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新たな同居人1

いつもお読みいただきありがとうございます。

草原編が思ったよりも長くなってしまったので、少し日常編を書いていきます。

タイトルはデイリークエストになってますが、「日常編」くらいの意味で、デイリーをこなすわけではないです。特にストーリーもないのんびりした話になる予定(予定)。

涙編はそのあとで。

 セーラから気になるクエストの情報も聞いたことだし今すぐにでも王都に旅立ちたい気分だったけど、そこで思わぬトラブルにあったんだ。


「馬車が壊れた?」


「そうらしいんだ。すまんな」


 御者のおじさんが申し訳なさそうに告げる。

 この町から王都までは、歩くと何十日もかかる。

 だから馬車で向かわないといけないんだけど、こんな田舎の町まで来るもの好きな馬車なんて一台しかない。

 つまりその馬車が壊れちゃうと、王都に行く手段がなくなっちゃうんだ。


「そうですか……。どれくらいで直りそうですか?」


「車軸が折れたからなあ。スペアもないし、一から作らないといかん。10日くらいはかかるんじゃないか」


 その答えに絶望した。

 つまりあと10日間はこの町にいないといけないってことだ。


 もちろんこの町は住みやすいし、10日間どころかずっと住んでいたいくらいだ。

 だけどこの町は狭いから、噂も広がりやすくて……。


「ところでライムちゃん、カインと初めてキスしたんだって?」


 いきなりとんでもないことを聞き出した御者のおじさんに、ライムも笑顔で答える。


「はい、いーっぱいしてもらっちゃいました♪ キスってとっても気持ちいいんですね!」


 ニッコニコの笑顔で僕の腕に抱き着いてくる。

 おじさんも何やらニヤニヤとした笑みで僕を見つめてきた。


「なるほど。あのカインに、いーっぱいしてもらった、ねえ……」


「はい!」


 ライムが全力でうなずき、そのときのことを思い出したのか、自分の唇にそっとふれた。

 とたんに表情をとろけさせる。


「えへー」


 僕としては熱くなった顔をうつむかせることしかできない。

 そもそも僕からしたのは最初だけで、あとはほとんどライムからせまってきたというか……うう、やっぱりこの話はやめよう……。


 ライムはそのときのことが、その……とてもうれしかったらしく、町の人に自慢して回ったみたいなんだ。

 だから王都とこの町を往復しているから町にいないことの方が多い御者のおじさんですら知っている。

 きっともう町中に知れ渡ってしまっているだろう。

 これから会う人みんなに同じようなことを言われるに違いない。

 こんな状態であと10日もこの町で過ごさなきゃいけないんだ。


 ううう……。恥ずかしすぎるよ……。


 ライムはドラゴンの姿に変身できるから、それで王都まで飛んでいくというアイディアも最初は浮かんだんだけど。

 でも、前みたいに人里離れた森の奥というならともかく、こんな町の近くでドラゴンになったら目立っちゃうからダメだよね。

 それに、以前にもドラゴンの襲撃があったばかりだから、また現れたら町の人に余計な心配をかけちゃうと思うし。


 だから僕は決心した。


「そうだ。引きこもろう」

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