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ようこそエルフの森へ

 空間の穴を抜けた先は美しい森だった。

 見た目は僕たちの世界と変わらない。


 でも、空気も空もなんだか輝いているような気がする。

 木の葉も生き生きとした緑色をしていた。


 まるで生きているかのよう、というと、元々木々も生きてるんだから変な感じなんだけど、でも本当にそう感じるんだ。

 まるで今にも動き出しそうというか。


 とにかく、目に映るすべてのものが生命の輝きに満ちていたんだ。


「ここがエルフの森かあ」


 周囲の景色に思わず見入ってしまう。

 それくらい神秘的で素晴らしい場所だった。


 ライムが木の葉に手を伸ばすと、手のひらの中に握りしめ、そのまま体内へと取り込んだ。


 最近は忘れがちだけど、ライムの正体はスライムだから、口から食べるだけじゃなくて、ああやって体内に取り込むこともできるんだよね。

 というかあれが本来の食事の仕方なのかもしれないけど。


 体内に木の葉を取り込んだライムが、満足したようにうなずいた。


「ここの葉っぱはとても美味しいですね。栄養が豊富な感じがします」


「そういうのもわかるんだ」


「栄養は大事ですから。それにしても、他の葉っぱと同じように感じますが、なんだかちょっと違いますね」


「やっぱり僕たちの世界とは違う植物なのかな」


 ライムが腕を組んで考え込む。


「うーん、葉っぱが違うというか、中に含まれてる栄養が違うというか、そういう感じです」


 確かにエルフの森は、水も空気もこんなにキレイで、他ではこんなの見たことがない。

 ここで育った植物が普通とは違うようになるのも不思議じゃないよね。


「エルフの集落はこっちだよ」


 そういってエルが森の先へと進んでいく。

 僕たちはそのあとをついて行くことにした。




 歩きはじめてすぐに大きな木が見えてきた。

 エルはその方向へと向かっていく。

 どうやらエルフたちの集落はあそこにあるみたいだね。


 最初はうっすらとしか見えなかった大樹の姿だけど、近づくにつれてはっきりと見えるようになってきた。

 太さは僕らが十人いても足りなさそうだ。


 そんな巨大な幹に巻き付くようにして通路が作られていて、そこかしこにいくつかの家が建っている。

 どうやらエルフたちはあそこに住んでいるみたいだ。


 やがて樹の根本にたどり着く。

 見上げるほどに大きいのに、なぜだかまるで威圧感を感じない。

 むしろ優しい雰囲気に心が洗われそうになる。


 樹の正面には大きな泉があって、透き通るように青い水が広がっていた。

 以前に行ったウンディーネの泉もすごくキレイだったけど、このエルフの森の泉はそれ以上に美しい。


 ライムとエルも不思議そうに大樹を見上げていた。


「とっても美味しそうなんですけど、なぜだか食べようという気が起きないです。こんなのは初めてです」


「ここがエルフの集落かあ。じいちゃんに聞いてはいたけど、実際に見るとやっぱり違うもんなんだね」


 そんな感じで僕らが見入っていると、頭上から声が聞こえてきた。


「あら、久しぶりに人間が迷い込んできたと思ったら、ずいぶんと珍しい人たちなのね」


 鈴を転がすような美しい声だった。


 見上げると、木の幹に取り付けられた通路から、美しい女性が興味深そうに僕らを見下ろしていた。


「虹を受け継いだ人間に、エルダードラゴンの子供と……そっちの子はゴールデンスライムかしら? ずいぶんと変わった組み合わせね」


 人間を超越した美しさと、その特徴的な形の耳を見れば、彼女が誰なのかはすぐにわかった。


「ここがエルフの集落ですか?」


 たずねると、エルフの女性がニッコリと笑顔になった。


「そうよ。ようこそ私たちの集落へ。歓迎するわ。なにしろ最近は迷い込む人間も少なくって、ずーっと退屈だったんだから」


 そういって人なつっこい笑みを浮かべた。

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