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お風呂屋さん5◇

 ライムをリラックスさせてあげるために、ライムの頭をなでてあげることにした。

 後ろを見ないようにしながら、背中越しに手を伸ばす。


「カインさん……? どうしたんですか……?」


「こうすればライムもリラックスできるんじゃないかなって思って。いやだったかな?」


 ゆっくりとライムの頭をなでてあげると、やがて嬉しそうな声が聞こえてきた。


「えへへ~。そんなことないです。わたしカインさんに頭をなでてもらうの好きなんです」


「それはよかった」


「お風呂はとても気持ちよくて、カインさんに頭なでてもらえるのも気持ちよくて、とってもとっても気持ちいいです~」


 ライムの間延びした声が響く。

 その言葉通り、しばらくするとお腹の力も抜けてきた。

 よかった、これなら抜けそうだ。


 おかげでなんとか僕の手も外に出すことができた。


 僕も疲れていたけど、それ以上にずっとお風呂につかっていたライムの方が心配だ。

 様子を確かめるために背後を振り返る。


「ライム、大丈夫だった……?」


 お風呂の中で脱力したように浮かんでいたライムが、僕に向けてほほえんだ。


「カインさん、お風呂って、すごく気持ちいいんですね……♪」


「う、うん。まあ、そうだね。喜んでもらえてよかったよ」


 お風呂が気持ちいいのは僕も同意だけど。

 でもなんか違う気がするなあ。


「ところでライム、そろそろセーラたちのところに戻った方がいいと思うんだけど……」


 とはいえ、どうやって戻ったらいいんだろう。

 となりにつながる扉があるわけないし、ここからライムを連れ出そうとしたらどうやってもお客さんに見つかってしまう。

 どうしたらいいか悩んでいたら、ライムがにっこりと笑顔になった。


「カインさんのおかげで体がトロトロになったので、今なら来たときの細い道を通って帰れそうです」


 細い道というのは、配管のことだろう。

 確かにぐったりとしている体は半分溶けかけているみたいで、お湯の中で輪郭が曖昧になっていた。

 お湯と同化している今なら、あそこを通ってとなりの女湯にまで戻れるはず。


「それじゃあカインさん、また一緒にお風呂はいりましょうね」


 そういうと完全にお風呂の水と同化して見えなくなった。

 どうやら中に潜って戻っていったみたいだ。


 とりあえず、お風呂は一緒に入るものじゃないと後でちゃんと教えておかないとなあ。

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