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エルフの朝ご飯

 エルフの里を出発する前に、マナたちが朝ご飯を用意してくれた。

 テーブルの上にはたくさんの果物が積まれている。


「人間はこういうのを食べるのよね」


 用意してくれた果物の中には、僕でも見たことがあるものもあったし、見たことがないものもあった。

 共通していたのは、そのどれもが新鮮で美味しそうだったってことだ。


 香りも濃厚で、近づくだけでも甘く新鮮な匂いがただよってくる。


 リンゴをひとつ手にとっても、ずっしりと重たくて瑞々しい。

 割ってみるとたっぷりの密が詰まっていた。

 立ち上る香りもさらに濃厚で甘くなる。


「こんなに美味しそうなリンゴは初めて見たよ」


「エルフの森の大地で育ち、エルフの森の水と空気を吸って大きくなったものだからね。人間の世界のものとはだいぶ違うはずよ。ここを訪れた人間もみんな驚くしね」


 マナがそう説明してくれた。


 なるほど。エルフの魔力が宿ってるからこんなに美味しそうなんだね。


 さっそく一口食べてみると、思った通りものすごく美味しかった。

 一口かじる度に、リンゴの甘い蜜が口の中いっぱいに広がる。

 リンゴを食べているというより、リンゴの蜜が詰まった水袋を口にしているみたいだった。


 僕の横ではライムが様々な果物を手にしては口の中に放り込んでいく。


「いくら、いくらこんな美味しいものを用意されたからといって、こんなものでカインさんを渡すと思ったら大間違いですからね!」


 といいながらバクバク食べている。

 瞳も吊り上げてどことなく怒っているみたいだったけど、その表情はだいぶ溶けはじめていた。

 ライムの表情が溶けるときは、よっぽど美味しいときだ。


「ううう~、こんな、こんな……こんな美味しい果物、食べたことないです~……」


 なぜか涙目になっていた。

 泣くほど美味しい、ということなのかもしれないけど……。


「カインさんのご飯より美味しいものなどあるはずが……、でも、これはおいしさとは別の魅力がわたしを……うう、こんなところでわたしが浮気をするわけには……」


 どうもライムの浮気基準はよくわからないなあ……。

 そのとなりでは、エルもゆっくりだけど美味しそうに食べていた。


「味もそうだけど、エルフの森にあるものは魔力が強いからね。ボクたちは人間以上に魔力が必要だから、普通よりも美味しく感じるんだ」


 そういえばエルたちエルダードラゴンは純粋な生命ではなく、魔力が意志を持ったようなものだっていってたっけ。

 だから食事そのものは本当は必要ないといってた気がする。

 そのエルも美味しいと感じるってことは、それだけ魔力が濃いってことなのかもしれないけど。


「でも、ライムでも美味しく感じるのはなんでだろう」


「姿を変えるにはエネルギーだけでなく魔力も使うから、たぶんそのせいじゃないかな」


「そうなんですか?」


 エルの説明にライムも首を傾げていた。

 どうやら本人もわかっていなかったみたいだ。


 まあ自分の体のことなんて意外とわからないものだからね。

 僕だって自分のことをよく知ってるとはいえない。

 ご飯を食べないといけないことは生まれたときから何となく理解しているけど、それがなぜかといわれたら答えられないからね。


「つまり、わたしがエルフの果物をこんなに美味しく感じるのは、その魔力とかいうのがたくさん入っているからなんですね」


「多分そうだと思うよ」


「そうだけど、それだけじゃないわよ」


 そう説明を加えてくれたのはマナだ。


「ゴールデンスライムは、元をたどれば私たちと同じ種族だもの。人間の世界の食べ物より、こっちのものの方が口には合うはずよ」


「えっ、ゴールデンスライムが、エルフと同じ……?」


 その言葉に僕は驚いた。

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