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つまり夫婦ってことですか?

「そうだ。僕たちに様はつけなくてもいいよ。年も近いのにそんなにかしこまられるのも変な感じだし。それに、様だなんて言われ慣れてないからなんだか落ち着かないんだ」


 そういうと、マイヤーさんも笑顔になってうなずいた。


「それもそうね。それじゃあお言葉に甘えて呼び捨てで呼ばせてもらうわ。よろしくねカイン、ライム。かわりといってはなんだけど、私たちのことも呼び捨てでいいわよ」


「マイヤー、お前はまたすぐそうやって……」


「僕は構わないよ。よろしくね、ライオネル、マイヤー」


「ほら、カインもこう言ってるんだからいいじゃない。ライオネルが固すぎるのよ」


 マイヤーに言われてライオネルも少し言葉に詰まる。

 葛藤するかのように考えこんでいたけど、やがてなにかを振り払うように小さく首を振った。


「……いえ、やはりカイン様、ライム様と呼ばせていただければと思います。騎士として最低限の礼節は必要だと思いますので。せっかくのカイン様のご厚意にお応えできないのは申し訳ありませんが……」


「ああ、うん。気にしないで。呼びやすいように呼んでもらえればいいから」


 ちょっとむずかゆい感じがするけど、無理に変えてもらうほどでもないからね。


「ところで二人同じシルヴィアの騎士団にいたんだと思うけど、それにしてはずいぶんと仲がいいみたいだし、どういう関係なの?」


 二人の会話はずいぶんと砕けた感じがする。

 生真面目なライオネルも、マイヤーに対しては遠慮していないようだった。

 同じ騎士団の仲間だから、というだけじゃない気がするんだ。


 たずねると、ライオネルは少しだけバツの悪そうな顔になった。


「見苦しいところをお見せしてすみません。マイヤーとはまあ、いわゆる幼なじみというやつでして」


「そうそう、同じ村の出身で、一緒に村を出て騎士になったんですよ。そのせいもあってか、こうして一緒に仕事をする機会も多いんです」


「それでそんなに仲がいいんだ。ペアで行動するときは連携が重要だからね。同じ村の出身ならお互いのこともよくわかってるだろうし、それで選ばれてるんじゃないかな」


「まあ、やりやすいのは認めますけどね」


「私が合わせてあげてるんだから感謝しなさいよね」


「はいはい」


 ライオネルが嘆息混じりに答える。

 こういう軽口をたたけるのも、やっぱり二人の仲がいいからってことだよね。

 話を聞いていたライムが、きょとんとしながら無邪気にたずねた。


「昔から仲がよくて、お互いのことをわかってて、よく一緒に行動する……。つまり二人は夫婦ってことですか?」


「「いやいや、それはありえないです」」


 ライオネルとマイヤーが同時に否定した。


「仲がいいというか、単にマイヤーは生意気な妹のようなものなので、仕方なく面倒を見てる感じなんですよ」

「そうそう、ライオネルは手のかかる弟みたいなものだから、仕方なく私が面倒を見てあげてるんですよ」


 同時にいって、そして同時ににらみ合った。


「どう考えても俺の方が兄だろ?」

「どう考えても私の方が姉でしょ?」


 お互いそこは譲れないみたいだ。

 やっぱり仲がいいなあ。

 ケンカするほど仲がいい、なんていうけど、この二人に関してはまさにそうだよね。


 ライムが僕の腕にくっつきながら、そんな二人を不思議そうに見つめていた。


「ケンカしてるのに、なんだか楽しそうです。人間の夫婦はわたしとカインさんみたいなものだと思ってたんですけど、他にもいろいろあるんですね」


 そうだね。色々な人がいるからね。

 ああいうのもひとつの形なんだと思う。

 ただ……。


「僕たちは夫婦ではないけどね」


「ぶーぶー」


 ライムが頬を膨らませて不満をあげる。

 それから、声を上げて笑い出した。


「カインさんとこうしてケンカできるのも、わたしたちの仲がいいからなんですね!」

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