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デイリークエスト1

 乾燥させた薬草を粉末状になるまで細かく磨り潰し、水で溶かしていく。

 完全に溶けきったことを確認すると、そこに別のポーションを入れて混ぜ合わせた。

 勢いよく混ぜすぎると成分が壊れてしまう。

 ゆっくりと慎重にかき混ぜると、やがて緑色の粉末水がだんだんと青色になっていく。

 それを丁寧にこして不純物を取り除くと、透き通るような青色の液体ができあがった。


「……よし、完成だ」


 できあがったポーションを見て満足げにうなずいていると、急に声が聞こえてきた。


「ふわー、すごいキレイですね!」


「うわっ、ライム!? いつからいたの」


 いつの間にか目の前にライムがいて驚いてしまう。

 ライムは出来上がったポーションを興味深そうにのぞき込んでいた。

 作業台を挟んで反対側にいる。

 手を伸ばせば十分に届くほどの近さだ。

 こんな近くにいたのに、声をかけられるまで全然気がつかなかったよ。


 ライムがうれしそうな笑みを見せる。


「えへへ、ずっと見てましたよー。カインさんがお仕事していたので邪魔しないようにしてたんです」


「集中してたから全然気が付かなかったよ。ごめんね」


「いいえ! 真剣なカインさんのお顔をずっと見ることができてとても幸せでした!」


「そ、そうなんだ……」


「はい、そうなんです!」


 ニコニコ笑顔でうなずかれてしまう。

 僕の顔は別に普通だと思うんだけど……。

 眺めてても面白いものじゃないと思うし……。


「ええと……、せっかくだから、ライムもやってみる?」


 話題を変えようとそんなことをいったら、ライムが勢いよく立ち上がった。


「いいんですか!?」


「もちろん。そんなに難しくはないから、ライムも覚えればできるよ」


「じゃあやりたいです!」


 元気よく手を挙がった。

 そういうわけで、ライムにポーション作りを教えることになった。


 といっても方法はとても簡単だ。

 一通りの方法を教えると、ライムがさっそく作業をはじめた。


 乾燥させた薬草を粉末状にして、それを水に溶かす。

 完全に溶けきったところで、別の薬品を入れてゆっくりとかき混ぜる。

 すると緑の薬草が青色に変わるから、それを濾過装置に通して薬草の残滓を取り除くんだ。


 そうすると透明な緑の液体だけが残る。

 それが僕特製のポーションなんだ。


 特製といっても、普通のポーションの作り方を僕が少し改良しただけだから、そんなに大したものじゃないんだけどね。


 ライムがものすごく真剣で慎重にやっているのを見て、つい笑みが浮かんだ。

 今でこそ簡単に作れるけど、僕も初めのころは緊張したっけ。


 なんだか昔のことを思い出して懐かしくなりながら、僕も残りのポーション作りをはじめた。


 しばらくしてライムが出来上がったものを持ってくる。


「カインさん、どうですか……?」


 恐る恐るといった様子で聞いてきた。

 ライムの作ったポーションは色も透明で、少しなめてみると効果もしっかりと出ていた。


「うん、よくできてるね。初めてでこれだけできるなんてすごいよ」


「えへへ~。でもカインさんにはまだまだです」


「そんなことないよ。僕も最初は失敗しちゃったから」


「そうなんですか? でしたら、カインさんの教え方が上手かったからですね!」


 確かに僕の時は全部自分一人で調べながらだったから、そのぶんは楽かもしれないね。


「でも、最初から失敗せずにできるなんて、やっぱりライムはすごいね」

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