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あなたも師匠の体が目当てなんですね

「ふふん! そんな好きでもなんでもない女騎士の家なんかに行く必要はありませんよ!」


 急にニアが声を響かせた。

 即座にシルヴィアが鋭い視線を向ける。


「どういう意味だちびっ子」


「どうもこうもありませんよ。分かり切ってるじゃないですか。師匠は私のことが好き! で、私も師匠のことが好き! なんです。なら次はやっぱり私の家しかないでしょう?」


 やけに好きの部分を強調する。

 それから僕に甘えるような目を向けた。


「もちろん今日だけといわず、明日も明後日もそのまま一生でも私の家に住んでもらって構わないのですが」


「そういってもらえるのはうれしいけど、ニアにも十分迷惑をかけちゃってるからなあ」


「そんなこと気にしないといいますか、どんどん迷惑をかけてほしいのですが」


 もちろんニアはそういってくれるだろう。

 でも、だからといってその言葉に甘えてばかりっていうのは、やっぱり違うと思うんだ。

 とはいえ宿がないことには変わりないし……。

 と思っていたところ、意外なところから助けがきた。


「そういうことなら私の家ではどうだ」


「え、アルフォードさんの家ですか?」


「ちょうど頼みたいこともあったところだ。ここだと周囲が気になって話しにくいが、私の家でならそういう心配もないからな」


「そういうことでしたら、お邪魔させてもらってもいいですか」


「師匠!?」


 ニアの悲痛な声が響いた。

 対してシルヴィアは不満そうではあるものの、ニアほどではないみたいだった。


「まあ、ちびっ子の家に行かれるくらいなら、アルフォード様の家の方が安心できるか……」


「おい破廉恥女騎士! さっき同盟を組んだばかりでしょう!」


「破廉恥とはなんだ! 私のは純愛だ! それに貴様と手を組んだのは新たな女が近づいてきたときに撃退するためであって、貴様をカイン殿とくっつける協力をするためではない」


「師匠から好かれてもいない女騎士が偉そうに!」


「貴様への好きはしょせん師弟の枠を越えられないようだが、私の愛はこれからいくらでも深められる。将来性があるのはどちらかな?」


「ぐぬぬぬ……! 同盟は破棄だ破棄! やっぱりお前からつぶしてやる!」


「いいだろう、受けて立ってやる!」


 なにやらニアとシルヴィアが言い争っている。

 さっきまで仲良くしたと思っていたんだけど、急にどうしたんだろう。

「はっはっは。若い者は元気があっていいな」


 アルフォードさんはそんな二人を見ておおらかに笑っていた。


 ニアがキッと鋭い視線を向ける。


「だいたいあなたこそ師匠に話があるとのことでしたが、いったいどんな用事なんですか? 話があるならここですればいいじゃないですか。なんなら私の家でしても構わないんですよ」


「いや、それはだな……。お言葉はありがたいのだが、人前でするには少々いいにくい話でな……」


 なにやら言いにくそうな様子のアルフォードさん。

 するとニアが口元をニヤツかせた。


「ははあ、わかりましたよ。貴族のあいだでは男色がはやっていると聞いたことがありましたけど、あなたも師匠の体が目当てなんですね」


「い、いきなりなにを言ってるんだ君は!」


 アルフォードさんが慌てたように声を上げる。

 えっ、そこでなんで慌てるんですか?

 ニアも若干アルフォードさんから距離を取るように体を引いた。


「まさか王都騎士団総長が庶民の師匠にご執心だなんて、とんだ大スキャンダルですね。さっそく言いふらさないと」


「根も葉もない噂はやめたまえ!」


「アルフォード様……」


「シルヴィア君もなに信じているんだ!」


「でも気持ちは分かりますよ。師匠は強くてカッコよくて優しいですからね。自分でも受け入れてもらえると勘違いしたんでしょう。ですが本妻と愛人と雌奴隷の地位はすでに私たちのものですから、残ってるのはペット枠くらいですよ? いくらうちの犬小屋が空いているからって、さすがにそれは……」


「だからさっきからなにをいってるんだ!」


「おいちびっ子、雌奴隷というのはもちろん自分のことをいっているんだろうな?」


 言い争う二人にシルヴィアも参戦する。

 そんな三人を見ながらライムが不思議そうな顔をした。


「カインさん、雌奴隷ってなんですか?」


 どうしよう頭が痛くなってきた。

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