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四日目

皆さんどうも、ガクーンです。

ちょっと期間を空けての投稿になってしまいました。

では、お楽しみください。

 腹ごしらえも済み、補給した栄養のお陰か徐々に脳がさえわたり始めた今。俺は今一番の問題、ループ枯渇に立ち向かう事にした。


 流石に3800ループしか無いのは心持たないからな。この先何が起こるか分からないからこそ、今からループ集めを意識していった方がいいだろう。


 しかし、何から始めていいものか……。


「あっ。その手が……」


 そうだ。こういう時にこそ質問。つまり、メルムに聞くのが一番だろう。


「メルム。ループを集めるにはどうすればいい?」


「サイコロを振ってマスを進めてれば自然と溜まる」


 凄い抽象的だな……。でも、メルムが言いたいことは分かる。


「つまり、マスに止まればループがゲットできるのか?」


「そう」


 生きるためにはサイコロを振らなくちゃいけないってことか。


 サイコロを振る。つまり、危機に直面する危険性が高まるということ。だからといって、サイコロを振らずにこの場にとどまり続けても最終的にはループ枯渇により、食料が買えなくなって死ぬだけだ。なら、サイコロを振って先に進むべきだろう。


 俺は立ち上がり、文字盤の前へと歩みを進める。そして、サイコロを手に取り、投げる。


 サイコロは綺麗に転がり、【3】の数字で止まる。


 サイコロを投げ終えた俺は、地図上を動く三角形のピンを注目する。


 一つ……。二つ……。三つ……。


 サイコロの目の分だけマスを進むコマ。


「次のマスは……剣か?」


 3マス進んで止まったマスは、2本の剣がクロスしたようなマスであった。


「このマスは戦闘マス」


「戦闘マス?」


 いつの間にか俺の横に居たメルムは、マスの絵柄を見て、そう呼んだ。


「そう。このマスにプレイヤーが止まると、モンスターだったりプレイヤーだったりと戦闘させられる」


 モンスターやプレイヤーと戦闘させられるって?


 戦闘する可能性もゼロでは無いと思っていたが、その問題を無意識に後回しにしていた。


 考えるんだ……。俺は戦闘したことない、何処にでもいるような一般人だ。しかも、もう一人の仲間は幼い少女。


 詰んだ……。


 俺は頭を抱え、どうすべきか悩む……。


「どうしたの?」


 メルムが深刻そうな様子を見かねてか、話をかけてきた。


「俺の人生もここまでかって考えてたんだよ」


「何故?」


「何故って、これから俺達戦闘するんだろ?」


「そう」


「生きて帰れる保証無いじゃないか。しかも、俺は戦闘経験皆無だし……」


「大丈夫」


「大丈夫って……。何処からそんな自信湧いてくるんだよ……」


 メルムは文字盤を指さす。


「文字盤が一体……?」


「ここに今回のミッションが書いてある」


 メルムが指さした先を見てみるが、そこにはミミズが這ったような文字が所狭しと並んでいるだけであった。


「これか?」


 俺はそのミミズ文字を指さす。


「そうそれ」


「俺にはミミズが這ったようにしか見えないが……」


「メルムには分かる」


 メルムは文字盤に手を付き体を寄せる。そして、ミミズが這った様にしか見えない文字と睨めっこし始めた。


「クエスト難易度1。クエスト名、小鬼(ゴブリン)討伐。参加人数無制限……って書いてある」


「クエスト難易度1? 小鬼討伐……?」


「そう。クエスト難易度は1~10までに分類されていて、今回の難易度1は一番簡単なクエスト。そのクエスト内容が小鬼討伐ってだけ」


 小鬼って、あの空想上のモンスターか? 緑色の肌に醜い容姿を兼ね備えているあの……。


「その話って本当か?」


 メルムが話した内容に半信半疑な俺。


 俺にはメルムが本当の事を言っているのか分からない。もし、嘘を付いて危険なクエストに参加させて俺を殺したり……。いや、ここで嘘をついてもあまりメリットは……。


「本当。直人は今、メルムが嘘をついていたらと思ってるはず」


 思わぬ発言に動揺する俺。


「今回のクエストはメルムも参加する。もし、クエストが失敗すれば私もゲームオーバーだし、直人が死んだら奴隷であるメルムも死ぬ事になる。次に、何故メルムがこの文字を読めるかについてだけど、これは私のジョブによるもの」


 なるほどな。確かにメルムの事を信じるとなると俺に嘘をつくメリットは無いが、この話自体が嘘だという可能性も……。


 やめだやめ。こんな風に疑ったって何の解決にもなりやしない。


 それに何となくだが、メルムは俺に嘘をついていないような気がする。


 俺は一旦。メルムを信じてみる事にし、もう一つ気になっていた事について質問した。


「ジョブって何だ?」


「プレイヤー達に与えられる特別な力の事」


 なるほどな。そういうことならメルムの謎の余裕についても説明がつく。まぁ、元からの性格も影響してると思うけど。


「という事は俺にもそういった力が使えるってことか?」


「使える。ゲームに参加してるプレイヤーにはジョブが授けられる。直人もステータスと心の中で呟いてみればどんなジョブに就いているか分かるはず」


 俺はメルムの言った通りに心の中で呟く。


 ステータス。




 名前  :久瑠部 直人


 ジョブ :幸運なる者


 スキル :なし


 EXスキル:乱数調整(ランダムジャスト)上位鑑定(アライザル)。????。



 

 すると、頭にこの様な情報が流れ込んできた。


「幸運なる者……」


「幸運なる者? それが直人のジョブ?」


「あぁ」


「私も聞いたことないジョブ……。今調べてみる」


『オープン』

 

 メルムが言葉を呟く。


 すると突然、分厚い辞書ぐらいある本がメルムの目の前に宙を浮かぶ形で現れた。


「これは何だ?」


 メルムが召喚したと思われる本を触ってみようとするが、本を通り過ぎ俺の手が空を切る。


 触れない。まるでそこに何も存在しないかの様だ。


「これはメルムのスキルで召喚した本。だからメルム以外には触れない。あと、この本は人生げぇむに関する事ならほとんど載っている凄い本」


 えっへん。と言わんばかりのドヤ顔。


 おいおい、メルムの言う事が本当なら、この本はチートって奴じゃないのか? 言うなればこのゲームの攻略本だし。


 メルムはそう説明しながら慣れた手つきでページをめくり始める。しかし、徐々に表情が曇り始める。


「やっぱり幸運なる者なんてジョブはメルムの本に載ってない……。もしかして……」


 何やらブツブツと呟きながら、自分の世界へと旅立っていたメルムだったが……。


『クローズ』


 一言、クローズと呟くと、先ほどまであったメルムの攻略本が霧となって消滅した。


「私のスキルで調べてみたけどそんなジョブ。存在しなかった」


「存在しないって……俺のステータスにはそう表記してあるんだぞ?」


「メルムの本には書いてなかった。つまり、直人のジョブは普通のジョブとは違うって事になる」


「それって普通とどう違うんだ?」


「うーん。別にどうも……」


 思わずコケそうになる。


「何だよ! 他とは違う、特別なジョブじゃないんかよ」


「直人のは特別なジョブ。だけど、他のジョブと比べて強いかどうかって考えたらそれは分からないからどうとも言えないだけ」


 なるほどな。それはこれから解き明かしていく事になるってことだな。


「そうだ。他にもEXスキルって奴があるんだけど……」


「っ! 直人は運がいい。EXスキルは数十人に一人しか授けられない強力なスキル。そのスキル一つで戦況が大きく変わると言ってもいい」


 そんな凄いスキルなのか。待て、そんなスキルが3つもある俺って一体何なんだ? 


 一旦、EXスキルが3つある事は黙っておくか。しかも、一つのスキルは正体不明の????だしな。


「EXスキルがあるんだったら今回のクエストはクリアしたも同然。今すぐクリアして、報酬のループで美味しいもの食べよう」


「待て待て。まだクリア出来るかも分からないのにそんなこと言ってたら……」


『もうすぐポータルが繋がります。今回のクエストは人数無制限。クエスト内容はポータルに入場してから説明されます。では、お気を付けて』


 ノクタのアナウンスがあったと同時に、部屋の中央近くに禍々しいオーラを放つポータルが出現した。


「毎度毎度信じられない事ばっかり起きるな」


「過去の価値観でいるとこれから先が大変」


 メルムはそう言い残し、ポータルへと進んでいく。


「ちょっと待て! もう行く気か? 俺に何の説明も無しに?」


「メルムは説明した。今回のクエストは小鬼(ゴブリン)討伐だって」


「違う。クエスト内容について言ってるんじゃなくて、これからどうすればいいかとか、クエスト初心者に対する心構えを……」


 するとメルムは俺の方へと振り向き。


「直人。ファイト」


 憎らしいほど可愛い表情をしながら、両手を前に出してガッツポーズを決めるメルム。


 その可愛らしさに一瞬呆ける俺。しかし、直ぐに我を取り戻したのだが……。


「……。って、そうじゃなくて……」


 既にメルムの姿は無く。


「おいおい。本当に何の説明も無しかよ……。ノクタ! 何か俺にアドバイスを」


 勿論、何の返事も無い。


「分かったよ! 行けばいいんだろ! 行けば!」


 俺は半ば自棄になり、ポータルへ手を突っ込んでみる。


 うわっ。粘度のある液体に手を突っ込んだみたいだ。


 片手を突っ込んだ俺だったが、ある事に気が付く。


 あれ? 抜けなくないか? ってか、段々と吸い込まれている気が……。


 ずるずると肘から肩、そして胸辺りまでポータルに吸い込まれていく。


「ちょっ、待って。タイム! タイム―! 一回待っ……」


 そして、俺の無慈悲にも吸い込まれると、先ほどまで騒がしかった空間は、物音一つしない静かな空間へと変わるのだった。

お読みいただきありがとうございました。

この話が面白いと思ってもらえたら、高評価等をしてもらえると嬉しいです。

では、また次回お会いできるのを楽しみにしております。

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