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ボクたち友達なの?

 僕の前に現れたドラゴンは、思った通り前に出会ったエルダードラゴンだった。


「久しぶりだね。こんなところにいるなんて思わなかったから驚いたよ」


「ボクも人間がずいぶん来るなって思ったらキミがいたから驚いたよ」


「ああ、なんか嗅いだことある匂いだと思ったら、いつかのドラゴンだったんですね」


 ライムが納得したようにうなずいている。


「ボクも、なんかボクみたいな匂いがするから仲間でもいるのかと思ったんだけど、キミだったんだね」


 そういえばライムはドラゴンからもらった鱗を体内に取り込んでいたんだっけ。

 そのせいかもしれないね。


 ドラゴンが大きな巨体をかがめるようにして、首をうんうんとうなずかせている。

 ものすごい巨体なのに、動きが愛嬌あって、なんだかちょっとかわいいよね。


「……カインさん?」


 気が付くとライムが少し拗ねたように僕を見ていた。


「今このドラゴンのことをイヤらしい目で見ていましたね」


「えっ? そんなことないと思うけど……。ちょっとかわいいなと思ったくらいで」


「やっぱり! これだからカインさんはすぐ浮気するんです!」


 えぇ……。

 そういうつもりじゃないし、それだけで浮気とは言わないんじゃないかなぁ……。


 そんな感じで話していたら、気が付くとシルヴィアが呆然としてこっちを見ていた。

 それどころか他の騎士たちも唖然とした様子で立ち呆けている。


「えっと、みんなどうしたの?」


「ど、どうしたもこうしたも……」


 シルヴィアが唖然としている。


「ドラゴンが人間の言葉を話してるとか、なぜそんなに親しげなのかとか、色々ありすぎて頭が混乱しているのだが……」


 なにかを整理するように頭を軽く振った。


「カイン殿はその、そのドラゴンとどういう関係なんだ……?」


「どういう関係といわれると……」


 以前にアルフォードさんと一緒にいたときに仲良くなったドラゴンなんだ。

 といおうと思ったけど、そういえばアルフォードさんにはあの時のドラゴンは倒したことにしてもらったんだった。

 僕たちがドラゴンスレイヤーの称号をもらうと、目立ちすぎて色々と問題がありそうだったからね。

 だからあの時仲良くなったというと、後で問題になっちゃうかもしれない。


「えっと、なんていったらいいのかな。友達?」


「えっ、ボク友達なの?」


 ドラゴンのほうが驚いたみたいだった。

 さすがに人間と友達なんてドラゴンとしては問題あるのかなと思ったけど、そうじゃないみたいだった。


「うわー。人間の友達なんて初めてだよ。うれしいな。ありがとう」


 ずいぶん喜ばれてしまった。

 そういえばこのドラゴンは人間が好きだから人里に遊びに来てたとも言ってたっけ。

 僕たちのところにきたのも、大好きな人間がたくさんいたからかもしれないね。


「こちらこそどういたしまして。僕もドラゴンの友達は初めてだからうれしいよ」


「カインさん! わたしもですよ!」


「あ、うん。そうだね。ライムも……友達、かな?」


 友達というのもちょっと違うかもしれない。

 ライムもすぐに気が付いたようだった。


「あ、そうでした。わたしとカインさんは夫婦なんでした」


「うん、ちがうからね」


 じゃあ何と聞かれると答えられないんだけど……。

 ドラゴンが巨体をかがめるようにして僕らをのぞき込む。


「キミたちは番いだったんだね。ボク人間の生活について興味があるんだ。詳しい話を聞かせてもらってもいいかな」


「はい、もちろんです。カインさんとのことなら何でも聞いてください!」


「いや、本当に何でも教えられるのは、ちょっとアレなんだけど……」


 シルヴィアにも変なこと教えてたみたいだし。

 それにそもそも番いじゃないし……。


 そんな感じで和気あいあいしてる僕らを、シルヴィアが離れたところから呆然と見ていた。


「ドラゴンまで手懐けてしまうというのか……。カイン殿、あなたは、なんという人なのだ……」

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