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また会えたらいいね

 グリフォンたちと別れたあと、さらに草原を進んだけど、それ以上モンスターには会わなかった。

 グリフォンたちがずっと空からついてきてくれていたおかげかもしれないね。

 このあたりは彼らに匹敵するモンスターも多いから、戦闘しないで進めたのはとても助かったよ。


 今日の野営予定地で止まると、グリフォンたちは空で一度大きく旋回し、一声鳴いて草原の彼方へと飛んでいった。

 僕たちがここで野営することをちゃんとわかるんだね。

 やっぱり頭がいいみたいだ。


 感心する僕の横で、ライムが彼らの飛び去って行った方に向けてなにやら拳を振り上げていた。


「もう来なくていいですー!!」


 空に向けて怒っている。

 さっきの鳴き声は「また会おうね」みたいな意味だったのかな?

 僕はライムの後ろからこっそりと彼らに手を振った。

 また会えたらいいね。


「……カインさん!?」


 心の中で思ってただけなのに、ライムがすごい勢いで振り向いてきた。

 どうやら僕が手を振っていたのがバレちゃったみたいだ。

 いくらライムでも後ろまでは見えないはずだけど……気配でわかったのかな?




 夜ご飯を食べて休憩していると、一人の騎士が僕らのほうに近づいてきた。

 シルヴィアではない別の男性騎士だ。

 名前は知らないけど、彼女の部下として一緒に戦っているのは何度も見たことがある。


 それにしても僕たちに何の用だろう。

 もしかしたらシルヴィアからの伝言かな。

 そう思っていたけど、どうやら用事があるのはライムのほうみたいだった。


「あっ、あのっ……!」


 緊張気味に声をかけてきた。

 思ったよりも若い声だから、たぶんまだ十代だと思う。

 顔立ちにも幼さが残っているし、ひょっとしたら「男の子」と呼んだ方がいいのかもしれない。


 ライムはまさか自分が声をかけられるとは思っていなかったらしく、きょとんとした顔で若い騎士を見返した。


 ライムは人の顔を見るとき、じっと相手の目を見つめる癖がある。

 そのことを恥ずかしいとか思う感情がないみたいなんだよね。

 僕を見る時もじいっと瞳を覗き込むように見つめてくるし。

 僕はもう慣れたけど、まだ慣れていない若い騎士は見つめられると顔を赤くしてたじろいだ。


「ええと、その、私はライオネルといいまして、今日はその、以前のお礼といいますか、すっかり遅れてしまったことをまずはお詫びさせて欲しいのですが……」


 しどろもどろになりながらもなんとか言葉をつないでいく。


「お礼?」


 ライムが再度首を傾げる。

 僕は彼の言葉で、彼が誰なのか思いだした。

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