表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

一度きりのオプション

掲載日:2026/06/05

短編です

 健康診断で病気が発覚して、医者からすぐに入院するようにと言われた。手術が必要になるが、手術をしても、後遺症が残ったり、成功率が低かったりと脅された。結局手術はしたけど、あまり経過は良くないから、術後は通院を続けた。でも結局、良くなっていくわけじゃなくて、緩やかに俺は弱って行った。

 病院の天井を見つめる生活はあまりに苦しくて、つらい。

 消灯時間になって、目を閉じて、しばらくすると、俺は見知らぬ場所にいた。

 え、俺もしかして死んだの!?もう!?嘘だろ!?

「マダ死んではいなイ、が、ホドなくして、死が訪れル」

 俺の目の前に“ザ・死神”と言った風貌の男が現れた。アニメとかでみるような、大きなカマを持ってる。死神って本当にカマ持ってるんだ・・・。

「マダ生きてイたいカ?」

 そう問われた。病気が発覚してから、ずっと入退院を繰り返していた。やり残したことなんていくらでもある。まだ、生きる希望が持てるなら、俺はまだ生きていたい。

本当はもっと歳を取るまで生きていたいけど、この際、強欲なことは言っていられない。せめてもう少し、一年でも二年でもいい。

「まだ生きていたい!」

 死神は懐から本を取り出して、何かを調べ始めた。

「お前が積ンだ徳ヲ使えば、アト一年ほどは生きるコとが出来ル。寿命を一年延ばスか、他にモ・・・」

「寿命を延ばす!一年で構わない!」

 それ以外の答えあるわけがない。

 死神が「承知しタ」と言って、冊子に何かを書き込んで、俺に手をかざした。

気が付くと俺は病室にいた。

「やった・・・のか?一年寿命が延びたのか!」

 喜んだ俺だったが、医者にその話をして、半信半疑の医者に無理やり検査をやり直してもらったけど、体調は変わらず、入院状態は変わらないと言われた。

 でも俺には一年分の寿命があるはずだと、リハビリも懸命にこなした。でも病状は良くはならなかった。

 緩やかに緩やかに体が衰えていく。おかしい。俺は一年も寿命を延ばしてもらったのに。退院出来たら、まだまだやりたいことをやろうと思っていたのに。時間が、時間が欲しい。

 一年ほど経ってだんだん体に無理が効かなくなって、俺の視界はほとんど病院の天井しか映さなくなった。時々見舞いに来た妻や息子の顔が俺を覗き込んだけど、それに返答する体力もない。

 目が、開けてられない。

 気が付くとまた、俺はあの時の不思議な空間にいた。あの時と同じように、死神が俺の前に現れた。

「時間だ。迎エに来たゾ」

「お前!嘘つきやがって!一年寿命延ばすって言ったじゃねぇかよ!」

「延びたデあろウ・・・」

「延びたって、一年間ずっと病院のベッドの上じゃ何もできないじゃないか!」

「あ、健康寿命を延ばしたかったんですか?じゃぁ最初にそう言ってくれないとぉ!」

 死神は急にフランクな喋り方に変わったかと思うと、懐から冊子を取り出して、俺に説明を始めた。

「あのですね、あなた“寿命を延ばす”って言いましたよね?そうなると、単純延命コースになるんですけど、“健康寿命”を延ばしてくれって言ってもらえてたら、病気を治すパターンも選べたんですけどねぇ。もっとこう重厚な言い方で、“お前の積んダ徳を利用しテ、健康にしてヤルこともできル・・・・”みたいな!?皆さんあまり最後まで聞いてくれない方が多くて、この台詞あんまり言えないから言いたかったんですけどねぇ。あなたも説明を聞かずにすぐに延ばしてくれって言うから、寿命だけが延びちゃったんですよぉ~」

 にっこり微笑んだ死神の顔に一発拳をお見舞いしたい気分だった。



——人の話は最後までちゃんと聞かないとぉ~——

ごほん。・・・・デハ、行くゾ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
- 人の話は最後まで聞こう - 寿命と健康寿命はぜんぜん違う 大事なことですね!!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ