これからも一緒にいられますか
多めに作ったご飯は、ライムが全部きれいに食べてくれた。
ライムは本当に美味しそうに、元気よく食べるから、こっちも作りがいがあるんだよね。
僕が作ったもので喜んでくれているのを見ると、次も美味しいものを作ってあげたいなと思っちゃうんだ。
食器を軽く洗って片づけていると、ライムが神妙な様子で背後から声をかけてきた。
「それで、あの、私はお役に立てたでしょうか……?」
「……ん? いきなりどうしたの」
なにかテストでもしてたっけ。
ライムがもじもじとしながら言葉を続ける。
「今日のクエストは、わたしがお役に立てるかどうか確かめるためって……」
「……ああ。そういえばそうだったね」
ライムが僕と一緒にクエストに行きたいといってたけど、本当に一緒に行っても大丈夫かどうか確かめるために、まずは簡単なクエストを受けたんだっけ。
妙に張り切っていたのはそのためもあったのかもしれないな。
もちろん役に立ったなんてものじゃない。
ライムは僕なんかよりもはるかに強い。
むしろライム一人の方が安全なんじゃないかって思うくらいだ。
だから結果がどうだったかなんて聞くまでもないことだし、それに、今さら僕もライムを置いていくなんて考えられなかった。
でも僕はそれを一度もいわなかった。
だからライムはずっと思い詰めていたみたいだった。
「わたしは、カインさんが大好きです。最初は体液を流し込まれて交尾を申し込まれたからでした。あんな強引に迫られたら、雌の本能がビンビンしちゃって、もうこの人しかない! ってなっちゃうんです。でも今はそれだけじゃありません。カインさんのおいしいご飯が、優しいところが、すべてが好きなんです」
だから交尾してほしい、というのかと思ったら、違っていた。
僕を見る目が泣きそうにゆがむ。
「わたしは雌ですから、子供を欲しいと思うのは生物の本能として自然なことだと思ってました。でも、今は違うんです。私はカインさんが好きなんです。雌だからとか、生物の本能とか、そういうのは関係なく、カインさんだから一緒がいいんです」
そういって僕の胸にすがりついてきた。
「一緒にいさせてください。もう一人はイヤなんです」
その言葉は痛ましいほどの必死さに満ちていた。
なにがライムにそこまでさせるのか。それはわからないけど。
この子にそんな表情はさせたくない。
その一心でライムの体を抱きしめた。