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この先は危険区域だよ

 草原を歩く僕の少し先を、ライムとエルが話しながら並んで歩いていた。


「カインさんはわたしがお守りするので、ドラゴンのおともはいりません!」


「ボクは人間の生活に興味があるんだ。だからついていくだけだよ」


「そんなの知りません! 人間なら後ろにいっぱいいるじゃないですか!」


「でもみんなボクと話してくれないんだ」


「ならわたしも話しません! カインさんも話さないですよね!?」


「僕で答えられることなら何でも聞いてくれていいよ」


「だってさ。これからしばらくよろしくね」


「うぐぐぐぐ……! カインさんの浮気者ー!」


 ライムとエルはすっかり仲良くなったみたいだけど、騎士団の人たちは僕らを遠巻きにするように見ていた。


「あのショートカットの子、ほんとにドラゴンなのか?」

「らしいぞ。シルヴィア隊長が目の前で見たらしい」

「とても見えない……。どう見ても普通の女の子……いや美少女じゃないか」

「あのライムって子もかわいくて強いし……、あのカインって奴の回り、ズルくないか?」

「だが俺達にはシルヴィア隊長がいるじゃないか」

「……。これは噂なんだがな……隊長、実は夜に…………」

「ききき貴様ら! なにを話してるんだ!」


 シルヴィアの檄が飛んだ。

 騎士団の雰囲気がちょっと浮ついてたから引き締めたみたいだね。

 ひそひそ聞こえていた声もなくなり、再び規則正しい足音に変わった。


「そういえばエルは、どうして僕らのところに飛んできたの?」


「もちろんキミたちの魔力を感じたから会いたくなってきたのもあるんだけど、もしかしてこの先に進むつもりなのかなと思って見に来たんだ」


「この先になにがあるの?」


「最近この辺りには強いモンスターが増えてるんだ。だから危なそうなら引き返した方がいいんだけど」


 確かにグリフォンも出てきたし、この辺りのモンスターは普段よりは強くなってるのかもしれないね。


「でも僕たちは虹の欠片を探しに来たんだ。だからなるべくここで引き返したくはないんだけど」


「そうなんだ。それじゃあボクも一緒に行くよ。この辺りには詳しいから道案内もできると思うし」


「必要ないです! 全部わたしが倒します!」


「でも虹の欠片の場所は知らないでしょ」


「それは、確かに、知りませんけど……」


 ライムの声がしりすぼみに小さくなっていく。

 けれどすぐに、でも! と顔を上げた。


「わたしのほうが先にカインさんと会ったんですから、カインさんのとなりはわたしの場所なんです! 急に出てきたドラゴンごときにはゆずれません!」


 僕の腕を取ってぎゅっと抱き寄せる。

 まるでエルから奪い返そうとするかのようだ。

 ライムがそう言ってくれるのは本当にうれしいんだけど、この先グリフォンのような強力なモンスターが増えてくるのなら、やっぱり頼りになる味方が多いに越したことはないよね。


「ありがとうライム。でも、エルも一緒に来てくれたら心強いよね」


「カインさんの浮気者ー!」


 ライムが頬を膨らませて僕に抗議した。

 ところでさっきはスルーしちゃったけど、これはさすがに浮気じゃないよね?

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