表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

三日目

皆さんどうも。ガクーンです。

戦闘シーンに繋げるために色々と書いていたらいつの間にか3話目まで来てしまいました。

次回、戦闘シーンを書ければいいなと思っていますのでよろしくお願いします。

では、お楽しみください。

「お兄ちゃん。起きて……。ねぇ、起きてってば」


 誰かが俺を呼んでる。懐かしい。とても大事だった誰かが……


 そんな呼び声で目を覚ました俺は、寒さも暑さも感じない。強いて言えば、心地の良いふわふわとした空間で寝ころんでいた。


 いや、何者かに膝枕をされて寝ているようだった。


「本当にお寝坊さんなんだから……」


 優しく俺の髪を撫でるその手は……。駄目だ。思い出せない。喉まで出かかっているその答えを俺は分からないでいる。


 見たい。もう少し……もう少し顔を動かせれば……その答えが。その人の顔が見える。


 俺はその人の顔を見たいが一心で首を動かそうと力を入れる。しかし、俺の意思とは裏腹に、体は言う事を聞かない。


 何故だ!


 今度は全身に力を入れ、手足を動かそうとする。


 駄目だ。手も足も動かない。


 自分の体が思うように動かない事に苛立ちを覚えていると……


 「お兄ちゃん。お迎えが来たみたい……。また今度ね……」


 その人物はそっと俺の頭を持ち上げると、代わりの物を頭の下に置き、その場を離れていく。


 待て。待ってくれ……。君は……君は一体……


 



「起きた」


 俺は少しずつ目を開ける。


 俺の視界にうつり込んできたのは美しいスカイブルーの髪と、こちらを見つめる青い瞳であった。


「君は……」


 そうだ。この子はラッキーマスで突然現れた女の子。


 段々と状況が呑み込めてきたのと同時に、一つだけ疑問が浮上する。


「何故膝枕をしているんだ?」


 そう。この子は何故か俺を膝枕していた。


 女の子は首を傾げ、不思議そうに明後日の方向を見る。すると、視線を俺の目に合わせ、じっと見つめる。


「何故? 男性は女性に膝枕をされると嬉しいはず……。メルム、分かってる」


 自分が正しいと言わんばかりの表情。


「そりゃ、綺麗な子に膝枕をされて嬉しくない男は居ないと思うが、普通、初対面の男にするか?」


 俺は呆れ半分、戸惑い半分で答える。


 その女の子、メルムは一瞬考える素振りを見せ。


「そう。また一つ学びを得た」


 と、真面目な顔で答えた。


「それで……メルム? と言ったか。君はこの部屋に転送されてきたんだが、その事は覚えてるのか?」


 俺は起き上がると、正座をしメルムと対面して話を始める。


 メルムは悩む素振りも見せず首を縦に振る。


「そうか。俺もこの部屋に来て、それほど日は経ってないんだが……」


 俺はここまでの経緯を説明し始めた。


 俺がここに呼ばれたこと。人生げぇむをやっていること。その他諸々をだ。


 メルムはその説明を聞き終えると、静かに口を開いた。


「知ってる」


「っ? どういう事だ?」


 突然のカミングアウトに口が閉じない俺。


 知ってるだって? 俺と同じ記憶喪失かと思っていたら……もしかしてメルムは記憶があるのか?


「どういう事も何も、私は元プレイヤーだから」


「は?」


 驚きのあまり、大きく開いた口が閉まらない。それほどの衝撃。驚きであった。


 確かに、俺がNO.7だという事は、俺以外にも最低6人は同じプレイヤーがいるとは思っていたが……メルムもプレイヤーだったなんて思いもよらなかった。


「メルムもプレイヤー? 待ってくれ。君もプレイヤーなのは分かった。だが、何故プレイヤーにプレイヤーが転送されてくることになるんだ?」


 そうだ。可笑しいだろう。このゲームの主催者は人生げぇむと呼ばれるゲームでプレイヤーを競わせたいはずじゃ無かったのか? もしかして協力プレイだったのか? いや待て、メルムは()プレイヤーだと言ったな。という事は……


 益々人生げぇむに違和感と疑問が湧いてくる。だが、一つだけある事に気が付いた。


「私は元、NO.169 のプレイヤーだった。けど、あるミッションで失敗して奴隷落ちになった。それからは色々とあってあなたの下へ来た」


 169! そんなに参加者がいるのか!


 想像よりも多い参加人数に内心驚く俺。ただ、一つだけ確信を持てた事があった。


 メルムは何かしらのミッションでプレイヤー号をはく奪されたんだな。


 俺はこのゲームの敗北条件が死亡以外の道があると踏んでいた。その仮定が現実になった今、俺内心安心している。しかし、死ぬ可能性もゼロでは無い今、油断は出来ない。


「そうか……奴隷落ちになって君がどれ程の苦痛を味わったかは俺には分からない。でも、安心してくれ、君に危害を加える気はさらさら無いからな」


「分かってる」


「ははっ。最初からそんなに信頼してくれてるなんて嬉しいな」


「違う。目見ればその人が本当の事を言ってるのか大体分かる。それだけ」


 メルムはそう言うと立ち上がり、文字盤へと歩いていく。


「どうしたんだ?」


「お腹すいた」


 お腹がすいた? 確かに、俺もお腹がすいて来たな。


 俺は自分のお腹をさすりながらメルムの行動を観察する。


「ノクタ。メニューを見せて」


 静まり返る空間。


 何言ってるんだ? 


 突然の行動に戸惑う俺。


「ノクタが返事しない……」


 文字盤の前で何かを考え込むメルム。すると、俺の方へと振り向き、神妙な面持ちで向かってくるではないか。


「多分貴方じゃないと、ノクタは反応しない」


 うん? メルムは何がしたいんだ?


「俺には久瑠部直人という名前がある。それで、俺に何をしろと?」


「そう。じゃあ直人。ノクタにメニューを見せてとお願いして」


 メニューを見せてだと? 一体それで何が起こるんだ?


 俺は不思議に思いながらも、メルムに言われた通りにする事にした。


「ノクタ。メニューを見せてくれ」


『メニューを開きます』


 俺の声に反応したノクタは、一言言い残し、文字盤から光を投射した。


 投射された光は徐々に形を形成していき、ある形へと収束した。


「これは……商品か?」


 それは商品一覧のカタログであった。


「そう。ノクタは生活に必要な物を私達プレイヤーに提供してくれる」


 メルムは慣れた手つきで投影されたカタログをスライドしたりタップしたりしていく。


 そのカタログには、服や雑貨等の生活必需品はもちろん。食料や家具、娯楽品を始め、ポーションや武器などの物騒なものまで幅広く取り扱っていた。


「あった。直人は何を食べる?」


 メルムは涎をジュルッと飲み込み、色々な食べ物が載っている場所で手を止めていた。


「ちょっと俺にも見せてくれ」


 俺はカタログをよく確認する為、メルムの横へと移動する。


 なになに。パスタやピザに……魚料理や肉料理。果てにはドラゴンの肉等のファンタジー要素抜群の料理なんかもあった。


「俺は……かつ丼にする」


「分かった」


 メルムが手慣れた手つきで操作していくと、注文が終わったのかメニューを閉じる。すると、文字盤の一部が変形し、中から俺が注文したかつ丼と、メルムが注文した山盛りのステーキとパフェが出てきた。


「凄いな……」


 又もや現実離れした光景を目の当たりにした俺だったが……


 さっき人間が出てきたんだ。別に料理が出てきても不思議じゃないだろう。


 と、変に納得する自分がいた。


 そんなこんなで俺とメルムは各々食事を楽しみ、食後の休憩を満喫していた。


「あれって何でも頼めるのか?」


「頼める。けど、価値のある物はそれ相応にループも取られるから我慢が必要」


 我慢て……あんなに注文しといてどの口が言ってるんだが。


 内心で軽口を言っていると、ふとメルムが口にした()()()という単語に違和感を感じた。


「ちょっと待て。ループと言ったか? それってなんだ?」


「ループはループ。この世界の通貨みたいなモノ」


 つまり、日本円みたいなものか? 待てよ? メルムは価値のある物にはそれ相応にループが取られると言ったな? という事は、さっきの食事もループが取られてるんじゃ無いのか?


「さっきの食事はどうやって支払った?」


「ループで」


「そういう事じゃない。誰のループで支払ったんだと聞いてるんだ」


 あからさまに目を逸らすメルム。


「おい。メルム。お前言ったよな? 価値のある物にはそれ相応にループ。つまり金が取られると。さっき食事した時にメルムの食事の量。多かったよな? あれ、どれだけのループがかかったんだ?」


 するとメルムはばつが悪そうな顔をして。


 ボソボソ


「聞こえない」


「……ループ」


「聞こえない」


「5000ループ」


 5000ループ。俺はループの価値が分からないからこれが高いのか安いのかも分からない。


「俺のかつ丼は?」


「1200ループ」


 メルムの方が高いな。高い。しかし、これが普通だと何故か思えなかった。そこで俺は……


「パンは?」


「パン?」


「そうだ。一番安いパンはいくらするんだ?」


 黙り込むメルム。


「おい。黙ってないで「100ループ」」


 100ループ? 


 おいおい。一日3回、一番安いパンを食ったとしても300ループ。それを先ほどメルムが注文した肉料理とパフェで計算すると、合計15000ループとなる。ってことは、実質50日分の食料を食った事になるじゃないか!


 これから先、何が待ち受けているか分からない今。食事に金をかけるのは間違っている。


 それに気づいた俺は小さく頭を抱える。


 でもなぁ、食ったもんはどうしようもないよな……


「次からは一番安いパンだ」


 明らかにしょげるメルム。


「いいな?」


「嫌だ」


 メルムの目からは食事に妥協しないと感じさせるようなオーラが漂っていた。


「駄目だ。これから先何が必要になるか分からない今、食事に金を使ってられない」


 メルムは怒っていると言わんばかりに両手を腰に置き、頬をプクーッと膨らませる。


「メルム。食事が生きがい」


「駄目なものは駄目だ」


「嫌だ」


 何度か同じやり取りを繰り返した後、ループが手に入ったらその金額に応じてそれ相応の好きな物を食べさせるという妥協案で幕を閉じた。



 その後。俺達のループの残高が3800ループしか無い事を知った俺が……


「やっぱ当分の間は安物のパンな」


「約束と違う」


 と言って喧嘩が起きたのは言うまでもないだろう。

お読みいただきありがとうございました。

次回から本格的に人生げぇむを進めていく事になりそうなのでよろしくお願いします。

この話が面白いと思った方はブックマークや高評価してもらえると嬉しいです。

では、次回にお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ