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エルフの森へ

 みんなと別れをすませたあと、アルフォードさんに用意してもらった馬車で王都を出発した。


 朝早くとはいえ王都にやってくる馬車は多かったけど、僕らのように出て行く馬車は少なかった。

 そういえば今は武道大会の最中なんだっけ。

 もうすぐ予選が終わり、本戦がはじまるといっていた。


 今でも十分盛り上がっているんだけど、本戦がはじまるとさらに盛り上がるみたいだ。

 もっとも僕らはそのころエルフの森に向かっている途中のはず。

 戻ってくる頃には大会も終わっているだろう。


 武道大会は見たことなかったので、それだけが残念かな。



 馬車の中でご飯を食べたり、ずっと座ってると体が固くなるのでたまに降りて運動がてら食材を集めて料理をしたりしながら進んでいった。

 荷物の中には保存食もたくさんあったけど、今回は長旅になる予定だから節約できるときはなるべく節約していきたいからね。


 そして二日目の昼を過ぎた頃、目的の場所が近づいてきた。


 下草だけが生えるのどかな道に少しずつ木々が増えはじめ、やがて薄暗い森に変わる。

 さらに進むと濃密な霧も漂いはじめ、空すらも見えないほど濃い森の中へとやってきた。


 やがて馬車が止まり、御者の人が声をかけてくる。


「お客さん、悪いけどこの馬車で来れるのはここまでだ」


 ここから先は道も細くて視界も悪い。

 木の根にぶつかって馬車が壊れやすいし、夜になれば急な谷に気づかずに落ちてしまうこともある危険な場所だ。

 なにより、これより先は馬が怖がって近づきたがらないからね。


「わかりました。ここまでありがとうございました」


「ありがとうございましたー!」

「馬車で移動するのも人間みたいで楽しいね」


 僕が降りると、ライムとエルも続いて降りてきた。

 御者のおじさんがすまなそうに頭を下げる。


「アルフォード様のお客人ということで、できるだけ先まで送り届けたかったんだが……」


「大丈夫です、気にしないでください。ここまで運んでもらえれば十分ですから」


「カインさんのことはわたしがお守りするので大丈夫ですよ!」


 ライムが頼もしいことをいってくれる。


「それじゃあ私は戻りますが、本当にここで待ってなくてもいいんですか?」


「ええ、大丈夫です。何日後に戻ってこれるかもわかりませんので」


 濃密なこの森の先にエルフの森があるといわれている。

 エルフの森に迷い込んだという冒険者の一人が、ここで入ったらしいんだよね。

 だからこの森のどこかにあるはず。


 もっともかなり広大だから簡単に見つけられはしないだろう。

 ここまでくるのに二日かかったけど、むしろここからが本番だ。

 本当に何日かかるのかはわからないんだよね。


 それじゃあ申し訳ありませんが、と恐縮そうに告げて馬車が来た道を引き返していく。


 その姿が見えなくなるまで見送ってから、エルを振り返った。


「エルのおじいさんの話だと、この森からエルフの森に行けるってことだったけど……」


 ここから先はエル頼みだ。

 エルも軽くうなずいた。


「じいちゃんに聞いてたとおりだから大丈夫だよ」


「よかった。それでどれくらいかかりそうかな」


 普通に探したら30日あっても足りないかもしれない。

 でも場所さえわかっていれば、探す手間が省けるぶんだいぶ短くなるはずだ。

 食料のこともあるし、大体の日数は知っておきたい。


 なので僕がそうたずねると、エルは軽く首を傾げてから答えた。


「エルフの森に行く時間のこと? それだったら数分もあれば着くんじゃないかな」

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