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交差点

作者: 冬桜

 昼と夜の境目。現実的には明確な区切りはないだろう。誰かが夕暮れと言ったから夕暮れとなった。落ちていく太陽は次第に赤みを帯びながら、影を引き伸ばしていく。

 別に目的があったわけではない。ふらりと歩く。理由なんていくらでもつけられるけど、あえて言うなら気分なのかもしれない。自分は一体どういう顔をしているだろうか。他人から見れば、今の自分はどう映っているのだろうか。そんなことを考えるほど、今の自分は無意味に歩き続けている。自覚はあれども気力はもたず。

 夕暮れどきの街中は、全てのものが赤一色で統一されている。ここはまるで別世界だといわんばかりだ。見渡す限り、人も建物も赤くなっている。

 近くにきてようやく気付いた。救急車のサイレンの音だ。緊急を要する音が夕暮れの世界に響いている。事故現場は近くの交差点らしい。慌しく動く人影。泣いている人がいれば、呆然と立ち尽くす人もいる。既に野次馬もいるらしい。遠くから見る人たちがいる。

 自分はその交差点を通り過ぎた。足も止めずに。ただ、眺めるだけで。

いつから傍観者になったのか。

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