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ちゃんと寝られるか心配だよ

 それから数日後、アルフォードさんの使用人が僕の部屋にやってきた。


「カイン様、荷物が届いております」


 あれからしばらくはアルフォードさんの家にお邪魔させてもらっていたんだ。

 ニアやシルヴィアにどうしてもといわれて二人の家にお邪魔させてもらうこともあったけど、基本的にはアルフォードさんの部屋を借りていた。


 迷惑かなとも思ったんだけど、かわりに時間のあるときはライムやエルに訓練に付き合ってもらいたいとのことだったので、お世話になりっぱなしってわけじゃなかったのは僕としてもよかったかな。

 少しでも恩を返せてよかった。

 もちろんこのお礼はあとでまたちゃんとしなきゃいけないけど。


「わざわざ届けてもらってありがとうございます」


「主人の大切なお客様ですから。お気になさらないでください」


 恭しくお辞儀をすると、使用人の人がそっと戻っていった。

 当たり前だけど、使用人の人はみんな礼儀正しい人ばかりだよね。


 届けられた荷物は、ダミアンさんに頼んで作ってもらった特殊な器だった。

 カイゼルさんに手に入れてもらったミスリル銀を使って作ったものだ。

 これがあれば生命の水を持ち帰ることができるはず。


 そういうわけで、明日からさっそく生命の水探しへと向かうことになった。


「カインさんとお出かけ楽しみです!」


 ライムがウキウキと楽しそうな様子だ。

 王家の丘に行って以来、ずっと王都の中にいたからね。

 久しぶりの遠出に楽しみを抑えられないみたいだ。


「エルフの森に行くのはボクも初めてだから楽しみだな」


 エルも微笑を浮かべている。

 なかなか行く機会があるところじゃないからね。

 もちろん僕だって楽しみだ。


 だけどライムはどことなく不満そうだった。


「そこのドラゴンはこなくてもいいんですけど」


「でもエルに案内してもらう予定だから、いないと行けないよ」


 エルフの森がどこにあるのかは、実際のところよくわかっていない。

 でもエルのおじいさんは知ってるみたいなので、エルに行き方を聞いてもらったんだ。


「ならそこに着いたらドラゴンだけ帰ってもらっても……」


「エルも楽しみにしてるみたいだし、みんなでいったほうが楽しいよ」


「ううう……。カインさんがそういうのでしたら……」


「二人の邪魔はしないから大丈夫だよ」


 エルも穏やかにそんなことをいっていた。


「それじゃあ明日は早いしもう寝ようか」


 エルフの森まではけっこうな距離があるし、明日は早朝に出発するつもりだ。

 だから早めに寝ることにした。


 ちなみに今の部屋には、ベッドを三人分用意してもらっている。

 僕とライムとエルが別々に寝るためのものだ。

 なんだけど、僕がベッドの上に横になると、すかさずライムがそばにくっついてきた。


「えへへー、カインさんの体あったかいです」


「ライム、いつもいってるけど、普通は別々のベッドで寝るものなんだよ」


 そういうと、僕に抱きつく力が少しだけ弱くなった。

 そしてライムの目が僕を見つめる。


「……ダメですか?」


 うるんだ瞳でそういわれてしまうと、それ以上なにもいえなくなってしまう。


「……ダメってわけじゃ、ないけど……」


「じゃあ一緒に寝たいです!」


 そういってますます強く抱きついてきた。


 ちなみに反対側の腕にはエルが抱きついている。

 エルは人間大好きで人間の生活も知ってるから、これが普通じゃないことも知ってるはずなんだけど……。


「ライムはいいのにボクはダメなの?」


 そういわれたら反論できるはずもない。

 僕は小さなため息と共にあきらめた。


 いっつもこうなってしまうため、せめて落ちないようにとベッドは三つともくっつけて並べている。

 もっとも、左右の二つは半分以上使ってないけど……。


「毎日こうしてカインさんと一緒に寝られて幸せです♪」

「キミのおかげで毎日人間みたいな生活ができて楽しいよ」


 二人とも喜んでるみたいだし、僕がちょっと恥ずかしいのを我慢すればいいだけだからね。


 ただ。

 明日は早いんだけど、ちゃんと寝られるかなあ……。

 それだけが心配だよ。

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