~チケット~
クリスマスが終わってからの投稿です^^;
季節はずれですが、お付き合いください
北風が冷たく通り過ぎていく。
俺はひとり、遊園地の前にいた。
思い出されるのは去年、ここに来るために千里ともめたことだ。
「ここの遊園地はかなり広くて、テーマパークになってるんだよ。
そのテーマパークが、ワールドとスカイに分かれてて。
ワールドは子供向け。
スカイは空をテーマにしてる、大人向け。
ということで、スカイパークはお酒も飲めるの」
千里が、かなりのドヤ顔でそう言った。
「そうか~ じゃぁ、ワールドパークに決定だね」
俺たちは、ワールドにするかスカイにするかで、デートの直前まで盛り上がっていた。
「なんでよ! 私も久も大人じゃない!」
「俺は大人だけど、千里はどうみても、中学生だよ。
これで、スカイパークで腕組んで歩いてたら、俺がいけないことしてるみたいに見えるじゃん」
「失礼だね! 同い年の癖に!」
去年の俺は19歳、千里も同じ19歳だった。大人とは言えないにしても、子供でもない年齢だ。
俺は専門学生として、バイトと学校を往復していた時期だ。
千里は、高校は卒業したが、心臓が悪いために働くことができずにいた。そのためなのか、元々なのか非常に幼く見える。
千里と同い年の女の子は、化粧をして大人の女性へと変わり出しているが、千里は化粧をせず、洋服にもこだわりを見せなかった。
「俺は大人に見えるけど、千里はね~」
悔しそうにする千里をからかうのは、やっぱり楽しい。
「この間の映画館だって、学生と間違われただろ」
「あれは……そうだけど……」
電話の声が小さくなっていく。俺はおかしくて、笑いそうになるのをぐっとこらえていた。
「あれは、あの人の目がおかしいんだよ!」
食い下がってくる千里に、俺はさらに攻撃する。
「でも、飲みに行っても未成年ってバレるよな。俺は大人としてスルーされるけど」
「そうだけど……」
こうして、千里をからかうためにワールドパーク行きを決定したのだった。
当日は、今日と同じように北風が冷たかった。それでも、千里といると風の冷たさを感じることはなかった。
あの日は、本当に楽しかった。
―――たった1年なのに、全てが変わってしまった。
俺は、ワールドパークのチケットを2枚買った。
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