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生命の水の手に入れ方

「それで、エルダードラゴンがいるってことは、偶然迷い込んだわけじゃないんでしょ」


 マナにいわれて僕もここに来た目的を思い出した。


「実は生命の水をわけてもらいたいんです」


「あら、ずいぶん珍しいものを知ってるのね」


 マナが驚いている。

 その様子を見て僕も少し驚いた。


「たまに迷い込んだ人が生命の水を持ち帰っていたんですけど、珍しいものなんですか?」


 勝手に持ち帰ってきたとも思えないし、エルフも知ってると思っていた。

 珍しがるようなものじゃないと思ってたんだけど。


「ああ、そういえばたまに泉の水を持ち帰ってる人間もいたわね」


「ということは、もしかしてこの綺麗な泉が……?」


 確かにものすごい綺麗で透き通っているし、魔力のない僕にもかなりの力が宿っているのを感じる。

 だからこの泉が生命の水なのかなと思ったんだけど、マナは笑って否定した。


「ちがうちがう。それはただの水よ。まあ私たちの里にあるから、人間の世界にある水よりはちょっと魔力が多めに含まれてるかもしれないけど」


「これで普通の水なんだ……」


 まるで水晶を溶かしたようにすら感じるけど、どうやらエルフの森ではこれが普通みたいだ。

 改めてすごい場所なんだと感じるよね。


「生命の水は私たちでも滅多に見られないのよね。最後に見たのは何百年前だったかしら……」


「そんなに珍しいものだったんだ……。それじゃあ手に入れるのは難しいですか?」


 エルフのマナですら数百年の一度しか見られないとなると、今日来たばかりの僕では見つけられないかもしれない。

 まあ、この泉の水でも十分だとは思うけど。


 だけどマナは軽く首を振った。


「確かに滅多に見られるものじゃないけど、それは条件が決まっているから。アナタが協力してくれればすぐにでも手に入るわよ」


「そうなんですか? それはよかったです。僕にできることなら何でも協力します」


 僕なんかに大したことはできないと思うけど、協力できることなら何でもするつもりだ。

 そういったら、マナが口元を妖しくゆるませた。


「フフ、そう。なんでもしてくれるの……。なんでも、ね」


 なんだか含みのある笑みを浮かべている。

 ええ……、いったいなにをさせられるんだろう……。


 ライムが急に表情を一変させる。


「むっ、このエルフなんだか悪いことを考えてる気がします。この場で根絶やしにしましょう」


「なんでそんな怖いこというの!?」


「でもあのエルフ、イヤらしい顔してましたし」


「そんな理由でそんな怖いこといったらダメだよ……」


 やっぱりライムは、自然の中にいると性格がちょっと変わる気がするなあ。

 マナもそんな僕らを楽しそうに見ていた。


「心配しなくても大したことはしないわよ。ちょっと手伝ってもらいたいことがあるだけだから」


 そうだといいんだけど……。


「ところで、なにをしたらいいんですか」


「その前に、長老に一応挨拶しておかないとね。そういう決まりになってるから」


 そういえばまだ挨拶していなかったね。

 まだ入り口に来たばっかりなんだけど、エルフの集落についてから色々ありすぎたせいですっかり忘れていたよ。


「長老様はどこにいるんですか」


「さっきから目の前にいるわよ」


 そういわれてもマナしかいないけど。


「もしかして、マナが長老様なんですか?」


「え? 私?」


 きょとんとしたあと、大声で笑いはじめた。


「あはははは! ちがうちがう。そっか、人間にはわからないのかもね」


 そういうと、巨大な木の幹に手をつけた。


「これよ。この大きな木が私たちエルフの長老なの」

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