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共同戦線

 エルやライムとの話が一段落すると、それまで黙って聞いていたニアがおずおずといった様子で声をかけてきた。


「あの、師匠……。その人はいったい……」


「ああ、そういえばニアは会うのが初めてだったね。この子はエル。僕の……ええと、なんて説明したらいいのかな。家族というか、仲間みたいなものというか……」


「友達、だよ」


 エルがそう訂正した。

 そういえばそうだったね。

 人間の友達なんて初めてだといって、とても喜んでいたんだった。


 そんな僕らの関係をどう思ったのか、ニアが目を細めて僕らを見る。


「エル……。そういえば、私の家に泊まるときに、そんな名前の女が来るかもしれないといっていましたね……。かわいい女の子だとはそのときから聞いていましたが……」


 ニアが拳を力強くテーブルに叩きつけた。


「本当に美少女じゃないか!」


「えっ、どうしたのいきなり」


 ニアがなんだかものすごく悔しそうにしていた。

 確かにエルはすごいかわいいからね。

 僕から見たらニアも十分魅力的だと思うんだけど。


 ニアはテーブルを叩いた姿勢のままうつむいている。


「うう……。さすが師匠です……。師匠ほどすてきでかっこよくて優しい人がいたら、当然他の女も放っておくわけありませんよね……」


 そしてなぜかシルヴィアも遠い目をしていた。


「カイン殿の魅力を考えればこの程度は当然……。さすがはカイン殿というべきなのだろうが……王都には見た目だけは着飾った女が多いからな……」


 その言葉にニアが顔を上げる。

 シルヴィアとお互い目配せをすると、なにやら深くうなずきあった。


「今は一時休戦にしませんか。これ以上悪い虫が付くのを食い止めなければなりません」


「奇遇だな、私も同じことを思っていたところだ。ちびっ子と手を組むのは業腹だが、背に腹は代えられないからな」


「では決定ですね。二番手は譲れませんが、三番手なら認めてあげましょう」


「ふっ、それはカイン殿が決めることだから結果は見えているが、貴様は私の次にはカイン殿にふさわしいようだからな」


「ふふふ。騎士団長様は冗談もお上手ですね」


「ははは。貴様には負けるがな」


 そういって二人は固く握手した。

 どうやら仲良くなったみたいだ、というには、ずいぶん笑顔がひきつっているんだけど……。


「明日は敵だが今日は友、というやつだ」


 聞いたことない言葉だなあ。




「ねえキミ、ニアだっけ」


 エルがニアに話しかける。

 人間大好きな彼女は物怖じしないで誰にでも声をかけられるんだよね。


 けど、ニアは鋭い目つきでエルを見返した。


「なんですか? アナタに軽々しく名前を呼ばれる筋合いなんてないんですけど」


 言葉にも刺がある。

 完全に嫌っているときの態度だ。


 ニアは好き嫌いがすぐ態度にでるからなあ……。

 そういうところは直した方がいいと思うんだけど。


 けど、次のエルの言葉でそんな態度も吹き飛んでしまった。


「ニアはカインのことが好きだよね?」


「ふえぇ!?」


 ニアが真っ赤な顔で立ち上がった。

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