No.1 繰り返される運命
7月24日。またこの日が来た。
今日、僕は殺される。
これは、誰にも解明できないサイクル。
必ずやってくる゛ソレ゛に、抗うことなど出来はしなかった。
゛天才゛と世に謳われ続けた僕でさえ、゛ソレ゛に何度も挫折した。
僕にはもう、何も、ない。
23:56、家の前でボーッと空を眺める。
東京から見る空はやはり星が少ない。ずっと昔、ただ1度だけ見たあの美しい星空を、また見てみたい。どこで見たのかさえ忘れてしまったけれど。
刻々と時がすぎていく。今回はどんな死に方なのだろ────
ドッ。
゛ 何か ゛が心臓を貫いた感覚と同時に、僕の視界は暗闇に包み込まれた。一瞬の死は一番いい。何も考えずに済むから。
「みつき、起きなさーい!ご飯よー!」
母親の呼ぶ声が遠くから聞こえる。2014年7月25日、西後 光喜。昨日で10歳になった。そして昨日、16歳の僕は死んだ。
僕は生まれつき何らかの天才的才能をもっていた。
それは時には武術だったり、科学技術だったり、医学だったりと、色々だ。
そして僕は、2020年7月24日23:59:59に必ず殺される。
そして2014年の7月25日に戻されるのだ。
僕は何度も毒殺、射殺、撲殺、時には自殺だったりと、無残な死に方をしてきた。
何十回、何百回と繰り返される゛ソレ゛に、いつしかその先を見ることを、諦めていた。いや、死ぬことを受け入れていた。
今回はどんな才能を持っているのだろうか??そしてどんな死に方を・・・
朝ごはんを食べ、旅行の支度をするように親に言われた。
青森にある祖母の実家に行くためだ。
「おばあちゃん、元気?」
「え? 何言っているの? おばあちゃんは去年死んだでしょう?」
時が止まった気がした。そんな、ばかな。祖母は2016年の冬に交通事故で亡くなるはずなのだ。それは変わることのない絶対の出来事のはずだ。何故???
「じゃ、じゃあ、これからどこに旅行に行くの・・・??」
「ふふふ、昨日言ったじゃない、沖縄よ!みつきが去年、行きたいーって、駄々こねたんじゃないの。」
僕は9歳の出来事なんかとっくのとうに忘れていた。そうか、そんなこともあったのか。ん? 待てよ、今日はもしかして───
「お母さん! 今日って何年何月何日!?」
「あら? 忘れちゃったの? 2013年7月25日じゃない! さ、早く支度しちゃいなさい」
やっぱりだ。一年多く、過去に戻っていた。
その時は、その意味を真に理解しきれていなかった。
これから始まる悲惨な物語を。
これまでの出来事はただの予兆に過ぎなかったことを。
報われない恋。




