遅く起きた朝は
「カインさん朝ですよぉ~……」
ソファで眠る僕の上にライムが倒れるようにのしかかってきた。
目を開けると、ライムが眠そうに目をこすりながら僕を見つめる。
「おはようございますぅ~……」
「ああ、もう朝なんだ。おはようライム」
のしかかってきたライムを抱き起こすようにして一緒に起きる。
ライムが腕の中でデレデレに表情を崩した。
「えへへ~、カインさんに抱っこされちゃいました~」
抱っこしたというか、僕の上に乗ってるからそうしないと起きあがれなかったというか……。
それにしても、ライムが僕よりも早く目を覚ますなんて珍しいな。
というより僕の起きるのが遅かったのか。
昨日は変な夢を見たせいでよく眠れなかったからなあ……。
そう思っていたら、ライムが僕に抱きつきながら少し頬を膨らませた。
「でもカインさん、帰ってきたら一緒に寝ましょうっていったのに、昨日はなんで来てくれなかったんですか~……」
そう言われても、そんな約束した記憶ないんだけどなあ……。
「昨日はエルと仲良く眠ってるみたいだったから、起こすのも悪いかなと思って」
そう答えると、ライムがなんだか気まずそうに目をそらした。
「あのドラゴンとは、その、ちょっと興味があっただけで、別に仲がよくなったとかそういうわけではありません……」
「そうなの? できれば仲良くしてほしいんだけど」
「うう……。カインさんがそういうならがんばりますけど……あのドラゴンいつもカインさんのことイヤらしい目で見てませんか……?」
そんなことないと思うけどなあ……。
「そういえばエルはどうしたの?」
一緒に寝てはずなのに、部屋の中を見てもどこにもいなかった。
「朝の人間の街を見てくるといってどこかに出かけました」
相変わらずみたいだね。
窓の外を見ると、朝日が昇って少し経ったくらいだった。
そのためか道を歩く人もまだまだ少ない。
王都はいつもにぎやかな印象だったから、こういう雰囲気なのは珍しかった。
エルが外へ探検に行きたがるのもわかるかな。
「アルフォードさんたちも、もう起きてるかもしれないし、僕たちも下に行こうか」
「くんくん……。そういえば下からご飯の匂いがします~……」
家の人たちはもう起きてるみたいだね。
部屋を貸してもらってる身だし、いつまでも寝てるのはなんだか気まずい。
部屋を出ると、ちょうどとなりの部屋の扉も開くところだった。
美しい女性とまっすぐに目が合う。
「おはようフィア」
普通に挨拶したつもりだったんだけど、フィアは僕に気が付くとなぜか驚いたように目を見開いた。
「え、お、おは……っ!」
なぜだか顔を真っ赤にしていた。




