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序章

 その昔、人々が幸せに暮らしている世界がありました。

戦いのないその世界で人々は久遠の平和を過ごしていました。


 ある日、その世界に禍を持ち込む者が現れました。


 大きな翼を持った黒いそれは、その翼にありとあらゆる悪を忍ばせ、その地に降り立ち、そして、その翼を広げてその悪を世界中に放ちました。


 たちまち、世界は闇に包まれました。


 悪により、人々が争い、死んでいくその世界を憂いた精霊達はその力を用いて四人の人間を選び、その者達と共に大きな翼を持った黒いそれを封印するのに成功しました。


 しかし、悪の大もとであるそれを封印する事が出来ても世界中に放たれた悪はそのまま残り、世界中に溶け込んでしまいました。


 世界中に溶け込んだ悪がまた人々を惑わさない様に精霊達は四人の人間をその世界の監視役にしました。


 それいらい、世界が闇に包まれる事はありませんでした。


 それから永い年月が流れ、人々はその記憶を忘れ、その出来事もはるか昔の伝説として子供達に聞かせるだけになった頃。



 この物語は、ここから始まります。

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