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自己陶酔男

 あー、お出迎えがいるようだ。


 予定通りだな。AFCにはもう少し後の時間で落ち合う約束だから、こいつのマーカーの反応は・・・・なるほど、こんなもんでしょうかね。


 すこし想定が甘かったようだ。


 出口を一歩出ると、相手は短気なのかすぐに魔力弾を何発も撃ってきた。予想はしていたが、こんなに早く攻撃してくるとは思っていなかったのだ。

 全弾躱したのだが背後のとがった石を弾いて、それがポンコツの背後に当たり出血がひどい。早く治療を始めなければ。ダンジョン入口に近かったのが幸か、よろける脚を誘導してまたダンジョンに舞い戻った。床に赤い血だまりが広がっていく。

 ポンコツの後ろに回り隠れるようにしてインベントリィからポーションを取り出し、ポンコツの傷口に噴霧して治療をしながら外をうかがう。夜目をもつわしには充分な明るさだ。


 害者は手応えの確かさからか、わしらの前にゆっくり近づいて姿を現した。暗くてよく分からないふりをした。


 本人はおしゃれのつもりなのかもしれないけどモノクルを付け右手にステッキを提げたセンスのない服装のキモいオッサンじゃないか。

 男は、わしの許しを求めずに喋り始めて自己陶酔に舞い上がりだした。

 あー、男の言葉が理解しにくい。独りよがりってヤツの話しはどーしていつも訊くに耐えられないんだろう。



 自己陶酔した男のセリフを意味だけに要約するよ。


 遠隔の指示に従わないとか自分の配下の反応がおかしかったので、調べるとほとんどの者の血から変な臭いがする。そこで吸って調べたところわしら親子と関係有るみたいだとにらんだ。

 そこで配下にずっと追跡させていたが、丁度町から離れたので、自ら出張ってきたのだから名誉に思え。

 数百年この地を支配し長老格(エターナル)に匹敵するヴァンパイヤだと。


 IDが活きたままのダンジョンと種族特性から招かれなければこちらへは来れないからひとまず安全圏ではある。陽の光に期待するにはまだ時間がありすぎるな。


 出血のためかポンコツの意識が途切れ体の力が無くなった。重い。そのまま床に寝かした。


「ふほほほ、もう私の声も聞こえなくなりましたか。搾取される側でありながら

お前はやり過ぎたのですよ。あー垂れ流してもったいない。もっと私の偉大で素晴らしさお伝えしたかったのですが残念ですねぇ。まぁ子連れですから処女じゃないでしょうし興味はほとんど無かったのですが、おかしな術についてお聞きしたかったですね」「ママを怪我させたね」

「おや、お嬢ちゃん。虫けらの子は虫けら以上になれないんですから、おとなしく私の贄なりなさい。ハーフエルフとやらの血にも興味がありましてねぇ。生まれ変わらせてあげますよ。さぁこちらまで引きずってらっしゃい」

「なにに?」

「グールか味がよければレッサーバンパイヤですかねぇ。時間がおしいですから、早く来なさい」

「退化してるじゃん。時間てなぁーに」

「そんなことは些細なことですよ。私がエターナルに昇格すれば配下も一つは上がるのですからね。あと最低でも千年もすればですがね」

「自分のケツでも舐めてろ」

「子供が下品な言葉遣いはダメでしょ。さあ命令です。乾涸らびるまでにこちらまでお母さんを連れて来なさい」

「なんで?」

「何故かと言えば、何度も言ってますが私が長老格(エターナル)に匹敵するヴァンパイヤだからですよ」

「ふーん、ここらのヴァンパイヤって質が悪いんだ。真祖に一度ケリだな」

「子供だからって、真祖様のことを愚弄することは許せませんねー」

「だってー・・・・部下を指導するのって上司の勤めじゃない?」

「子供のくせに、なにを言い出すのですか。しかし私の魅了(チャーム)が訊かないとは、何か耐魔のアイテムを持っているのですか」

「ううん、格が違いすぎてまるで気にならないかな」

「くはは、格ですと。ハーフエルフの子供ごときが」

「えとね、さっきから"ハーフエルフ"って言ってくれてるけどちょっと違うんだな。それってギルドから仕入れた情報でしょ」

「なんだと言うのです。"ドワーフ"も混じっているから小さいとでも」

「子供なんだけどね、"ハーフエルフ"じゃなくて"アールヴ"。アンタの言う真祖ってやつの原型な。むしろわしの模造品だし」

 わしは胸を張った。無いけどな。




- - - - - - - - キ リ ト リ セ ン - - - - - - - -




「笑えない冗談にも程がありますよ。真祖様への侮辱なのですから、きついお仕置きが必要ですね」

「その言葉、お返しいたす」

 わしは、フードを深くかぶり指を鳴らした。

「!・・・」

 昨日、入る前に張り巡らせておいた遮光結界を一瞬で解除した。

 東向きの斜面にあるから、陽の光は平地よりも早く照らされる。


 さあ不浄なる灰よ、我か風魔術で飛んでゆけ。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 うっかりしていました。

 『 - - - - - - - - キ リ ト リ セ ン - - - - - - - - 』から下は、設定の都合により次回差し替えます。


 実際には"アールヴ"は"真祖"の原型ではありませんが、マイナーな神族の一つですから、メジャーなアース神族とかからさげすまれて闇に位置づけられたかもという、仮定から発展させています。

 それと頭が"ヴ"か"バ"、末尾が"ア"か"ヤ"なのか正解が分からないので、あえて混在させています。えっ好きにしろ?


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