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すごくしてほしそうだったから

 シルヴィアのテントに来たら、いきなり結婚してくれと言われてしまった。

 なんでそんなことになったのか全然わからない。

 とりあえず理由を聞いてみることにした。


「騎士たる私があのような醜態を見せるなどあってはならないことだ。しかし、夫婦となれば話は別。それはごく普通のことだ。なにも問題はないだろう」


 当たり前のように語るシルヴィア。

 だけど、なにもかも間違ってる気がするのは僕の気のせいなんだろうか。


 それにしても一体何をしてたんだろう。

 後ろから見てるだけだからよくわからなかったし、テントの中って意外と薄暗いから、離れてるとよく見えないんだよね。

 さっきまでマッサージの話をしていたからそうなのかもしれないけど、実際にちゃんと見たわけじゃないし。

 うーん。考えても分からないときは、聞くのが一番だよね。


「シルヴィアはさっきまで何をしていたの?」


「なななんあ、ナニをって、それはその……」


 急に挙動不審になりだした。


「実をいうと、名前は良く知らないのだ……。ただ、こういうことがあると聞いただけで……。それで、試してみようと思ったのだが、どうしてもためらってしまって……。こんなこと、普通はしないのはわかっている。だが、きっと私は疲れているのだ……。だから、こんな……」


 最後にはうなだれるようになって言葉がとぎれてしまった。


 それにしても、疲れていたからやりたくなることって……。

 やっぱりマッサージのことだったんだね。


「それなら僕が手伝ってあげようか」


「手伝ってくれるのか!?」


 シルヴィアがものすごい勢いで振り向いた。

 あまりの反応に、ちょっと驚いてしまう。


「そ、そんなに驚くようなことかな」


「当たり前だろう!?

 そ、それともまさか、市民のあいだでは、こういうことを男女で行うことは普通なのか……?」


「普通ではないかもしれないけど、まったくやらないわけでもないと思うよ」


「そ、そういうものなのか……?」


 なにやらぶつぶつといっている。

 よく聞き取れないけど、嫌がる様子はないからきっとオーケーなんだろう。

 シルヴィアに近づくと、その体がびくっと飛びあがった。


「ほ、ほんとうにするのか?」


「うん、もちろんだよ。そのために来たんだし」


「いや、しかし……。その、ライム殿に悪いというか……」


 ライム?

 どうしてここでその名前が出てくるんだろう。


 でも確かに、ライムは僕がいないと不安そうになったり、不機嫌になったりする。

 一応ここにくる前に、シルヴィアの様子を見てくるといってあるから大丈夫だと思うけど……。


「心配ならライムも呼ぼうか?」


「ここに呼ぶ!? 修羅場か!?」


 またしても、ものすごい驚いていた。

 確かにマッサージなんて、わざわざ呼んでまで見せるものでもなかったかも。


「それじゃあライムを呼ぶのはやめることにして、夜も遅いしさっそくはじめようか」


「た、確かに、なんでもしてくれると言ってはいたが……。わざわざそのためにきてくれるなんて、私はそんなに、その、してほしそうに見えたのか……?」


「うん。すごくしてほしそうな顔をしてたよ」


 マッサージを。

 疲れた顔だったからね。


「……………………」


 正直に答えたら、なぜだかシルヴィアは耳の先まで真っ赤になってうつむいてしまった。

 どうしたんだろう。

 騎士だから、疲れてるところを見せるのは恥なのかな。

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