ところでどうして兄さんたちは大会に出場するんですか?」


「実はひとつほしいものがあってね」


「この大会に優勝すれば何でも手に入りますからね。兄さんほどの人が狙うくらいですから、よほどのものなんでしょうね」


 エッジたちがうんうんとうなずいていた。




 その後、二人の案内で大会の運営本部にやってきた。

 闘技場から少し離れたところにある大きめの建物だ。

 大会の運営のためだけにこんな建物が用意されてるなんて、本当に大規模な大会なんだね。


 受付で話をすると、選手の変更自体は特に問題ないようで、すぐにしてもらえることになった。

 むしろ明日から本戦だから、変更するなら早くしてほしいという雰囲気だ。


 だけど、そこで僕は問題に気がついた。


「ちょっとだけ待っててもらえますか?」


 そういって、いったん部屋の隅に移動する。


「カインさん、どうしたんですか」


「よく考えたら世界中の人が集まってるこの大会にライムが出場すると、必要以上に目立っちゃうんじゃないかなと思って」


 ライムは見た目こそ普通の女の子だけど、その正体は幻のレアモンスター、ゴールデンスライムが人間の姿に擬態したものだ。

 姿を見ただけでその正体に気づくことはまずないと思うけど、大勢の人が集まる中で戦う姿を見せたら、正体を見破るまではいかなくても、疑う人くらいは出てくるかもしれない。


 まさか幻の超レアモンスターが王都に堂々と現れるなんて思わないだろうし、しかも人間と見分けがつかない姿になれるなんて知ってる人はまずいないだろうけど、用心して困ることはないはず。


「だから、出場するのはライムじゃなくて、エルの方がいいかな」


「ボクが出るの?」


「エルさえよかったらだけど……」


「もちろんボクはかまわないよ。なんか面白そうだし」


「それじゃあ……」


「ダメです!」


 ライムが大声で割り込んできた。


「カインさんを守るのはわたしの役目です! そこのドラゴンには譲れませんよ!」


「うーん、とはいえライムが目立つのはあんまりよくない気がするんだよね……」


 いや、待てよ。

 ライムは擬態能力で人間の姿になっている。

 その能力を使えば……。


「ライム、ちょっとだけ姿を変えられるかな?」


 きょとんとして首を傾げる。


「姿をですか?」


「うん、ライムの正体がバレないようにしたいんだ」


「うーん、じゃあこういう感じでどうでしょう」


 ライムがそういうと、黄金を梳いたかのような長い金色の髪が、みるみるうちに短くなった。

 さらに顔立ちも微妙に変化する。ついでに服装も替わっていた。


 前の服装は、僕らの町で見たものを参考にしていたというだけあって、向こうでよく見るタイプのものだった。

 だけど今のは、王都でよく見るような、オシャレで精錬された服になっている。


 それだけでもだいぶ印象は違って見えたけど、念のために、フードをつけてかぶってもらったら、ほとんどわからなくなった。

 これならライムを知ってる人でもすぐには見抜けないはず。


「うん、これなら大丈夫かな」


「この格好はどうですか?」


 ライムが新しい服でクルクルと回る。


「うん、よく似合ってるし、かわいいと思うよ」


「カインさんにそういわれるとうれしいです。えへへ……」


「あとは、戦うときはなるべく本気を出さないようにしてもらえればいいかな」


「わかりました。確か半殺しってやつにすればいいんですよね!」


 笑顔でぐっと両手の拳をにぎりしめた。

 うーん、やっぱり不安だなあ……。

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