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くコ:彡

 さすがわし、かわいいから本職のお眼鏡にかなってさらわれてしまったぜ。えっへん。



 軽々と担がれて運ばれている。

 イベント好きになった相方へ「誘拐されちゃったーテヘッ」と念話を飛ばし、後方支援を依頼すると程なくしてサポートルームが立ち上がったから「万事任されよ」とモニター中継が始まっているようだ。

 操作権を相方に委託したわしの腕輪から召喚された四聖獣が、隠密スキルと認知障害で身を隠し映像を相方へ飛ばしている。わしはそれを念話で聞いているのだ。


 うしっ。どこかの建物に入ったようだ。



 奴隷商だと情報を受け、手足を拘束されたままだけど大きな袋からは出された。フードもはぐられるとどこかで見たことのあるような左腕にステッキを持ったモノクル男を見上げた。

 他に外にいた男3人と若作りのおばちゃんが一人。男は配下なんでしょうね。んでオバチャンが嫁か情婦ってとこかな。

 奥の方には、瞳から光の消えた人格の薄くなったモノが檻に入れられている。あーヲタ村のダンジョン通いを思い出すぜ。


 伝えられている情報は、ここはカビラ・ブラザーズ商会というディとダムっう兄弟の奴隷商で、地下には闇奴隷も確認されていた。

 

 あー、こりゃ他の証拠集めもなしにギルティ判決しちゃっていいよね。



「ほー、これは久しぶりのエルフで上玉ですねぇ。趣味の強い方にはうってつけでしょう。念のため傷がないか調べなさい」

 モノクル男が配下に指示して、わしを剥いた。まだ嫁入り前なのによっ。なんということでせう。

 まっぱにされたから、記憶を頼りに再現した股間の分身(ムスコ)を突き出した。どうだ先端の黒光りといい、天を突くような角度と反りはよ。守備班じゃないが

 気合いを入れて、わしは噴射する。


「あんたたち、女の子って言ってなかった」

「いや、それが姐御、見た目とココへ連れてくるまでに見る暇なかったんで」

「それに、女の子の格好だし『お嬢ちゃん』ていったら返事したもんで」

「そこは仕方ないとして、これだけの気量ですから、その手の趣味の方に高く引き取ってもらいましょう。仕込みは頼みましたよ」

 男があきれた声色で話を切った。男は、連絡の取れない弟を捜す手配に忙しいらしくて部屋を出て行った。


 わーい、わしピンチだー。ナニされんだろ。


「一度ヌイてやろうかね」

 にぎってくれたのと、轡の拘束がずれて口の中に詰められた布を顔面めがけてはき出すのが同時だった。

「わーい、熟女にテコキしてもらえるぅー。きゅっぽーん」

「ぅあっ、汚いね」


 おばちゃんは手を引っ込めたけど、わしの分身は神経毒を出しながら浸食していき、排泄物以外の骨を含めて頂きました。

 えーと、申し遅れましたがあの3人は、先日のマーカー拡散に汚染されていたようで、直立不動の状態です。


 喰ったかと?


 いえいえ、あまり男は喰いたくありません。人間のおばちゃんはせいぜいが50未満かな。あぶらののったエルフなんか300以上からですからねぇ。人間なんて寿命で逝ってもピチピチの小娘じゃないですか。


 はい、倒錯してます。


 いえね、触られたとき分かったけどやっぱおばちゃんにはV(Vampire)因子があったようなので処理しました。これで、あのモノクル男に感づかれたかもしれませんな。


 さて相方ですが、わしの四聖獣を通じ自分の四聖獣も送ってきて地下をいち早く勢力下においている。そしてポン○とナナ○はVハンターを手配してこの街のV因子を駆逐するのだとか。それとも一つ、彼らは『不当奴隷解放戦線』のロールもあったっけ。


 うん、"まれびと"って暇だからな。戦斗ごっこで吸血鬼は処分されてくのだろうな。おそらくヲタ村の店舗奥にオペレーションルームが設営されて、前線のここまで中継基地を作りながら偵察ドローンがやってきて、近日中に飛び回っていることだろう。


 いや、近日中じゃなくて、すでに協力しているAFCが持ち込んでいる可能性が高いか。


 地下へは『陽光の神子』である相方の四聖獣が、属性の太陽光で照らしているから逃げられていないはずだ。

 屋外へはすでにAFCが取り囲み出て行く遮光馬車を見張り、逃亡を阻止している。

 てか、まだ館の中に居るのはマーカーの反応で分かっていたことだ。だから最上階から徐々に下へと建物を消している。四聖獣で崩し分身で喰うのだ。慌ててくれているかなぁー。わくわく。

 そうそう、悪事の証拠になりそうな

 1階にはAFCにすりつぶしたニンニクを上からの階段の周囲からこの部屋へと誘導するように撒いてもらったし、臭いに追われたり陽に当たりたくなかったら最終、この部屋に戻ってくるはずだ。わーいわーい。


 手足の拘束をコントロール下においた男達に解かせて、しばらく待ったが一行にやってこない。むしろ地下へと移動している。太陽の光だぞ。灰になるんだぞ。


『こいつのブサイクな弟が夜に襲ってきたから、てっきりドラキュラ系やとおもとったけど、カーミラ系やと太陽もニンニクも利かんわ。美形って評判のあるカーミラ系統に一遍おうて見たかったのに残念じゃ』

『うそーって、ホンマに地下へ降りてきた。ここ通路が延びて、どこかへ抜ける地下道になっとーでよ』

『ほな、わしの権威でツブス』

 マーカーの信号を追跡して、男を追う。


 男も暗闇が調子を上げているのだろうが、わしも調子ええもん。


 腰ベルトから蛆シリーズを抜き、弾頭が聖銀と銀のマガジンに代える。加速。十分射程に入ったからトリガーを引くと跳ね上がろうとする銃口をぐっと押さえつけながら足と腕をめがけて撃血続ける。

 カーミラ系だと小動物には変身はしない。だがしかし一気に心臓をねらって楽にさせてやる優しさは持っていない。

 商館にいた配下は全員すぐに無力化できたのに、さすがヴァンパイアって誉めてやる。わしのマーカー浸食による耐性が高かったってトコだろう。

 さてと、どのやり方で闇の眷属たるこいつを処理するかな。『天人「隠者」』で殺るとこっちの寿命も縮まるし、闇系とは言えこんな小物に『月光の巫女』の称号権限だと弱い者いじめだしなー。



 やっぱ、いつものでいきまーす。(ry




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# ナル町秘帳(完結)



 フィメとフィナが立ち去ってからのこと、ナル町に、マレビトと仲間がやってきた。暗部である。


 彼らはマレビトの暗部の中でも特定の案件に特化している者達だ。



 後日、小熊マークでおなじみのダグラス名義でシェアハウスと孤児院が建てられた。特徴として少し人より犬歯が長いぐらいでいたって普通の人たちだ。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 わし、食欲旺盛です。

 ことのほか敵に対して即刻処理をしてしまうのは、優しさでなくキライなものを長引かせたくないもので。


『ナル町秘帳(完結)』

 イツ始まってたんだと、自分でも不思議です。


マレビトの暗部:

 ロールです。時間をもてあます彼らにとってはね。

 今回は、Vハンターの設定で、ダグラスの施設は軽度にV因子をもつ者の救済とケアを兼ねた事後処理ね。敢えて言えば、ここでは、"吸血鬼"でも"D"じゃなくて"V"にしてますので。


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