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今日のシルヴィアはやけにかわいいなあ

 マッサージをしにシルヴィアの部屋に行ったんだけど、結局なにもしないまま部屋の出口に戻ってきていた。

 本当にいいのかなと思ったんだけど、シルヴィアはやわらかく微笑んだ。


「ふふ、もう十分だ。カイン殿にはたくさんの愛をもらったからな」


「え、そ、そうかな……」


 なぜかものすごく恥ずかしいことを言われてつい照れてしまう。

 でもシルヴィアの疲れは確かに取れたように見える。

 よくわからないけど、役に立てたのならよかったかな。




 朝になると僕たちは、昨日と同じ食事用の部屋にきていた。

 朝食も用意してくれるとのことだったので、ご馳走になることにしたんだ。


「ここのご飯はカインさんの次くらいに美味しいしたくさん食べれて幸せです~。あ、お代わりお願いします~」


 朝の弱いライムも上機嫌で次々に食べていた。

 倉庫を空にしそうな勢いで食べているけど、昨日と違ってシルヴィアも表情は明るかった。


「うむ。今日は清々しい朝だな。よい一日になりそうだ!」


 ご飯もたくさん食べている。

 なんとなく肌も昨日よりツヤツヤしている気がする。

 周りの使用人たちも驚いているみたいだった。


「あんなに上機嫌なお嬢様は初めて見るわ」

「よっぽどうれしいことがあったのね」

「そういえば昨日の夜遅くに、お嬢様の部屋を訪ねた人がいたらしいわよ」

「へえぇ、なるほどねえ。そんな夜中にナニをしていたのか全然わからないけど、よっぽどイイコトがあったのでしょうね」


 ヒソヒソと声が交わされ、なぜか僕のほうに視線が向けられていた。

 うう……。どうも僕が行ったことはバレてるっぽい。

 でも結局なにもしてないし……。

 バレて困るようなことは何もしてないから大丈夫だよね。うん。問題ないない。




 出発の時間になると、シルヴィアが玄関まで見送りに来てくれた。


「私もカイン殿に同行したいのだが、どうしても今日は騎士として外せない用事があってな……」


「ありがとう。その気持ちだけでうれしいよ」


「うう……。すまない……。早く立派な騎士になるためにも、どうしてもこちらの用事を優先しなければならないのだ……。本当はもっとカイン殿と一緒にいたいのだが……」


「僕のほうは大した用でもないから気にしないで」


「……そんなにあっさりいわれるのもちょっと悲しいな」


「ええっ? そ、そんなつもりじゃなかったんだけど……」


 慌てる僕を見て、シルヴィアが楽しそうに笑った。


「ふふっ。冗談だ。気にしないでくれ。昨日はカイン殿にイジワルされてしまったからな。少しやりかえしたくなっただけだ」


 イジワルなんてしたかなあ……。


「それにしてもシルヴィアはいつでも頑張っていてすごいよね」


「オルベリク家の長女として生まれたからには当然だ。

 でも、もちろんそれだけじゃない。

 立派な騎士になったらカイン殿のプロポーズに返事をすると約束しているからな……。私も早くカイン殿と毎日一緒にいられるようになりたいのだ……」


 最後のほうはなぜか声が小さくなったのでよく聞き取れなかった。

 でも、立派な騎士になりたいといったのは僕にもわかっていた。


「僕もシルヴィアが早く立派な騎士になれる日を楽しみにしてるよ」


「カイン殿もその日を心待ちにしていてくれるのか……?」


「もちろんだよ」


 僕はシルヴィアのことを本当に尊敬しているし、そんなシルヴィアが立派な騎士になれる日を心待ちにしている。


「もっとも僕から見たらシルヴィアはすでに立派な騎士なんだけど」


「そ、それはつまり、今すぐにでも私と……」


 シルヴィアの顔が見る見るうちに真っ赤になっていった。


「こ、こんなところでそんなことをいわないでくれ! 使用人たちも見ているのだぞ! これでは誤解されてしまうではないか」


「えっ、誤解なの?」


 シルヴィアが立派な騎士を目指していることは誰でも知ってることだと思っていたんだけど。


「……っ!! い、いや、誤解ではない……。確かに、私たちは、その……想い合っているのだからなにも問題はないのだが……そんなまっすぐな目で見られると、照れるではないか……」


 なぜだかもごもごとそんなことをつぶやいてうつむいてしまった。

 どうしたんだろう。

 今日のシルヴィアはやけにかわいいなあ。

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