ピンホールカメラの情景
今日は月曜日! 月曜真っ黒シリーズです!(*^^)v
隼人のクルマへ乗り込んだ時、ファブリ≡ズの香りが鼻を突いた。
シートに映る陽射しと影のコントラストがピンホールカメラの画像の様にクッション同士のクレバスを指し示した。
そこには陽射しを弾く金糸が1本。
摘まみ上げるとオンナの荒れた長い髪だった。
「隼人に限って!!」と独り言ちたが胸はザワザワと波立ち、私はスマホで隼人をリモートし追加の用事を言い渡す。
そして今までは私のお尻の下に隠されていた痕跡を目と指で丹念に辿り始める。
最初は細かい砂粒を掘り出した。
指の腹にそのザラッ!とした感触を感じながら……まるでオトコがオンナにやるみたいにクッション同士のクレバスへ指を滑らす。
指先に当たった異物を慎重に掻き出すと、隼人のベッドサイドに置いてあるのと同じパッケージの千切られた“耳”だった。
隼人が熱心にサーフィンスクールへ通うのは……“いつもの勤勉さ”が成せるものと油断していた。
よもや、サーフィン女に狂っていたなんて!!!
私は自分の髪が逆立ち、顔のすべての筋肉が今までに無い方向へ傾げて行くのを軋む様に感じた。
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レンタカーと有休三日で女の事は造作もなく調べられた。
“泥棒猫”の結婚生活を破綻させるに充分な証拠写真のサムネイルがずらりと並んだパソコンのモニターの前で私は熟考する。
隼人は本来は誠実な人だ。
ただ女慣れしていなかったのがアダで……無駄に元気なメス猫にはまってしまったのだ!
そう!今の隼人は完全にサカリが付いている。
だから下手にメス猫へ危害を加えるのは逆効果!
かと言って、あんなのに後塵を拝するなど!!
あってはならない!!
あのオンナが最も自滅的に苦しむ事は何だろう??
私の頭の中に妙案が閃いた!!
元々立てていた私の計画より2年程早くはなるが……
まずは、あの女とフェアな勝負をしよう!
考えただけで怒髪天になるが……メス猫が回数をこなす代わりに私は日を選んで確度を高める。
私が妊娠すれば、メス猫がどうだろうが、勝ちは我が手。
メス猫の方が種付けされれば……それが思いもよらない事だからこそ!!
メス猫はカラダか心か……はたまたその両方を著しく傷つけられる事となる。
そうなってしまえば……
例え誰が泣いて喚いて懇願しようが私は絶対に身を引かない!
こうして今、私は隼人の部屋に居る。
私が腕を振るったディーナーを二人で食べた後、カレをお風呂へ追い立てる。
シャワーの音を確かめた後、私はベッドサイドからこれからカレが用いるであろう管理医療機器の箱を取り出す。
そしてビーズ用細針の先で“キャンディのパッケージの様な”中身の一つ一つに複数個のピンホールを開けて行く。
それは背徳と甘美に塗れたロシアンルーレット!
そして……
私は身も心も高揚感に満ち満ちて隼人を抱いた。
今回は今連載中の「ポチと陽葵」のep.34
https://ncode.syosetu.com/n0313jq/34
のスピンオフです。
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