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レアアイテムの見つけ方

 やがてライオネルたちと一緒に王家の丘の門を出発した。

 目の前には、地面を踏み固めただけのゆるやかな登り道がまっすぐに続いている。

 道の向こうには盛り上がるように大きくなった山が見え、生い茂る木々も広がっていた。


 とてものどかで雄大な景色だ。

 王家の丘と呼ばれているのも、単に王家が所有しているからというだけではないのかもしれないね。


 太陽はまだ真上に差し掛かったばかり。

 絶好の探索日和だった。


 ライムが楽しそうに先頭を歩く。

 僕はその後を追いかけるようになだらかな道を進んでいった。


 そんな僕たちをライオネルが不思議そうな視線で見つめる。


「カイン様は千年苔を取りに来たんですよね」


「うん、そうだよ」


「それにしてはその、ずいぶん軽装といいますか……」


「確かにカインは荷物が少ないわよね」


 どうやら僕の荷物に驚いているみたいだった。

 確かに今の僕は荷物らしい荷物はほとんど持っていない。

 シルヴィアたちと果ての草原に向かった時とほとんど同じ装備だ。


 逆にライオネルとマイヤーは鎧の上から大きな荷物を担いでいる。


「二人はそんなに持って重くないの?」


「鍛えていますからこれくらいなら平気です。むしろ千年苔を取ることを考えたらこれでも少ない方だと思うのですが……」


「カインに限って心配はないと思うんだけど、千年苔の探し方を知らないなんてことはないわよね?」


 マイヤーの疑問に僕はうなずいて答えた。


「もちろん。千年苔は千年前から生きるといわれる植物だからね。自生できる場所はとても限られていて、普通に見つけることはできないんだよね」


 まあ、千年前から生きているといわれてるだけで、まさか本当に千年間生き続けていることはないと思うけど……。


 普通の苔は湿気の多いところを好むけど、千年苔は成長方法が違うみたいで、普通の場所では育成しない。

 特殊な魔力を糧にしているともいわれるけど、詳しいことはわかっていないんだ。


 だから僕たち人間には生息場所が予測できず、過去の経験から生えていそうなところを闇雲に探し回ることになる。

 でも、元々が希少な苔だから、その方法で見つけることはほとんど不可能なんだ。


 話を聞いたライムが振り返る。


「それじゃあどうやって見つけるんですか」


「僕たちには千年苔が好むとされる魔力を感知できない。だけど、その魔力を感知できる器官を持った生き物がいる。それが、千年苔を主食とする唯一のモンスター、アダマンタイマイだ」


 千年苔には非常に強い生命力がある。

 そのため、それを食べるアダマンタイマイにも非常に強い生命力が蓄えられる。

 自身の内に蓄えて凝縮させる分、アダマンタイマイの方が効果は強いといわれるくらいだ。


 だからアダマンタイマイを探せば、自然と苔の場所もわかることになる。

 もっとも、希少な苔が主食のモンスターだから、その数もまたとても少ない。


 王家の丘は、アダマンタイマイが生息する数少ない土地だ。

 それが規制された原因でもあるんだけど。

 その面積は広大で、王都が10個も20個も入るといわれているほど広だ。

 そしてそんな広い土地に、アダマンタイマイは10匹程度しかいないといわれている。


 しかも地中深くに住み、ほとんどを土の中で過ごすため、地上に出てくることはない。

 アダマンタイマイを見つけることは、砂漠に落ちた針を探すより難しいといわれるくらいだ。


「そんなに大変なんですか?」


「ユニコーンと違って逃げるわけではありませんからクエストランクはB級というところですが、それでも四人で手分けをして虱潰しに探したとしても、一ヶ月以内に見つけられれば運がよい方といえるでしょう」


 ライオネルが答える。

 マイヤーも苦笑を浮かべた。


「だからカインとライムの二人しかいないのを見たときはちょっと驚いたのよ。もっと大規模な捜索隊を組織してくると思っていたから」


「食料は現地調達し、門の詰め所を拠点とすれば寝床もある程度はなんとかなるでしょうけど、それでもやはり一ヶ月は滞在することを考えたらこれくらいの荷物にはなると思ったのですが」


 なるほど。それであんなに大荷物だったんだ。


「実はアダマンタイマイを見つける方法については考えがあるんだ。だからたぶんそんなに時間はかからないんじゃないかと思って」


「そんな方法があるんですか?」


「うん。そのためにはライムに力を貸してほしいんだけど」


「もちろん、カインさんのお役に立てるのならなんでもします!」


 ライムはすぐにそういってくれた。

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