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48#ラスト前なのにテンションだけ最終回

魔物の咆哮が、石の部屋を震わせた。


天井から細かい砂がパラパラと降ってくる。


「作戦通りいきます! 一発目は私!」


ヨミが勢いよく詠唱に入る。


「空の理よ、縛られし重力を断て――


《フェアリーリフト》!」


魔力の羽が爆弾をふわりと浮かせ、空中を滑らせるように運ぶ。


狙いは、魔物の背後にそびえる柱。刻印のど真ん中だ。


が。


「――あぁあっ!?」


バキィッ!!


魔物の腕が素早く動き、爆弾をフルスイングで叩き落とした。


ボンッ!!


小さな爆発。衝撃で床が少し揺れる。


「……フェアリーリフト、反応速度には弱いんですよね。はい、すみません」


「大丈夫、まだ行ける!」


レイスが叫び、ザラがすっと指を立てた。


「次は私よ。見てなさいな」


ザラの指輪が指先を裂く。血が流れ、それが空中で“矢”に変わる。


ズバンッ!


柱の刻印のすぐ横に突き刺さる。


「《ボーン》。血の道を辿って、届けなさい」


スケルトンがカタカタ走り出す――が、


柱に踏み込んだ瞬間、青白い火に包まれた。


ボフッ……。


次の瞬間、粉になって崩れる。


「……結界ね。死者無効。やっぱり柱が防衛の要だわ」


「二連続失敗か。でも、三度目の正直ってやつがあるだろ?」


レイスがやる気満々の顔になる。


ザラは肩をすくめて、


「“三度目で成功しろ”って意味なら好きよ」


4人の連携は止まらない。


ヨミが魔力文字を空中に走らせる。


それはまるで、地面を這う蛇のように重々しく揺れていた。


「レイスさん、この構文、マンデーに投げてください!」


──召喚構文:


《地縛精霊グラウザ》


拘束構文:グラウンド・シェイクリング・バインド


レイスが即座に構文を脳内AIマンデーへ送る。


「マンデー、やれるか?」


《構文受領。地属性拘束魔法、対象重量:規格外。いいですね、やっと私に相応しい仕事》


《……ですが。残念ながら、エネルギー不足です》


「なんでだよ!」


《タダ働きする精霊なんて、いるわけないじゃないですか》


「……うちのAI、やたら人間臭いんだが」


ザラが静かに柱の下を指差す。


「そこにあるわよ。エネルギー源」


見れば、さっき失敗した爆弾が転がっていた。煙をあげながら。


「任せて! 30秒後に爆発するように細工するね!」


ティナが工具片手に駆け出す。何か楽しそうだ。


「前衛職、仕事するぜ……!」


レイスが剣を構えた。


「あなたひとりに押しつけるつもりはないわ」


ザラの両手が血に染まり、スケルトン二体が融合を始める。


「《融合構文:ボーンナイト》!」


骨の戦士が現れる。盾と剣を構え、前へ。


ゴゴゴ……!


魔物の咆哮。


次の瞬間、腕が振り下ろされた。


――ガギィィンッ!!


ボーンナイトが盾で衝撃を受け止める。骨がきしむ音。だが、踏ん張った。


「今だ!」


レイスが駆け出す。


魔物の背に飛び乗り、その視界を塞ぐように動き回る。


吠える魔物。レイスは回避しながら、背中、肩、腕――と縦横無尽に動き続けた。


(止まるな。止まったら終わる)


影のように、魔物の巨体を舞う。


下ではボーンナイトが耐えていた。


ギリギリで盾を支えながら、ただ「盾」としての使命を果たしている。


「持たせろ、あと少し!」


魔物の視線を引きつけるようにレイスが剣を振るう。


魔物が手を伸ばした瞬間、レイスは跳び退いた。


「爆弾準備完了ー!30秒後にバンってなるよ!」


ティナが親指を立てる。


「間違って自分で踏まないでねー!」


その瞬間、ボーンナイトが吹っ飛んだ。


魔物が本気で怒っている。


「マンデー、今だ!!」


《転送構文再実行。爆発エネルギー受領。召喚、開始》


――ズドンッ!!!


爆発。魔力が渦を巻き、大地が割れる。


地縛精霊グラウザが現れた。岩の塊のような巨体。


地面から伸びる鎖が、魔物の四肢に巻き付き、動きを封じていく。


「お願い、今度こそ!」


ヨミが再び爆弾を浮かせる。


今度はスムーズに柱の刻印へ運ばれた。


「燃え上がれ――《ファイアブラスト》!」


ズドォォォンッ!!!


爆発。刻印が吹き飛び、光と煙が部屋を満たす。


やがて――魔物は、ただの石像へと戻っていた。


沈黙の中。


「ふう……全員、生きてるよな?」


レイスの問いに、ザラがふっと息をついた。


「ギリギリね。血、使いすぎたわ。これはあとで請求するから」


「ティナも役に立ったよね?ね?ね?」


「まあ……今回は助かった」


「でしょでしょ! それでね、次はもっとすごい爆弾を――」


「「「それ以上は言うな!!」」」


三人の声が完全にハモった。


静寂が戻る。


……残るは、最深層《100階》。


“死の霊圧”との決戦が、いよいよ始まろうとしていた。

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