壊れた武器、そして壊れたパラメータ
宿に戻って、部屋のベッドにダイブ…しそうになったけど今回はぎりぎり止まれた。痛いのはごめんだ。あ、待てよ?今のパラメータだとこれぐらいなんてことはないんじゃないか?
一度ベッドから離れ、またベッドに向かってやや大きめにダイブする。
………ぶっちゃけるとすげえ痛い。
なんでだろう。パラメータは関係ないのだろうか。
自分のステータスを見るために自分を鑑定する。
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風霧風人 15歳 人間族
レベル.283 ジョブ.冒険者 魔力属性 水・風・光・音
攻撃 2399
防御 307
俊敏 2060
魔攻撃 1722
魔防御 318
精神 1083
運 1320
器用さ 577
隠密 2980
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……ステータスを見終わったところで見るのを止めた。
なんだこの数字?おかしくね?余裕で世界征服できそうなんだが。
いくら高速成長があるといっても上がり過ぎだろう。あの黒竜経験値多過ぎ。なんであんなやばそうなやつが初心者向けの草原にいたのかを小一時間ほど問い詰めたい。殺す気か?
そういえば「???」だった二つが表示されていた。
器用さと隠密だけど、これ隠すようなステータスか?
よく見ると隠密が一番高い。このままアサシンになれそうだ。
さっき手に入れたスキルと称号についてもう一度見る。
……数が多すぎて途中で見る気が失せたが、使えそうなスキルには、こんなのがあった。
〔探知〕
半径50メートル以内に存在する生命体を発見する。
また、範囲や条件を指定することも可能。
〔ステータス偽造〕
自分のステータスを偽造することができる。
なお、自分よりレベルの高い人には本来のステータスが見える。
すべてのジョブの中で一番レベルの高いジョブが基準となる。
所詮は冒険者だし、いくらレベルが上がってもよさそうなスキルはあまりなかった。ただ、〔ステータス偽造〕はかなり使えそうだ。こんな馬鹿げたステータスを人に見られるわけにはいかない。間違いなく魔王扱いされる。
きっと即刻で討伐隊が構成されて俺を殺しにくる。
世界の災悪とかって。
他のジョブにチェンジするともっと使えるスキルがでてくるようだ。ジョブチェンジをすると元のジョブの10%のパラメータになるそうだが、ぶっちゃけそれでも充分すぎると思う。
普通の人は平均3とか言ってたぞ? 俺どんな化け物だよ。自分が怖い。
手に入れた称号はいくつかあったが、どうやら称号は一つしかセットできないらしい。称号にも効果はあるから、その場に応じて変えていけばいい。
〔竜殺し〕
竜と対峙する際に自分のパラメータが10割上昇する。
〔救世主〕
常に自分のパラメータが3割上昇する。また、カリスマ性があがる。
〔破滅を導く者〕
破壊行動を行う際に、自分のパラメータが15割上昇する。
こんなものがあった。これ以上パラメータが上がるのは控えたいが、二つ目の救世主のカリスマ性が上がる、という効果が欲しい。
元の世界でカリスマ性があったら…と思うことはたくさんある。
とりあえずつけとくか。これから仲間を増やす予定なので、後ろからブスリ、をされないためにはカリスマ性は是非とも欲しいところだ。
いや待てよ、奴隷ならそんなことにはならないんじゃないか?
午後は奴隷商のところに行ってみよう。リンダさんに場所を聞くと変な目で見られるかもしれないが、しかたない。
そういえばラグナロクで消滅させてしまうとアイテムはドロップしないのか?一応アイテムボックスを確認してみるか。
<アイテムボックス>と唱える。
……パレットを見て愕然とした。俺の知っている体の部位から知らない部位まで一つ残らずボックスに収納されている。
…どうやらあの黒竜は帝だったようだ。きっと普通の黒竜とは格が違うのだろう。黒竜帝というらしい。
黒竜帝の鱗に関してはなんと500個もある。
恐るべしラグナロク。ここまで完璧とは思わなかった。まさにチート。
世界から消滅させるんじゃなかったっけ?
なんで俺のアイテムボックスにあるんだろう。そこのところよく分からない。でもまあいいや。難しいことは学者に任せて俺はのんびりしてやる。これを説明できたらノーベル賞だと俺は思う。
ギルドに行って黒竜帝の素材を一つでも売ればお金なんてすぐに集まるだろうし、やっぱりラグナロクチート。女神様ありがとう。
昼ご飯を済ませ、ギルドに向かう。
アイテムの買い取りは、どうやらカウンターでやってくれるようだ。
このあたりルッピに聞いた。なんでも知っているようで頼もしい。
「アイテムの買い取りはここでできる?」
「はい、できますよ。説明は要りますか?」
「いや、そこのところはもう知っているからいいよ」
カウンターの女性には悪いが、ルッピが万能なのでわざわざ説明しようとしてくれたがやんわりと断っておいた。
「それで、このアイテムを買い取ってもらいたいんだけどこれいくらぐらいになる?」
カウンターの女性に黒竜帝の鱗を一つ渡した。
彼女は、
「こ、これは―――」
と意味ありげなことをいってカウンターの奥に行ってしまった。
なにか都合の悪いことでもあるのだろうか。
前話と一緒に書いたので少し短いです。