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三つの素材

「それで、このレシピに必要な素材は手に入りそうかしら」


 僕は改めてレシピを確認する。

 複雑な工程とたくさんの素材を必要とするけど、特に問題となりそうなのは3つの素材だった。


「アダマンタイマイの甲羅。生命の水。不死鳥の羽。この3つが大変そうだね。このレシピを見る限りでは、だけど」


 このレシピにはたぶん6枚目がある。

 それが僕がアイテムの効果を正確に想像できない理由でもあった。

 たぶん、レシピを全部見せちゃったら僕がそれを真似して作っちゃうかもしれないから、自衛のために一番重要な仕上げの行程を隠したんだと思う。


 フィアが口元で妖艶な笑みを見せた。


「フフフ、この特殊な製法を一目で見抜くなんて、本当に優秀なのね。心配しなくても最後のレシピは仕上げだけですので、新たな素材が必要になることはありませんわ。

 それで、その三つの調達を頼んでもいいかしら」


「……難しいとは思うけど、やってみるよ」


「できない、といわないのね。ワタクシは早々にあきらめてしまったのだけど」


「まったく無理ってわけでもないと思うし、なによりカイゼルさんのためだからね」


 確かにとても難しいと思う。

 でも不可能じゃない。

 不老不死の薬を作ってくれといわれたら断るしかないけど、僕なんかの力で助かる人がいるのなら、できる限りのことはしたいんだ。


「アダマンタイマイの甲羅については、偶然だけどちょうど手に入るあてがあるんだ。だからなんとかなると思う。難しいのは生命の水と不死鳥の羽かな……」


 特に不死鳥は数百年に一度しか現れないといわれ、それがいつになるのかは誰にもわからない。

 探してどうにかなるものじゃないんだ。

 その羽を手に入れるとなると、最終的には運に頼ることになるかもしれない。


 だけど、フィアが口元に妖艶な笑みを浮かべた。


「羽についてはワタクシのほうで目処が付いていますわ」


「えっ、そうなんだ。とても大変だと思うんだけど」


「今回に限ってはお金さえあれば何とかなるのよ」


「……僕はあまりお金がないんだけど」


「フフ、その心配はいりませんわ。何しろワタクシたちの依頼人は王都でも有数の大商人ですもの。薬のためといえばいくらでも出してくれるでしょう」


 ああ、確かにそうだった。

 元はカイゼルさんからの依頼なんだから、カイゼルさんに頼めば、きっとお金の問題は何とかしれくれるはず。


「ということは、不死鳥の羽はこの王都にあるってことなの?」


「ええ、そうよ。一般に出回っているわけではないけど、確かに今この王都にあるわ。あとは持ち主から買い取るだけ。簡単でしょう?」


 それがいくらになるか僕には想像もできないけど、数百年に一度しか現れないといわれる不死鳥を探すよりはるかに簡単なことは確かだ。


「じゃあ問題なのは生命の水だね……。どうすればいいかまだ思いつかないけど、とにかく何か考えてみるよ」


「それじゃあ契約成立ね。ワタクシがレシピを提供し、アナタが素材を集める。報酬は山分けでいいかしら」


「えっ、半分ももらっていいの? てっきりフィアが七割くらいかと思ってたけど」


 素材は誰にでも採れるけど、レシピはフィアしか持っていない。

 そういうときはレシピの提供者が多くもらうのが普通なんだけど。


「アナタは簡単にいったけれど、アダマンタイマイの甲羅も、生命の水も、手に入れるのはそれだけ大変なのです。一生かけても見つからない幻のアイテムといわれることもあるくらいですもの」


 そうだったんだ。

 確かにそのどれも僕は未だに見たことはなかったけど。


「それにしても、フィアのレシピはすごいよね。僕も知らない斬新な製法ばかりだった。どうやってこのレシピを作ったの」


「レシピについては教えられませんわ。企業秘密ですから」


 そういって、表情の読めない笑みを浮かべた。

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