お風呂屋さん4◇
ライムの体が柔らかくなっていたせいで、少し押しただけで僕の手が中に入ってしまったみたいだ。
ライムが僕にしがみつきながら声を絞り出す。
「か、カインさん、手が中に……」
「大丈夫だよ。すぐに抜くから」
「ほんとうですか……?」
「もちろんだよ」
安心させるようにささやく。
やがて背後でライムのうなずく気配が伝わってきた。
どうやらわかってくれたみたいだ。
だけどライムは緊張しているのか、引っ張っても抜けなかった。
「ライム、ほら、力を抜いて……」
「そ、そんなこといわれても、カインさんの手が入ってるって思うと、恥ずかしくて……」
ライムが消え入りそうな声でつぶやく。
裸を見られても平気なライムでも、この状況は恥ずかしいみたいだ。
それにしても、困ったな。
これじゃあ抜けないよ。
それに僕も長くお風呂につかっているせいでのぼせてきた。
全身が熱くなっているのが自分でもわかる。
うう……。ちょっと頭がゆだってきたかも……。
まわらないあたまでひっしにかんがえていると、めいあんがひらめいた。
そうだ。
ライムが恥ずかしがって力を抜けないのなら、リラックスさせてあげればいいんだ。
そうすればきっといい具合に力も抜けるよね。
とはいえ、こんな状況でライムをリラックスさせる方法なんて、いったいどうすればいいんだろう……。
悩んでいた僕は、以前にライムがいっていたことを思い出した。
そういえば頭をなでられるのが好きなんだっけ。
なでてあげればきっとリラックスできるはずだよね。




