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さるとらへび  作者: しーた
死闘編
97/100

第97話

 私は決心した。

これに賭ける!大丈夫、絶対に大丈夫!




「「「高賀神社の神々よ!私は求めます!ここに両親の召喚を!!!」」」




一瞬の沈黙の間の後、私の真下と両脇に、小さな光の円が現れ、続いて部屋一杯の大きな円が現れた。

その光の円と円の間を、昔の文字が浮き出て囲んでいく。

霊力でも魔力でもない、不思議な力が部屋に充満し満たされていった。


直感で分かる…。

この力には逆らえない、絶対的な物だということが…。


これが神の力…。


きっと部屋の外にも光による模様はあると思う。

これは所謂魔法陣みたいなものなのかも。

ちょっと驚いたけども、今更これぐらいじゃビビったりしないよ。


気持ちを切り替え、必死で祈った。

光はどんどん強くなり、神聖なる力が風を巻き起こす。


まさしく神風。


神聖なる風から、どこからともなくお経の声が幾重にも響き、この部屋が異次元空間にでもなったかのように神聖だけども異常な状態となった。

私の両脇に出来た小さな光の円から、更に強い光が放出される。


私はその光に、何か懐かしい感じを受けた。


来る!


光は光線となって天井を突き抜けた。


そして…。


必死に祈る私の両隣に気配を感じた。


あぁ…。


右肩に力強いパパの手が、左肩に優しいママの手が乗せられた。

「水樹!よく頑張ったな!」

「さぁ、もう一仕事よ!」

懐かしい声にウルッとする。

だけどまだ泣くのは早いよ!


両肩から霊力が濁流のように流れ込んできた。

増水した板取川いたどりがわも暴力的で凄まじい勢いだけど、そんなもんじゃない。

息苦しい程の…、いえ、息をするのを忘れる程の霊力、大きな滝が両肩にあるみたい!


一気に溜まっていく霊力に合わせ、私は力を開放していく!

赤いオーラから紫へ、そして青と変化し、更に純度を高める。

そして急いで霊力を散布し、高賀山を覆っていく!




カッ!!!




目を見開いた時には、さるとらへびを退治した時よりも、遥かに強い霊力を感じ取ることが出来た。

私は立ち上がると、部屋の中心へ向かう。

真っ青に光る朱雀を両手で持ち上げた。

魔力栓がされている高賀山の霊力の源に向けて突き刺した!




トンッ…




豆腐に箸を刺すぐらいの力で魔力栓を突く。


スゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーー………


栓をしていた魔力が、一気に粉状になって消えていく!


数秒後…。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


軽い地響きと共に高賀山が霊山と言われる源、霊力が地中深くより湧きでてきた。


ドバァァァァァ…


それを見届けた神々は消えていった。


深く礼をする私達3人。


顔を上げた私の視界はぐちゃぐちゃになっていた。


涙が溢れて止まらない。





「ウゥ…、ウッ…、ウワワアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァ!!!」





そっとママがハグしてくれる。

その暖かさが懐かしかった。





「ワアアアアアアアァァァァアァァァッァァァアァッァアァァァァァアアァ!!!」





叫ぶように泣いた。

頭を撫でてくれたパパ。

褒められているようで照れくさかった。


本当は心細かった。


寂しかった。


不安だらけだった。


何度も痛い思いもしたし、

辛かったし、

苦しかった。


人間離れしていく力に恐怖し、

摩訶不思議な現象に戸惑い、

強烈なプレッシャーに潰れそうになった。




だけど…。




助けてくれる友がいた。


協力してくれる仲間がいた。


くじけるわけにはいかなかった。


泣くわけにはいかなかった。


逃げるわけにはいかなかった。




だって、私は安藤 光司と、安藤 瞳の娘だもん。




二人がくれた沢山の愛情と力と勇気を持った娘だもん。


絵も上手くかけなかった。


剣道も下手くそだった。


だけど、そんなことはどうでも良かったんだ。


私は私。


皆に言ってたじゃない。


やれることをやっていくんだって。


「グズッ…、グズッ………。」


涙を拭いて立ち上がる。部屋は元に戻っている。


パパもママも笑顔で迎えてくれた。


そして外への扉を開けた…。




部屋の外の境内には…。














「「「おかえり水樹!」」」















みんなが居た。









笑顔だった。









「「「ウワワアアアァァァァァァァン………。」」」






また泣いちゃった。


だって、皆の笑顔が眩しいんだもん。


でもいいよね。


ずっと我慢してきたんだから。


私から溢れでた愛という名のオーラは、皆を包んで離さなかった。




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