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最古の竜

 それからしばらくして、ドラゴンの瞳がうっすらと開いた。

 瞳の奥で僕とライムの姿を捉えると、のっそりと上体を起きあがらせる。


 襲いかかるような気配はない。血走っていた目も元に戻り、冷静さを取り戻しているみたいだった。

 牙の並んだ口を開き、わずかな吐息を漏らす。


「どうやら迷惑をかけちゃったみたいだね」


 竜の口から響いた言葉に僕は驚いた。


「まさか話せるの?」


「うん。じいちゃんに教えてもらったんだ」


 人間の言葉が話せるドラゴンとなると、その数はとても少ない。

 エルダードラゴンと呼ばれる古竜の血を継いだ種族だけのはずだ。


「人間が好きだから人間たちのところに遊びに行ったんだけど、そうしたら攻撃されちゃって。それでびっくりして我を忘れちゃったんだ」


「人間は君たちから見たらとても弱いからね。君みたいな大きなドラゴンが近づくと、怖くなっちゃうんだよ」


「そうなんだ……。悪いことしちゃったな」


 落ち込んだように首をうなだらせる。

 それから、となりに立つライムに目を向けた。


「キミは不思議な匂いがするね。人間じゃないの?」


「はい。ゴールデンスライムです」


 伸ばした腕がスライム状に液化する。ドラゴンが吐息のようなものを漏らした。


「そっか。人間の姿になれば怖がられないんだね。うらやましいなあ」


 吐息のようなのは、もしかしたらため息だったのかもしれない。


「エルダードラゴンの中には人の姿になれる者もいるって聞いたことあるけど」


 老人の姿になって勇者に助言を与える伝説とかは世界中に存在している。


「じいちゃんはできると思うけど、ボクはまだ教えてもらってないんだ」


「君のおじいちゃんっていうのは、何歳くらいなの」


「二千年くらいは生きてるっていってたよ。でももうボケちゃってるから、本当かどうかはわからないな」


「もし本当に二千年も生きてるなら、ほとんど伝説級のドラゴンじゃないか……」


 もしかしたら伝説に残っているエルダードラゴン本人の可能性もあるくらいだ。

 これはすごいことだ。

 ライムも幻のレアモンスターだけど、二千年も生きるエルダードラゴンとなるともはや伝説級の存在だ。

 しかもその孫までいて、人間の世界の話をしたり、ドラゴンの知識を教えているなんて聞いたこともない。


 もしかしたら、彼らは僕らが思っている以上に人間に近い暮らし方をしているのかも。

 それから僕はしばらく竜についての話をドラゴンから聞いていた。

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