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読みとばし推奨

投稿用ファイルを間違っていました。ほんの少しだけ不足してたのを修正しました。(20181123pm10)

 わしらの他にも街道を行く者はいて、荷馬車なども通っている。

 端に寄り、下半身を丸出しにしたわしの股間をしゃがんでフキフキしてくれているポンコツにだけ聞こえるように「いやーん。そこらめぇー」とか言ってみたらつねられた。どこをとかは言わないぞ。

 地味にいたい。

 仕返しに、こいつを衆人環視でマッパにしてやろうか何て思ってみたりしたけど、現時点ではヘンタイ親子に見られてしまうからボツだな。どこにも需要はないだろうがいずれまた。ぎしししし。


 うん。乾いた布でフキフキしてもらってさっぱりしたぜ。

 いい仕事をしたポンコツの肩をぽんぽんとたたき、親指を立ててサムズアップするとジト目で睨まれた。


 うしっ、快適快適、スモックの裾を下ろしてこのままノーパンで行こう。颯爽と歩き出すわし。

 ヲタ村のダンジョンで手に入れた技、スライム纏で陽光の下でも肌が火ぶくれしないのだ。

 より薄く、より透明でお肌に有害な光線だけを通さない上、素肌のような錯覚をしてしまうゴム・・・じゃなくてスライムな。


 (ぐわしっ)

「フィナちゃんはレディなんですよね」

 フード越しに頭を捕まれてポンコツに掴まってしまった。わしが、レティだと。笑わせるな、片腹痛いわい。

「はい、おかあしゃま。フィナは立派なレディになるお勉強中れす。れすから、頭の指から力を緩めて下しゃい。いひゃいれす。お願いしましゅ。ごめんなしゃい」

 初対面時の凛とした縦ロールから徐々に残念度を露呈しきたにもかかわらず、身だしなみとかになると俄然厳しくなるウエーブが残るセミロングのオカアサマであった。


 通り過ぎる通行人にわしが笑われてるのは計画にない。

 衆人環視で恥をかくのはポンコツの予定なのに何故こうなったのじゃ。


 しっかりおむつアーマーを履きスライムスキンを解除してうさ耳フードの着いた白いもふもふローブを上に重ね三輪車で護送されるわしであった。


 キコキコキコと車軸が鳴き始めた。潤滑油に埃が付着してきたんだ。

 音楽家も目指していたママも音が気になっていたみたいで、わしが「ママー、お耳痛いからキレイキレイしていい?」とか言うと「そうよ、そうよね。お洋服、汚さないようにね」と直ぐに承諾をもらった。


 (ぐわしっ)

「フィナちゃんはレディなんですよね」

 フード越しに頭を捕まれてポンコツに掴まってしまった。わしが、レティだと。笑ってしまって片腹痛いわい。ついでに頭もな。

「はい、おかあしゃま。フィナは立派なレディになるお勉強中れす。力を緩めて下しゃい。とってもいひゃいれす。お願いしましゅ。おかあしゃま、ごめんなしゃい」

 誤植でもなくデジャブでもない。スモックの裾で拭こうとしたらやってきた不幸である。

 バカに握力だけはあるあるママであった。


 このようにネタをしながらわしらは、一つ目のパワースポット、第一番札所にやってきた。

 山からは少し離れた平坦な地にあり、観光ルートの一つにも加えられ休日ともなれば人の賑わいも多い。1/88で御利益がいかほどなのかは言わぬが仏かな。



 この島は1200年ほど昔、マオ師が修業に巡ったとされるこのような札所と呼ぶパワースポットが88ヶ所設けられ、各々1から88の番号が振られ順番に巡り、この巡礼は、通称"おへんろさん"と呼ばれ親しまれている。文字は「遍路」が当てられる。


以上、立て看板に書いてあったやつ。わざわざ、読まなくてもよかったよな。で、『読み飛ばし推奨』なんてラクガキまでされてらぁ。



 簡単に言えば、昔からある領をまたがったスタンプラリーのようなものだ。どんくらい昔からかと言うと、・・・・マヲ大師は1200年以上だけど、整備し確立されたのはけっこう新しいとか。



 第一番札所には、巡礼装束などの"お遍路グッズ"を販売する売店が併設されている。

 


 愛車を駐車スペースにおいて入店したわしらは、とりあえず納め札(おさめふだ)と納経帳を買った。装束一式そろえるのでなくて背中に古ルーン文字でマヲ大師と同行旅の安寧をいのる言葉を書いた白衣(びゃくえ)で袖のない笈摺る(おいずる)と神の教えに感謝する意を綴った輪袈裟(わげさ)にとどめることにした。路銀確保をしながら冒険者として旅をする予定なので、動きを阻害されず羽織るだけでいいからだ。


 着用に関しては、クエストなど状況に寄ることにして、笈摺を羽織ってから輪袈裟を首に掛けて山門をくぐろうとしたとき、ポンコツが[W.C.]の表示を見つけて方向転換したので、はっしと太ももに抱きついた。背後から両手で両足を抱えるようにしたので、バランスを崩しそうになり、踏ん張ったときに顔面に向かって小さな破裂音が聞こえて一瞬意識を失った。

 なに喰ったらそんなまがまがしい香りを醸し出せるんだってぐらいの。思い出そうとしたら意識がまた遠のきそうになったので忘れることにした。

 貌を真っ赤にして早口で抗議するポンコツに、あのアイアンクローをしてきた教育ママの姿が重ならないのはなぜだろう。おやおや、もじもじしているぞ。

 わしは落ち着いて本題をいい、輪袈裟を受け取りポンコツを開放した。

「ねえママ、知ってると思うけど確認するねっ。ご不浄に輪袈裟を付けたままでは入んないよねっ。ここで待っている間、預かってるよ」

 にまっと、笑顔で見上げて言えば、ばっと首から外してわしに差し出し小刻みな早足で行ってしまった。


 それにしても四歳児が一人置き去りって、保護者失格(ポンコツ)だよねっ。


 待たされる間に・・・時間掛かっているので、あっちだなんて想像しかしていませんよ。そこでわしはといえば、大型馬車から降りてきた団体に取り囲まれて、袋に一盃の飴ちゃんとか駄菓子をもらっていた。

「あぃがとーござーましゅ」


 敢えて言おう。愛想良くしたわしはとてつもかわいいのだ。


 再掲ともなるが、わしの格好はうさ耳付きフードの白いもふもふローブは、アルビノで色素のない紅い瞳のわしにはよく似合っているのだよ諸君。

「いっぱい、いっぱい、うれひーでしゅ」

 体との比率でまだ頭部が大きく重心が上寄りでバランスを崩しそうになりながら、たどたどしくお礼と共にお辞儀をしようとする姿に、珍しい愛玩動物に接した老人・・・・もとい、昔のお嬢さんとかお兄さんたち?にお接待を受けていたのだ。

 おいっ、そこ。餌付けじゃないぞ。癒やしという奉仕だ。


 丁度ポンコツが帰ってくる頃に奉仕活動は終わった。


 やっと山門をくぐり手など清めてから本堂、太師堂、脇堂、多宝塔と巡り納経所で印をもらう。


 立地時期と環境の影響か伽藍はそんなに広くなくてごちゃっと観もあるけどね。

 はい、先ほどの団体さんの他にわしはかわいがられて、うっほうっほの稼ぎです。


 ポンコツが納経所で朱印を頂戴するまでにも沢山いただきましたよ。


 ぐわはははは、もらったお菓子だけでわしはあと10年戦えるぞっ。


 愛車が待つ駐車スペースへ戻ると目の前で愛車がどっかのただお金を掛けて煌びやかにしただけの高級そうな馬車の下へと不穏な音を立てながら吸い込まれていった。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 この仮想空間では、"神"の集合に"仏"が含まれるとしています。コッチの世界では般若心経の中には"神呪"といった言葉もあったり。

 なんかのTV番組で聞きかじったのは、「神は現世、仏は後世が・・・」とか聞いたような聞いてないような。

 よく理解できてないので、知ったかぶりじゃなく、解らないことはやんないよ、とね。


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