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お散歩?

 投稿前に引いたの一枚は、「XIV 逆位置」でした。


 とても、ベリーショートで短いです。はい。


ここまでのお話


 ナル町を出て次の目的地へと進む道に近い雑木林に隠れたゴブリン達に脅威を覚え町へと引き返すことになった。

 引き返す道すがらに出会ったマレビトの一人、ロックと再会した。


 宥めるのにファストフードのはしごをして時間も時間だから、また宿を取り一泊をした。


「さぁ、いきますよママ」

「・・・・あい」


 乗り気じゃないのは明白だが、もう済んだことだ。

 低血圧なのだろうか、朝のポンコツはとってもポンコツで人目には晒せない。


 わしは街に戻ると直ぐにAFCから人を割いてもらって、朝早く道中の確認を行ってもらっておいた。

 結果は良好。今朝は順風満帆の旅立ちだぜ。

 なお、昨日の事は横の棚に置いた。立ち直りのはやいのもわし。


 冒険者でなく郊外をお散歩する母娘づれな格好の日傘ワンピのポンコツに三輪車のリアハンドルを押してもらい、わしは少しずつ変化していく風景と周囲に心を移す。

 需要は無いが、わしはスモックにチューリップハットだ。


 あと少しで件の地点だなと、配備したドローンの警戒を強め意識を研ぎ澄ませると、ヲタ村に残していた分身を中継して接続の切れていたV因子対策班からの念話が繋がった。

 報告を受けて不可抗力だったかも知んないけど、狭量な自分を反省する。レッサーバンパイアが転移できるとか想定外だった以上に、遠距離を跳ばれていた。魔力が枯渇するのも予定して無くて、浸蝕するためのエネルギー源として当てにしていた分身もエコモードで進めていたようだ。

 うん。おまかせでヨロと伝えた。テキトーでいいよ。

 とりあえず中継担当の分身を北へと向かわせた。


 で、記憶にある風景とジオマークで、昨日ゴブリンが居た辺りに近づいたから不可視術式を掛けた索敵用の小型ドローンを先行させてみたが、センサーには予想していた反応が無い。

 ロックはんが処分してくれたんだろな。またどこかでひょっこり会ったりするかな。


 レンジを上げJOBモードを変えれば、ロックを追跡することも出来るけど、方針とかプライバシーには干渉しない。気に入らなきゃ、殴ってご協力を得るだけだ。うん、平和的だね。


 問題の地点にやってきた。

「ママ-、お花摘みしてくるね」

「えっ。あっ、ちょっとぉー」

 ポンコツの返事を待たないで、すっぽり身を隠せる茂みに飛び込んだ。すかさず認識障害と気配を消して、奥へ大股で駆け向かってみる。

 街道に近い手前では、ダブリンが居たらしい程度で争った様子もなく、ゴブリンよか大型のホブらしき影が確認されたところにまで近づくと、高熱で焼けた小さな痕跡が幾箇所で見受けられた。

 ロックの戦い方をよく知らないが、一方的な蹂躙だっただろうかと推測した。


 さて、そろそろ引き返そう。時間稼ぎに思いついた便秘という設定は、自分自身への精神ダメージが高すぎるよ。


 昨日のイモスイーツ1個半が効果大だな。町を出るときに済ませたはずなのにこのタイミングでウンチしたくなったのだ。てへ。

 最初に身を隠した辺りへと戻り、念のためドローンに周囲を警戒させてと。ほっと安心して脱力しながらパンツを下ろししゃがもうとすると、内股に生暖かい感触を覚えた。

 やっちまったか。とうとう内痔核が裂けてしまったのかと恐る恐る見れば、最近忘れていたけど黄金水だった。


 ふっふっふっ。力を抜きすぎてしまったな。

 しゃがんで食物繊維のなれの果てとお別れしながら、しばし熟考。

 わしもええとししたおっさんのはしくれ、男としてけじめをつける。


 責任は我にあり。


 環境問題クリアなティッシュで綺麗にして、土魔法で耕し更地にしてから、潔い謝罪を決意し意志を固める。

 すっくと立ち上がり、待ち人へ歩み寄る。吾はハーミット、悟りし者よ。


 両手を握りしめて胸の高さで重ねて上目遣いにポンコツを見上げた。

「ママー、助けてー、お股が濡れちゃったの。とっても気持ち悪いの」

 どうだ。


 ちっ、はいそこ!

 逆位置で、現実逃避って何だよっ。


 き・こ・え・て・ま・す・よっ。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 捨て身の演技です。いかがでしたでしょうか。



今回の一枚

 「節制」の逆位置で、『他人の意見を聞かない』でした。

 話の内容とは関係ありません。


 これまでも"街"と"町"が混在していますが、地域名に町、その中で栄えている地区を街としています。混乱させてごめんなさい。


 今回はありませんがウィは適当発言が多く、そのときの気分次第で語尾が"のじゃ"、"だぜ"など定まらないのが仕様です。


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