いきなりお金がいっぱいだ…
加筆しました。
…彼女がなかなか戻ってこない。
あまりに暇だったのでクエストボードを見ていた。
魔物の討伐系のクエストはどうやらEランクからだそうだ。Fの俺は採取か雑用しかできない。早く魔物と対峙して見たいものだ。
戦闘に関しては剣術がずば抜けている(スキルレベルは15が最大で10を越える人は数十年に一人ぐらいの頻度らしい)以外には何もないが、そろそろ魔法の練習でも始めた方がいいのかもしれない。
異世界と言ったら魔法だろ? というぐらいには興味もある。
しかし魔法というとやはり厳しい鍛練を5年ほど積んでからやっとできるようになる、というのが定番なのでぶっちゃけると練習めんどい。
魔法使いたいし、でもめんどいな、というジレンマ。俺のめんどくさがりは元の世界の学校でもかなり有名なのは結構恥ずかしい思い出である。
「風人様」
おっと、戻ってきたようだ。
「はい、こちらが代金になります。どうぞ」
そういって彼女は結構なサイズのトレイを渡してきた。
その上にはなにか大量の金貨のようなものが乗っている。
「こちら大金貨50枚になります」
「えーと、お金の単位について教えてくれませんか?今までお金にはあまり触れたことはありませんでしたから」
「はい、お金には小さい方から銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨になります。銅貨10枚で大銅貨、大銅貨100枚で銀貨に換金できます。銀貨、金貨も銅貨と同じように換金できます。」
どうやらかなり単純な仕切り方がされているようだ。
やはり黒竜帝はかなり強い魔物だったようだ。
大金貨50枚って。宿代が何万回分も払えてしまう。
俺は一瞬で大金持ちになってしまったようだ。もうひとつ鱗を売ったら一番高価な白金貨に届いてしまう。
やっぱりラグナロクは強すぎる。もはや災害級だと思う。
今思うと宿代安すぎね? よくあれで赤字にならないものだ。
「それから、ギルドマスターからお手紙を預かってます。早めに目を通しておいてください」
「はい、ありがとうございました」
ギルドマスターからの手紙? だからあんなに時間がかかったのか。
しかしやっぱ黒竜帝の素材なんか持っていかなければ良かった。
こんなにお金あっても困るしな…。とっさにアイテムボックスに入れたはいいが、こんな大きい単位じゃ碌に使えそうもない。家でも買うつもりでもないし。絶対ギルマスに目付けられてるよ…。
まあそんなことを考えても仕方ない。今は宿に戻っておとなしくしてるか。
相変わらずのうまさである夕食を食べて部屋に戻った。
あんな大物を相手にして俺は疲れたのか、直ぐに寝てしまった。
何故か寝る直前に「時間切れー。残念!」という言葉が聞こえたが、眠かったので特に気にしなかった。
またもやルッピに髪の毛をいじられながら起きた。
慌てて言い訳をするルッピが可愛かったので許した。って俺そういえばもう3日も体を洗ってないんだよな。なんか色々ごたごたしていて忘れていた。
お風呂は一階にあるようなので、一階に降りて入った。
ルッピが付いてこようとしたが、いくら妖精ちゃんでも俺は男なので外で待機するように言った。残念がってたのは気にしない。
シャワールームに入ると、蛇口と石鹸ととたらいとタオルがあった。
上のほうに着替えを置くスペースがある。服を脱いでそこに置く。
蛇口は膝の辺りにあって、左右に上げる向きを変えて温度調節するタイプではなく、回して水を出す、温度が調節できないタイプだった。
蛇口の横にあるダイヤルのようなもので温度を設定するようだ。
試しに左に回す。
すると、なにか赤い光が蛇口に向かっていった。
その状態で水を出すと、お湯が出てきた。
右に回すと、今度は青い光が蛇口に向かって、冷たい水が出た。
魔法か? 見ていておもしろいから何度も回していたらくしゃみが出た。
そういえば今何も着てないんだった……
風邪を引きそうなのでたらいにお湯を入れて頭から掛け、石鹸で頭と体を洗って出た。
魔法で文明の低さを補っているというわけか。
現代の日本の化学兵器を持ち込んだら無双ができそうだとか思っていたがそれはどうやら無理そうだ。
シャワーヘッドがあったら便利そうだな。
「アルシア様はいい加減ですからねー。この世界はマスターの世界をモデルにしたようですが、さすがに全部そっくりだと色々危険なので適当に物を選んでこの世界に入れたようですね。マスターの言うシャワーヘッドがどんなものかは知りませんが、つまり気まぐれで外された、ということですね」
クソ女神ーー!なんで便利なものを導入しないんだ!アホか!
でも今更そんな文句を言っても仕方ないわけで。ないなら作るしかないな。
……っと思っていたが、原理も仕組みも分からん。
水魔法を使ってなんとかするか…。頑張って魔法習得するしかないな。
魔法はともかく、今日は市場をまわってみようと思う。
皮の防具では心もとない。代わりの剣も手に入れなくてはいけないしな。
いつまでもラグナロクを使っていては、かならず誰かに見られて騒ぎになる。最悪殺される。
この世界はゲームっぽい要素は多いが、一度死んだら終わりだ。
コンティニューはできない。不安要素はなるべくない方がいい。
黒竜帝がもういないことに気づいている奴もいると思うし、自分の身を守ることは最優先だな。まあ俺の高ステータスならなんとかなるかもしれないが、過信は禁物だ。
…というのも勿論あるけど、やっぱ本心は異世界の市場を覗いてみたいというのが一番の理由だったりする。異世界ではどんなものが売っているのか非常に興味深い。お金はいっぱいあるし、便利そうなものを色々買っておきたい。お腹は空いてるけど何か食べ物ぐらい売ってるだろ!
と、勇んで宿を出たが、結局場所が分からず、渋々戻ってリンダさんに場所を聞いた。途中でルッピに聞けば良かったと気づいてなんだか馬鹿馬鹿しくなった。
さて、気を取り直して市場を覗きに行くか!
更新が遅れてごめんなさい。
今回は文字数もいつもより少ないです>< すみません。
13日からテストがあるので勉強しなきゃいけないので、投稿はまたその後になるかと思います。1話ぐらいはテスト前に出す…かも?