はじめての異世界は、案外普通だった
さて、ブレッシングスキルはどんなものがあんのかな?
魔族特攻 15
[魔族に対してのダメージが2倍になる。ただし人間族へのダメージは半減する。]
鑑定 100
[名の通り鑑定できる。しかし、最初はランクFの物しか鑑定できない。また、自分よりレベルの高い人もできない。使ううちにスキルレベルが上がり、高位のものも鑑定できるようになる。]
ハーレム体質 30
[なにかと異性が集まってくる。
PS;これを取得したほかの転生者は皆、腹上死しました。]
ナイスなイケメン 30
[街を歩く時に、十人とすれ違って十人とも振り返るほどのイケメンになる。よってホモが大量によってくる。]
女神さん。いろいろ言いたいことはあるけどさあ、鑑定ってスキルじゃない?祝福なのか?鑑定士とか普通にいそうなんだが…。
「そこに気づきましたか…
ええ。恥ずかしい話ですが、その通りです。
私が寝ぼけてさえいなければ、スキルの類に入っていました」
やっぱりか。ていうかなんで眠いときにこれつくったんだ?ちゃんと目が覚めているときに作ればよかったのに。
「これも恥ずかしい話ですが、実は最初の転生者が来る、と最高神にきいたときが夜中だったのです。その次の朝に転生者が来る予定だったので、寝ぼけたまま作るハメになってしまったわけです。まったく、最高神とは名ばかりのだらけ神のくせに…いえ、なんでもないですよ」
あんたも大変なんだな。最後の愚痴は聞かなかったことにしておこう。
でも最高神というのは知っておいて損はなさそうだ。
「この際ですし、鑑定はあなたにただであげますよ」
マジで!?よっしゃ!ほしかったんだよな鑑定!
「ブレッシングスキルは他にもいっぱいあります。しっかり考えて取ってくださいね」
おう!
それから数時間。俺はやっとブレッシングポイントの使い方を決めた。結果はこれだ。
それと、俺のポイント総数はスキルポイントより少しすくない80だった。
ステータス上限解除 50
[そのまんまです。]
仲間鼓舞 30
[パーティメンバーのステータスが3割底上げされ、成長速度が1.5倍になる。]
この二つになった。パーティメンバーというのはいわゆるチーム、というやつだ。仲間のステータスが底上げされるなんて、ほんとに信頼してるやつじゃないとヤバイなこれは…まあ、仲間を見つけるのも異世界の楽しみだしな!
…結構ハーレムを取るか悩んだのは男の性だろう。…ハーレムは正直憧れるけど腹上死は嫌だな。それが本望っていう人もいるらしいけどさ、それで死ぬなんてかっこ悪いじゃん?
よし、残りのステータスポイントを振ろうか。
攻撃
防御
俊敏
魔攻撃
魔防御
精神
運
???
???
結構あるな。ポイント総数は300か。レベルがあるっていうことはこれが自分の初期のステータスになるっていうことか。ということは、もしかしたらこれで自分の得手不得手が決まるのか?
「いいところに気づきましたね。そうです。あなたが多く振ったパラメータほどはやく成長します」
なら…現実の俺は運がなくていつもレアアイテムでなかったよな…じゃあ運に30振っちゃえ。
あとは物理タイプか魔法タイプかだけど…正直どっちも使いたいし。攻撃と魔攻撃には50ずつ振ろう。
俊敏は特に大事だよな、じゃあ50。
これであと120ポイントか。防御と魔防御は10ずつでいいか…精神はスキルの説明とかみるかぎり結構重要そうだし、30振ろう。
残り70か。???はふたつあるけどなあ…。
直感で下に30振ってしまえ!きっといいステータスだ!
上の???には10ポイントでいっか。
残りのは40は攻撃と俊敏に振ろう。このままでは器用貧乏になりかねないしな。どっちも20ずつ。
ところで女神さん。普通のひとは初期のステータスそのくらいなんだ?
「平均3くらいですよ。たまにすごい子がいますが、それでも平均15ぐらいですね。あなたの方がずっと多いですよ?」
なるほど、俺はかなり優遇されてるわけか。
まあこんなことになったのはあんたの責任だし、これぐらいはやってもらわないと…。
じゃあ逆に、今までで一番高かった人はどのくらいなんだ?
「それはあなたが自分で見つけてください。きっとすぐに耳にしますよ。度がすぎるほど有名ですし、本にもされてますしね」
よし、そこまで言うなら見つけてやる。3日以内にな!
じゃあ俺のステ振りはさっきので。ブレッシングポイントも一緒に頼むよ。
「はい。分かりました。もし3日以内に見つけられたら何か特典をあげてもいいですよ?」
やった!
ピロリロッ♪
『風霧風人はいろいろステータスを設定した!』
なんか略されてるしっ!
「きっと彼女もめんどくさかったんでしょうね。」
彼女?
「あ、そういえば言ってませんでしたね。この脳内アナウンスを担当している人ですよ。名前はルッピです。かわいい名前でしょう?私がつけたんですよ?いいでしょう?」
なんであんたネーミングにやたら敏感なの…。でも確かに可愛い名前だね。ところで、その人は脳内アナウンス以外はなにかしてくれんの?
「もちろんです。彼女にはあなたの異世界生活のヘルプをしてもらいます。困ったときは彼女に頼ってください」
りょーかい。それよりキャラメイクは終わったぜ?
早く異世界にいってみたいよ。
「ふふ、せっかちさんですね。
では、まずあなたが行く異世界について説明します」
そういえば聞いてなかったな、どんな世界なんだ?
「そこは、エルフ、ドワーフ、フェアリー、ホビット、天使に悪魔。たくさんの種族がいます。もちろん人間も」
へー、いろんなゲームを混ぜた感じなんだな。
「公用語は日本語ですから心配しなくてもいいですよ。詳しい話はルッピがしてくれますので、ここでは省きます。
そして、あなたが取得した魔術。
魔術の属性は、火・水・風・土・木の5つの基礎に加え、
その上位である闇・光・音・時間・時空の5つがあります」
なるほど、全部で10あるわけだな。俺は…多分上位属性に適正あるんだよな?
「それは個人の素質に関係するので、私にはなんともいえません。でも多分あるんじゃないですか?
時間と時空は滅多に適応者が現れませんし、もはや神話レベルですけどね。またこの他にも、精霊魔法や召喚魔法、隷属魔法など、各種族のみが使える魔法もあります」
人間族にはなにか特別な魔法があるのか?
「人間族にはありません。しかし、その分10の魔法との調和性が他の種族に比べて高いです。基礎の5つの魔法を五大魔法と呼びますが、これらを最も使いこなしやすいのは人間族です。例外もありますが」
人間族はオールマイティーというわけだな。
じゃあ説明も聞いたし、そろそろ送ってくれ。
「それでは送りだします。準備はいいですか?」
ああ。ばっちりだ!…っていうか何も準備するものないけどな。
「心の準備ですよ。ではいきますよ!」
――瞬間、視界が暗転した。
暗くなったと思った次の瞬間、俺は草原に一人、立っていた。
…なんか普通の草原だな。モンゴル辺りにこんなとこあるんじゃないか?
《アイテムボックスと唱えてみてください。
私からちょっとしたプレゼントを入れておきました。
では、楽しい異世界ライフを!》
女神は直接俺の頭の中に語りかけてきたのか、姿を見せないまま俺に話しかけてきた。
女神はそういうと、もう俺に話しかけてはこなくなった。
俺は一人になってしまったような気がして、心細いような気持ちになった。
でも、折角きたんだ。たっぷり楽しもう!
そう意気込んで、いざ行こうとしたとき、草原の向こう側から、天まで届くかと思われるほど大きな咆哮が、草原中に響き渡った。