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約束しましたから

 シルヴィアたち『自由の風』団が町を出発するのを見届けたあと、僕たちも家へと戻ってきた。

 玄関を開けると同時にライムが部屋の中へと駆け込む。


「うーん、やっと帰ってきましたね!」


「そうだね。ライムにとっては今回は一番長いクエストになったかもしれないね」


 なんだかんだで今までは数日で帰ってこれるクエストばかりだったけど、今回は往復で10日近くかかってるからね。

 僕にとってはそれくらいは普通というか、むしろまだまだ短い方だったけど、ライムにとっては初めての長旅だったんじゃないかな。


「早く帰ってこれるようにいっぱい頑張りましたから!」


 ライムが嬉しそうに報告する。


「お仕事はもう終わりなんですよね?」


「うん、もちろんだよ」


 報酬はシルヴィアたちが王都に戻ったあと、アルフォードさんから届けられることになっている。

 期待して待っていてくれとシルヴィアはいってたけど、いったいなにを贈ってくれるつもりなんだろう。


「それじゃあ、カインさんも早くこっちに来てください!」


 飛び込むようにソファに座ると、となりをポンポンと手でたたいた。

 ずいぶん上機嫌みたいだね。

 僕は苦笑しながらもライムのとなりに座った。


「ライムもいっぱい頑張ってくれたからね。ありがとう」


「はい、いっぱいがんばりました!」


 僕の目を真正面からじいっと見つめながら元気よく答える。

 キラキラとした瞳は、まるでなにかを僕に期待してるみたいだった。


 うーん、いったいなんだろう。

 考えてるあいだにも、ライムの瞳はまっすぐに僕と見つめてそらそうとしない。

 まるで飼い主になつく子犬みたいな純粋さだ。

 なんだろう、ほめて欲しそうな感じだったし、頭でもなでてあげたらいいのかな?


「ふぇっ……?」


 頭に手を乗せてゆっくりとなでる。

 ライムの髪の毛はとてもサラサラでやわらかく、さわるだけでも心地いい。

 ついついずっとなでていたら、ライムの顔がフニャフニャになって溶けていた。


「えへへ~。これとっても好きです~」


 うれしそうだし、これで良かったみたいだね。

 そう思っていたんだけど、ライムはまだ足りないみたいだった。


「それじゃあ、えっと、どうぞ……!」


 なにやら覚悟を決めた様子で僕に向かって両腕を広げる。


「え? なに?」


 本気でわからず聞き返したら、ちょっと唇をとがらせた。


「このクエストが無事に終わったら、ごほうびにキスをしてくれるって約束しました」


「……あっ」


 そういえばそんな約束をしたっけ。すっかり忘れてたよ。




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