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王家の丘の門にて

 王家の丘とは王族しか入れない広大な国有地のことだ。

 神聖な場所ということになっているけど、実際は豊富な資源をもつ場所である。

 大昔に所有権を巡って戦争が起こったこともあるため、そういったことが二度と起こらないように今の王家が管理しているんだ。


 入り口となる門には兵士の詰め所が併設されていて、門と一体化しているためちょっとした砦みたいになっている。

 それに二階建てになっていることもあって、近くから見ると結構迫力があった。

 ライムが驚いた表情で見上げている。


「うわー、おっきいですねえ」


「門番の仕事は何日も泊まりがけになると思うし、ここに何日も暮らせるように作られているのかもしれないね」


 砦の左右からは、広大な土地を囲むように壁が続いている。

 壁自体は薄くて壊そうと思えば簡単に破壊できそうだけど、壊したり上を乗り越えようとすればすぐに通報される仕組みになっているんだ。


 そして王家の丘への不法侵入は死罪。

 王家の丘はとても広いから、全部に厳重な警備を敷くことは現実的にはほぼ不可能。

 だから不釣り合いなほど重い罪にすることで、侵入者に対する抑止力となっているんだ。

 そのおかげもあってか、侵入者はとても少ないらしいんだよね。


 いくら貴重な資源があるといっても、さすがに命を賭けるほどではないからね。


 門に近づくと、警備をしていた兵士の人が気さくに声をかけてきた。


「こんな辺鄙なところまでご苦労さん。通行書はあるかい?」


「門番のお仕事もご苦労様です。こちらが通行書です」


 受け取った門番の人が興味深そうに通行書をのぞきこんだ。


「へえ、オルベリク家の通行書か。ずいぶん偉い人が来たもんだな」


「許可をもらっただけで、僕は普通の一般人ですよ」


「ははっ、そうだろうな。悪いが貴族って感じには見えないからな!」


 笑い声をあげてから、ライムのほうに目を向ける。


「そっちの子はえらい美人だが、観光ってわけじゃないんだろ」


「ええ、ちょっと必要な素材がありまして、それを採りに来たんです」


「了解。ここは全然人も来なくて暇だからな。いくらでもゆっくり探してってくれ。……おっと、そういやオルベリク家の関係者が来たら呼んでくれっていわれてるんだった。門は開けていくから、ちょっとここで待っててくれ」


 そう告げると、本当に門を開いて詰め所の中へと入っていった。

 おかげで門番がいなくなっちゃったけど、まあいきなりここを襲うような人もいないだろうからね。


 待っているあいだに、馬車が僕たちの横に止まった。


「それでは私は先に馬車を止めてまいります。カイン様の用事が済むまでここにおりますので、帰りの際にはお声かけください」


「はい、わかりました。ここまでありがとうございました」


「ありがとうございましたー!」


 僕の声にあわせてライムも元気よく声を上げる。

 御者の人は笑顔で会釈すると、門を抜けた先にある小さな小屋へと向かっていった。

 あそこが馬車をとめておくための建物みたいだね。


 そのまましばらく門の前で待っていると、やがて詰め所の中から金属のぶつかり合うような音が聞こえてきた。

 ちょうど鎧を着て走っているときのような音だ。

 やがて鎧姿の男性がやってきて、僕たちに向かって大きく頭を下げた。


「カイン様、ライム様、お久しぶりです!」


 えっ、誰だろう。

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