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兄さんはボスの客人っすから

「「ライムの姐さん、こんちわーっす!」」


 急に二人組の男性がライムに向かって勢いよく頭を下げた。


「えっ? なんですか?」


 いきなり挨拶されたライムが困惑している。

 僕も驚いたけど、そんな挨拶の仕方をする心当たりはひとつしかなかった。


「もしかして、以前に千年苔を届けたおじいさんのところの……?」


「あのときはお世話になりましたっす!」


「くんくん……。あー、そういえばこんな匂いの人間もいたような……」


 ライムも匂いでわかったみたいだ。

 そんな理由で判別するのもどうかと思うけど。

 思わず苦笑していると、二人組の男性が今度は僕に向けて頭を下げた。


「「カインの兄さんもお久しぶりです!」」


「えっ、僕にまでなの?」


「ボスからも兄さんに会ったときはきちんと挨拶するようにいわれてるので」


 ずいぶんきちんとしてるというか、義理堅いというか。


「挨拶は大切かもしれないけど、なんかその呼ばれ方は落ち着かないなあ。普通にカインでいいんだけど」


「いえ、兄さんはボスの客人っすから。そんな気安く呼ぶことは出来ないです」


 そういって拒まれてしまった。

 そういう上下関係はずいぶん厳しいみたいだなあ。


 戸惑う僕の横で、エルがなんだかそわそわしている。


「……まだかなー、まだかなー……」


 キラキラと輝いた瞳で二人の男性を見ている。

 どうやら自分も僕たちみたいに呼ばれたいみたいだ。


 ただ、二人の男性は困ったように顔を見合わせていた。

 いったいどうしたんだろう。


「……わくわく、わくわく……」


 そのあいだにもエルは期待のまなざしを向けている。

 やがて、男性の一人が僕にこっそりと話しかけてきた。


「すいませんカインの兄さん、こちらのお方の名前は……?」


 ああ、そうか。エルの名前までは知らなかったんだね。


「この子はエルっていうんだよ」


「そうでしたか! ありがとうございます……!」


 教えて上げると、早速エルに向けて勢いよく頭を下げた。


「「エルの姐さん、こんにちわっす!!」」


「……!!」


 いつもは穏やかなエルの表情がぱああっと輝いた。


「うん! こんにちは!!」


 元気よく返事をしている。

 なんだかものすごいうれしそうだ。


「ところで二人の名前はなんていうの?」


「これは申し遅れました。オレはエッジで、相棒のコイツがヒングスといいます」


 そういって再び頭を下げてくれる。

 なんだかずいぶん敬われているなあ。

 二人の声が大きいからか、周囲からもずいぶん注目を集めてしまっていた。


「おい、あの二人組、確かドンのところの部下だろう。しかもかなり手練れで、前回のベスト4じゃなかったか? そいつらに頭を下げさせるアイツは、いったい何者なんだ?」

「かなりの美人を二人も連れてるし、相当な金持ちなんだろうな」

「……確かに美人だが、それ以上にあの二人、かなり強いぞ……。正直、ドンの部下よりもはるかに……。マジで何者なんだ……」

「なんでもいいさ。ボディーガードを連れ歩いてるってことは、やっぱり相当な金持ちってことだろう。誘拐でもすればたんまり身代金が……うわっ、急に剣が粉々になったぞ!?」


「………………」


「どうしたのライム?」


 なんだか騒ぎになっている方向をライムがじっと見つめていた。

 声をかけると、笑顔になって僕を振り返る。


「なんでもありません。悪いことを考えてる人間がいたので、ちょっと見てただけです」


「それならいいんだけど……」


「ところで、闘技場前にいるってことは、もしかして兄さんたちも大会に出るんですか?」


「参加できたら出ようかなと思ってたんだけど、予選は昨日で終わったみたいだったんだ。だから観戦だけしようかと思ってたんだけど」


「カインの兄さんたちも出場したいんすか? それでしたら、オレたちと変わりましょうか?」


 急にそんなことをいってくれた。

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