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カインの意外な人気

 ライムとエルが再び料理を配りはじめたことで、列も元通りになった。

 相変わらず二人の方が大行列になっていたけど、僕の方にも少しは並んでいる。


 シルヴィアの騎士団はシルヴィアが隊長をしているせいか、女性の騎士もちらほら見かけるんだよね。

 そんなに数は多くないと聞いたことがあるけど、この隊は全体の2、3割くらいは女性騎士な気がする。


 僕のところに並んでいるのもほとんどが女性騎士だった。

 まあライムとエルのところに男性騎士が長蛇の列を作ってるから、あそこに女性が並ぶのは気が引けるのも仕方ないよね。


「はいどうぞ」


 先頭の女性騎士に料理を渡す。

 まだ湯気をくゆらせるスープの入った器を、女性騎士が嬉しそうに受け取った。


「ありがとうございます! これはカインさんが作ったんですか?」


「うん、そうだよ。といっても簡単なものなんだけどね」


「男性なのに料理ができるなんてすごいですね。ここはそんなのに興味ない男ばっかりなので、カインさんみたいな人がいて嬉しいです」


 確かに料理は女性のする仕事、と思ってる人は多い。

 特に騎士になると修行などがあるから、料理をしてる時間はない人がほとんどだと思うし。


「僕は料理くらいしか得意なものがないから、そういってもらえると嬉しいな」


「そんなことないですよ。私はカインさんのこととてもステキだと思います」


「えっ、そ、そうかな」


 いきなり褒められて驚いてしまう。

 きっとお世辞だよね。

 でもほめられて悪い気はしない。

 そう思っていたら、後ろに並んでいた他の人たちも会話に参加してきた。


「そうそう、私もカインさんのことちょっといいなーって思ってたんです!」

「やっぱり料理上手で気配りもできるってポイント高いよね」

「一見頼りなさそうなのに、実際戦闘になると誰よりも頼りになるところとか、ギャップがあるところもいいよねー」

「ライムちゃんと一緒にいるときも常に彼女のことを気にかけてるし、きっといい彼氏さんなんだろうなー」

「いいなー。私もカインさんみたいな彼氏がほしーい」


 いつのまにか複数の女性騎士に囲まれていた。


「えっと、あの、みんな……」


 いきなり口々にほめられ出したので、どうしていいかわからない。

 困っていると、後ろから一喝する声が飛んできた。


「貴様等、いつまで遊んでいるつもりだ! 休憩が終わったのなら持ち場に戻らんか!」


 シルヴィアのよく通る声が響きわたる。

 これで静かになる、と思ったけど、女性騎士たちは一致団結して立ち向かった。


「そういう隊長こそカインさんの列に並んでるじゃないですか」

「カインさんを独り占めするなんてズルいですよ」

「そうだそうだー! いっつも隊長ばっかりカインさんとおしゃべりしてるんですから、今日くらい私たちにおしゃべりさせてくださーい!」


 口々に非難を返す。

 シルヴィアの一喝にもまったく怯んだ様子がない。

 こういうとき女性は強いよね。


 だけどもちろんシルヴィアだって負けるわけない。


「バカなこといってないでさっさと持ち場に戻れ! 休みが必要ないなら今すぐ夜回りの任務をさせてやろうか!」


 さすがに休憩なしは嫌だったみたいで、周りにいた女性騎士たちが一斉に離れていった。


「それじゃあカインさん、またね」

「料理美味しかったです。また手料理ごちそうしてくださいね」

「あのこれ、お礼の手紙です。後で夜中にこっそり一人で読んでください……」


 口々に別れの言葉を述べていく。

 なんか意味深な言葉で手紙を渡されたんだけど、これにはいったいなにが書かれてるんだろう……。

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