表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/362

薔薇色のお誘い

 アルフォードさんの館で夕食をごちそうになったあと、部屋に戻る前にアルフォードさんから声をかけられた。


「カイン君、あとで私の部屋に来てくれないか」


「えっ、アルフォードさんの部屋に、ですか?」


「ああ、私の部屋は階段を一番上に上がった目の前にある。くればすぐわかるだろう」


 そういえばシルヴィアの部屋も、家の最上階にあったんだっけ。

 ずいぶん大きな部屋で驚いたのを覚えている。


 ああいや、それ以上にとても緊張していたんだっけ。

 あのとき僕はシルヴィアにマッサージを……。

 当時のことを思い出してしまい、顔が熱くなるのを自覚した。


 今はアルフォードさんと話しているんだ。

 シルヴィアの時のようなことになるはずがない。

 僕は軽く首を振って記憶を頭の中から追い払った。


「えっと、それは、なにか僕に用があるということですか……?」


「まあそうだ。ひとつ頼みたいことがあってな。ここで話すのもなんだから、私の部屋に来て欲しいのだ」


 そういえば冒険者協会で会ったときにも、そんなことをいっていたっけ。


 騎士団隊長のアルフォードさんが、家では話せないようなことを頼みたい……。

 そういえばシルヴィアも同じようなことをいってた気が……。

 まさかとは思うけど……。


「えっと、用事とはいったいなんですか?」


「いや、それはだな……。家の者に聞かれるのは少々恥ずかしい話ではあるので、ここでは言いにくいというか……」


 なんかアルフォードさんが恥ずかしがってる!?

 ま、ま、ま、まさか、アルフォードさんもマッサージをして欲しいとか言い出さないよね!?


 ……はっ!? そういえばニアも、貴族のあいだでは男色がはやっているって……!?

 男色って確か、男性同士で愛し合うことだよね……?

 もちろんアルフォードさんにどんな趣味があったとしても僕に口を出す権利なんてないんだけど、僕にそういう趣味はないし……。


「ええと、アルフォードさんの頼みたいことというのは、僕がなにかをするようなことなのですか……?」


「ああいや、カイン君がなにかするようなことはない」


「そ、そうなんですか」


 ちょっとだけほっとした。

 もちろん信じてたけどね。


「主に私が体を動かすだけだ」


 ひぃ!


「そ、その、運動というのは、具体的にはどのような……?」


「はっはっは。私は騎士だぞ。体を動かすといえばひとつに決まっているだろう」


「それは、騎士のあいだではやっているという……?」


「そうだな。皆毎日やっていることではあるな」


 ひぃぃぃ! やっぱり!


「久しぶりに体を動かすのも気持ちがいいだろうからな。もちろんカイン君は見てるだけで問題ない。すべて私に任せてくれたまえ」


 身も心も任せてほしい!?

 とはいえ、お世話になっている身なんだから、誘いを断るわけにもいかないよね……。


「ええと、その、では後で伺わせていただきたいと思います……」


「そんなにかしこまらなくても大丈夫だ。それにわたしとカイン君の仲だろう。もっと気楽にして欲しい」


 アルフォードさんはそういって笑っていたけど、僕はとてもそんな気にはなれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました
「横暴幼馴染が勇者の資格を剥奪されたので、奴隷にして再教育してあげることにしました」
https://ncode.syosetu.com/n7380gb/

アーススターノベル様より9/14に書籍版が発売されます!
よろしくお願いします!
i000000
クリックすると特集ページに飛びます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ