16:シルルのちいさなレイへの想い
エシュリアさんのお部屋から自分のお部屋に戻ってきて、自分のベッドに軽く寝転がる。少しだけ、ほんの少しだけ、エシュリアさんが見てきた姿だけどレイのことが分かった。優しくて頼りになるお兄ちゃん、それがエシュリアさんにとってのレイ。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけもしかしたら恋敵になっちゃうのかなって思ってたけどその心配は無さそうで安心した。
何となく傍にいないのが寂しくて勝手にレイのベッドに潜り込む。それだけで温かくてほっとしちゃう。レイに依存してるって自覚はしてる。だって、シルルにはレイしかいないんだもん。みんなに見捨てられて、全部全部嫌になったシルルを抱き締めてくれた王子様なんだもん。ずっとずっと一緒にいたい。依存してるって言われても良い、醜いって言われたって良い。シルルにはレイが必要なんだもん。
レイの枕を抱き締めて、ベッドの上で丸くなる。こうしているだけで落ち着く。きっとシルルは病気なんだ。知ってるよ、恋って病気なんだよ。
「好きだよ……レイ……」
声に出した。これは恋なんだ。シルルの初めての恋。
でも、八歳歳下のエシュリアさんがお兄ちゃんとしか思ってないって言っていて少しだけ自信が無くなっちゃった。シルルはレイの十個も下で、まだまだ子供。レイはもう立派な大人、シルルの事はどう思ってるんだろう。
「辛いよ……レイ……」
恋愛感情をもたれてなかったらどうしよう。そんな不安に押し潰されそうになって泣きそうになった。どうして恋って辛いんだろう、そんな事を本で読んだ。今なら分かる、気持ちが伝わらなかったら。シルルの勝手な気持ちだけだから、胸に秘めてるから。言えないから。だから辛い。胸がギューってなって、苦しい。
こんなにも辛いなら恋なんてしなきゃ良かったって言う人もいる。それも本で読んだ。でも、シルルにはレイしかいない。辛くたって、恋していたい。傍にいたい。
丸まって枕を抱き締め始めてからどれだけ経ったかな。コンコンッと二回ノックが聞こえて、慌ててドアを開けた。その瞬間、ふらついたレイが倒れ込みそうになって、シルルにもたれかかった。
「うぅ、重いよレイ〜」
「っ……すまない……痛かったか……?」
「ううん、大丈夫!」
シルルの声に反応して、ふらつきながらも起き上がってくれたレイの手を引いて、応えながらベッドまで先導してあげる。ゆっくりと座ったレイは片手を額に当てて頭を抱えて、苦しそうに息を切らしていた。どうしたんだろう。
隣に座って抱きつくとシルルに気付いて、レイはハッと顔を上げた。本当に苦しそうな顔してる……。どうしたの……?
「レイ……なにかあったの?」
「……大丈夫だ、心配しなくても。だからそんな不安そうな顔はするな……」
「だって心配なんだもん……やだよ、レイに何かあったら、シルルは……っ」
うぅ、と泣きそうな顔をすると辛そうにしてるのにレイはシルルのことを抱きしめてくれた。ポンポン、と優しく頭を撫でて、ギュッとしてくれた。辛そうなのはレイなのに。
「もっとシルルも頼って!何かあったなら話して……お願い……」
「……分かった。なら、今は少しこうしていてもいいか?」
「うんっ、良いよ!!」
返事をするとレイはまるでシルルの事を確かめるように髪を撫でたり、背中を撫でたり、たまにギュッとしたりしてくれた。あったかくて、ポカポカして、シルルも幸せ。それでレイも少しずつ落ち着いて苦しそうな息をしなくなって行った。
「話も、聞いてくれるか?」
「もちろんっ。聞くよ!」
大きく長く息を吐いて、呼吸を整えたレイは抱き締めてくれたまま、事情を説明し始めてくれた。
「私は……五歳以前の記憶が無い。それをエリオに調べてもらった。だが、その時の魔力の影響で少し気分が悪くなっていてな。シルルと触れ合ってる内に少し楽になったが」
「……そっか。シルル、役に立てた?」
少しだけ体を離してレイの顔を見るとさっきよりは大丈夫って顔をして頷いてくれた。シルルが役に立てたんだ……。
嬉しくて抱きついちゃうとレイもそれをしっかりと受け止めてくれた。そういえば記憶といえば。
「ねぇレイ……っ」
「どうかしたのか?」
「……さっきまでね、エシュリアさんにレイの事聞いてたの。けど、引き取られてからの八年間の事はレイに聞かなきゃ分からない。だから、教えて、レイの事。ちゃんと知りたいの……」
また体を離して、じっと目を見つめる。ゴクリと息を飲んで、レイがどういう返事をくれるのかを待つ。
シルルはレイの事が知りたい。もっともっとレイに近付ける気がするから。レイの役に立てることがあるかもしれないから。だから、話して欲しいと見つめた。ダメでもその時はその時。レイに無理はさせたくない。
少し悩んだように視線をそらしたあと、一度完全に離れて、膝の上に乗ってくれとばかりに自分の膝を叩くレイを見て、導かれるままに乗る。すると後ろから腕を回されて、抱きつかれた。
「顔を見て話す自信が無いのを許して欲しい」
「……それでも話してくれる決心してくれたんだよね……?ありがと、無理させてごめんね……」
「いや、いずれは話さないといけなかったとは思うから大丈夫だ」
胸元に回されたレイの両手がほんの少しだけ震えていることに気付いた。やっぱり無理してる……それでも話すって決めてくれたからその決心は否定したくない。だから、その両手を掴んでギュッと握ってあげた。少しでも安心してくれるように。
「ありがとう、シルル。……八年前、私は類まれなる魔力、後に知ったがビャッコの魔力を買われてレーゼズ王国に第一王子として引き取られた。本来の第一王子は帝国に捕らわれたらしくてな、現王妃は体が弱く、もう子供を作ることが出来なかった。そこで類まれなる魔力を持っていた私が引き取られた」
「ここでも帝国が……」
話しているレイの手の震えが少し強くなった気がする。表情は見てないけどどんな顔をしてるんだろう。
「十五歳で突然第一王子となった私は本来ならばそれまでに積まれるはずの王族としての教育を二十歳になるまでの五年間に無理矢理詰め込まれた。いまのこの私というのも、王族として礼儀正しくあれと矯正されたものだ」
「十五年分を五年で……シルルだったら頭がおかしくなっちゃうよそんなの……」
まだシルルは十三歳だから、それまでの一生分を全部一気に詰め込まれると考えると辛さが分かる。頭がおかしくなっちゃいそうな事をレイはやりこなしたということなの……?それで今のレイがいるっていうの?
レイの手の震えは収まることなく続いていた。
「そうして今の王族としての私が生まれた。作られた。たまに……私自身が分からなくなる。こうして今いる私は引き取られてから作られたもの、本当の私は……」
「レイはレイだもん。作られたものでも、なんでも、本当のとか関係無いもん」
「……そうか。ありがとう、シルル」
作られた性格、作られた一人称。見失いかけているレイに優しく語りかけると少しだけ手の震えが止まった。本当のレイはちゃんとシルルの後ろにいる。それが作られたものだとしても、レイはレイで変わらない。何が本当とかじゃない、だって助けてくれたその優しさは作られたものなんかじゃない。そう信じてる。
「私がレーゼズ王国で暮らし始めてから八年が経つが……お父様もお母様も、私のことは名前で呼んだことがない。いつも第一王子と呼び、関心すらも殆ど無い。ただ子を作れなくなり、仕方なく魔力が高いから引き取り、第一王子として出迎えた私に家族としての愛情というものは無いのだろう」
「家族……か……」
「だからだ。お前を引き渡して後悔していた両親に家族として傍に帰してやりたかった」
またレイの手が震えてる。シルルの事を助けてくれたのはお父さんとお母さんに出会って、後悔していたのを知っていたからだった。
あの日、レイが寝ている間に目を覚ましたシルルはお母さんとお父さんとお話をした。その前にどっちもシルルに謝ってきた。帝国の圧力に負けて、シルルを引き渡してごめんなさいって。もう一度シルルと一緒に住みたいって言ってくれた。きっとレイもそれを望んで助けてくれたと思う。
でも、シルルはレイを選んだ。お母さんとお父さんが嫌いになったんじゃない。ただレイが好きになってしまっただけで。あの時シルルを見捨てた事はもう恨んでない。お母さんもお父さんもレイが助けに行ってくれたことで本気で後悔して、シルルが帰ってきた事で本気で謝ってくれた。だから恨んではいない。嫌いにだってなってない。だけど、シルルはレイを選んだ。家族よりも、好きになってしまった人を選んでしまった。
その気持ちをお母さんもお父さんも良いよって言ってくれた。助けてくれたレイならシルルを託しても良いって思ってくれた。だから傍にいることにした、レイの傍にずっと。
レイの声も震え始める。きっともう話すのが辛いのかもしれない。それでも止めなかった。シルルに話の続きをしてくれた。
「家族が欲しかった、愛して欲しかった。ただそれだけなのにそれすら叶わない場所に引き取られて、神の魔力を持っているのを隠さなければいけないと城からも殆ど出して貰えず、そのせいで殆ど城内の人としか会えず、孤児院でも私を理解してくれたのはエシュリアだけで。彼女から離れて私は独りぼっちになってしまった。私に家族なんていない、誰も心を開いてくれない、私は」
「シルルがいる!!レイはもう独りぼっちなんかじゃない!!だから……泣かないでよ……レイ……」
堪え切れなくなって、膝の上から降りて振り向くとレイは無意識になのかその赤い目から涙を流していた。そのまま今度は向かい合う形で膝の上に乗って、頭を胸元に抱えるように抱きついた。
シルルの行動に驚きながらも受け止めてくれて、身を預けてくれる。
「欲しいならシルルがあげる!!愛して欲しいならシルルが愛するから!シルルの心ならいつだって見てもいいから、シルルは……レイの傍にいたい、家族よりも大切な人なんだよ……」
「シルル……。そう、か。ありがとう、私を……愛してくれて……」
小さく聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟かれた言葉のあと、静かになった。起きてるのか心配になりながら、待ってると規則正しい寝息が聞こえて来た。
元々疲れてたもんね。それで辛い話をしてたんだもん、寝ちゃうのもしょうがないよね。そっと離れて、起こさないように横にする。髪は解いてから寝ないとボサボサになっちゃうから、そっと後ろの髪と横の髪を結んでいるリボンを外して、シルルも髪を結んでるリボンを外す。
そんなことをしている内にお夕飯の時間になったみたいでコンコンコンッと三回ノックが聞こえる。ドアを開けたらエプロンをつけたリナさんが立っていた。
「えっと……レイが寝てるからお夕飯はあとにします!」
「そう、なの?分かったわ。お腹が空いたら私が起きている時間なら声をかけてね」
「はーいっ!」
ゆっくりと音を立てないようにドアを閉めて、眠っているレイの横に寝転んで抱きついて、布団を上手くかける。最初は難しかったけどよく潜り込むから慣れてきた。
レイの寝息を聞くとどこか安心するようになってきた。今度、ベッドを一つにしてもらおうかな。一緒に選びに行って、それでシーツとか布団も大きいのに変えて。でもそうしたらこうして密着しなくても大丈夫になっちゃうからダメかも。悩ましいなぁ。
そのままレイにつられてシルルも眠くなってきちゃった。まだそこまで遅い時間じゃないけどなんだか、レイの辛さを聞いてたらつられて辛くなってきちゃった。
シルルも独りぼっちは怖かった。でも、すぐにレイが来てくれて、シルルは独りぼっちじゃなくなった。だけどレイは八年間、ううん、エシュリアさんがいた期間はあるけど十八年間独りぼっちだった。誰にも分かって貰えない辛さをきっと抱えていたんだと思う。それをシルルなら癒してあげられる、欲しいのなら、愛してだってあげられる。シルルがいる。もう独りぼっちになんかさせない。
「レイ……だいすきだよ……」
小さく呟いてそのまま眠りに就く。あったかくて、ポカポカして……それで、優しくて。こうして一緒に寝れば、シルルは幸せなんだ。
それから目が覚めたのはお外がすっかり暗くなってからだった。先にレイが目覚めてたみたいでシルルの頭を撫でて、待っていてくれた。抱きついてるから動けなかったのもあるとは思うけど。
「んん……おはよぉ、レイ」
「おはよう。一緒に眠ってしまったんだな」
優しく撫でるその手が心地よくてまた眠くなっちゃうけどくぅ〜と小さくお腹の音がして、慌ててお腹を押さえる。その音を聞いて、小さく吹き出したレイをむぅ〜とちょっとだけ睨むとこほんと咳払いをして誤魔化された。笑わなくても良いじゃん〜!お夕飯の前に寝ちゃったからお腹が空いちゃったんだもん。しょうがないじゃん〜!
「まだリナが起きているのなら、準備してもらうか」
「うんっ」
お互いに髪を下ろしたまま部屋を出て、お部屋を訪ねると反応が無くて、リビングに直接向かうと洗い物をしているリナさんがいた。シルル達に気付くと洗っていた食器を置いて、蛇口をひねって水を止めてくれた。
「あらおはよう。これからお夕飯食べる?」
「はいっ、寝ててごめんなさいっ」
「良いのよ。それじゃあ温め直すから座って待っていて」
それからリナさんの作ってくれたビーフシチューをレイと一緒に食べて、髪を解いてしまったのとリナさんからお風呂が沸いていて今空いているから入るように促されたから二人で脱衣所に向かう。その途中でエシュリアさんと出会った。
「今日も二人で入るの?」
「シルルが髪を洗うのが苦手らしくてな。何か問題があっただろうか?」
「そんなことは無いけど……とりあえず行ってらっしゃい、あたしは喉が渇いたからリビングに行くとこだったし」
去っていくエシュリアさんを見送って、シルル達はそのまま脱衣所に向かって到着。
シルルの髪はウェーブがかかっててちょっとクセのある質感で長くて洗うのが大変。初日だけ一人で入ったんだけど髪を洗うのに時間がかかって、長風呂になって逆上せちゃってレイにものすごく心配をかけちゃったことがあった。それから髪を洗うのが苦手って話して、二日目以降はレイと一緒に入ることになった。
その話をエシュリアさん達は知らないからやっぱり二人ではいることに疑問を持たれちゃってるみたい。でもそうしないとまた逆上せちゃうもん。
衣服を脱いで、二人でお風呂場へ入って、いつも通りレイに髪を洗ってもらった。自分も髪がちょっと長いから洗うのには慣れているみたいで洗ってもらうと何となく気持ち良くなってくる。
「出来たぞ?シルル?起きてるか?」
「ふぁ!?ぁ……気持ち良くてぼーっとしちゃった、ごめんね!」
「それなら良いんだが……」
洗い終わった髪は邪魔にならないように上手く二つ結びのお団子になってる、これもいつもやってくれることで、この髪型もちょっと気に入ってる。
それから体も洗って、このお家みたいに大きくて広い湯船に浸かる。逆上せない様にしつつ、レイが髪を洗っている様子を眺めていた。男の人にしてはちょっと長くて、普通なら洗うのもちょっと難しそうなのに簡単そうに洗っている姿を見てると慣れているのを改めて感じる。洗い終わった髪は後ろでお団子みたいにして邪魔にならないようにしていた。いつもと違う髪型も似合ってる。
「?どうした?じーっと見つめて」
「え、あ、み、見とれてた?」
「見とれてた?」
なにか言い訳しようとしたけど、口から出たのは本音。思わず口を両手で塞いで背を向けた。だってなんか素敵だったんだもん、レイが綺麗で何故か見とれちゃった。
聞き返したあとは特に何も言われなくて、何となくドキドキして逆上せちゃいそうになる。
「シルル?聞こえてるか?」
「へ!?あ……いつの間に隣に来てたの!?」
「いや今だが……?顔が赤い……そろそろ出ないと」
「だ、大丈夫!大丈夫だから!!」
普段は逆上せる前に出ないといけないからレイが湯船に浸かるちょっと前にシルルが先に出てる事が多かったんだけど、何となくドキドキしてそれを忘れてた。
我に帰ったら急に目の前にレイがいて、ドキドキが止まらなくなる。そのまま逆上せて気絶しちゃいそうなのを堪えて、慌てて湯船から飛び出て、脱衣所までダッシュした。が、タイルで足を滑らせた。頭ぶつけちゃう……!!そう思った瞬間にバシャンっと水の音が聞こえて、がっしりとした体に受け止めて貰えた。
「走ると転けるぞ。危ないだろう?」
「うぅ、ごめんなさい……ありがと……えと、シルルは先に出るねっ」
レイがしっかりと受け止めてくれて、頭を打たずに済んだけどなんだか恥ずかしくてお礼をしてから今度こそちょっとフラフラしながら脱衣所に出た。
やっぱりちょっと逆上せてたかも。フラフラしながらもバスタオルだけは取って、体に巻き付ける。こんな所で気絶したらダメ。そう自覚はあるのに視界がぼやける。力、入んない……。
「……ん……ここ……お部屋……」
目を開けるとそこは見慣れ始めたシルルのお部屋。ちょっと横を向くと心配そうな顔のレイがいた。なんだかちょっとだけ照れてる?でもまずレイに伝えなきゃいけないのは。
「ごめんなさい……」
「珍しく逆上せてしまったんだな。……物音がして慌てて飛び出たらお前が倒れてた……心臓が止まるかと思った」
「え?」
優しく頭を撫でてくれたレイはいつもよりもどこか焦ったような顔をしてた。ゆっくりと起き上がるとマグカップに入ったお水を渡してくれた。それを飲み干すと、空になったマグカップを受け取ってくれた。
受け取ったマグカップを置いて、優しく抱き寄せてくれた。また、逆上せちゃうよ。
「レイ……?」
「このままでいさせてくれ……」
「うん」
逆上せちゃう、レイの温かさに。それでも意識はちゃんと保ってる。温かくて、優しくて、抱き寄せてもらえると安心しちゃう。レイは……どう思ってこんな事してるんだろう。このままでいさせて欲しいなんて。
それから少しそのままでいて、離れたレイは寂しそうな顔をしてた。
「逆上せて倒れてしまったのは分かっていた……だが、不安で仕方無かった。私を、独りにしないでくれ」
「……!!」
あの過去の話をして、レイは不安になってたんだ。独りぼっちだと思って、ずっとずっと不安になってたのに。シルルはそんなレイの前でお風呂で逆上せて倒れちゃった。
倒れたシルルを見て心臓が止まるかと錯覚するくらい不安にさせた。そのせいでこんなに悲しい顔をさせた。
「今日は……一緒に寝ても良いか?」
「うんっ。シルルが隣で一緒に寝るよ!だから、悲しい顔しないでね」
ほんの少しだけレイは笑ってくれた。
今日はレイの方から言われて、二人で一つのベッドの上で寝た。いつもはシルルが一方的に抱きついて寝るのに、今日はレイの方も抱き寄せてくれた。
もうレイを独りぼっちになんかさせない。無理もしない。でも、レイの役には立ちたい。強くならなきゃ、レイの為にも、傍にいるためにも。
ご閲覧ありがとうございます。
宜しければ評価を宜しくお願い致します!
励みになります!
明確にシルル→レイへの恋心が明らかになりました。十個差の可愛らしい恋心がここからどうなるか、それもまた今後のテーマとなります。
レイもまた孤独に悩み続けて生きてきた一人。孤独な王子様を救ってくれたのは孤独に落とされた悲しくも純粋無垢な女の子シルルでした。
ここまでが11-から始まっていたレイとシルルの進展について個人的にレイの始まり編と題してます。




